応募者から苦情の連絡が来たときの一次対応
採用担当が退職した直後、代表電話や問い合わせフォームに「何度連絡しても返事がない」「面接で聞いた条件と求人票が違う」「前の担当の方の対応が失礼だった」といった連絡が入ることがあります。受けるのは、採用の経緯を何も知らない総務の担当者や、たまたま電話を取った社長であることが多いでしょう。
この場面でまずいのは、事情が分からないまま「そんなはずはない」と否定してしまうことと、逆に申し訳なさから「必ず通します」「その条件で出します」と約束してしまうことです。どちらもその場は収まっても、後から覆すことになり、より強い不信につながります。ここでは、電話やメールを受けた瞬間から折り返しまでの、事実確認に回るための型を整理します。
苦情として入ってくる内容は、だいたい3つに分かれる
担当交代の直後に届く申し立ては、内容がばらばらに見えても、確認先という点では3つに分類できます。どれに当たるかを最初に見分けると、その後に誰へ聞けばよいかが決まります。
| 類型 | 典型的な言われ方 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 連絡が来ない | 「書類を送って3週間連絡がない」「面接後、結果の連絡がない」 | 前任者の退職で選考が宙に浮いている |
| 聞いた話と違う | 「面接では月給◯万と言われた」「勤務地は本社と聞いた」 | 口頭説明が記録に残っていない |
| 対応が失礼だった | 「言い方がきつかった」「名前を間違えられた」 | 面接官・前任者の対応、または行き違い |
このうち「連絡が来ない」は、こちらに非があることがほとんどです。事実を確認するまでもなく、お待たせした点については最初に謝意を示して構いません。一方、条件の相違や対応への不満は、その場で事実を確定できないことが多く、謝るのは「ご不便をおかけしている状況」に対してであり、相手の主張内容を認めることとは分けて扱います。条件の食い違いについては応募者に「前の担当者とは話が違う」と言われたときの対応で詳しく整理しています。
一次対応でやること、やらないこと
受けた時点でできるのは、正確に聞き取って、期限を示して、一度切ることだけです。その場で結論を出す必要はありません。
聞き取る5項目
- 氏名(フルネーム)と連絡先、連絡がつきやすい時間帯
- 応募した職種と、応募した時期(おおよそで可)
- 応募経路(求人サイトの名前、紹介会社、自社サイトなど)
- いつ、誰と、どのようなやり取りがあったか
- 本人がどうしてほしいのか(選考を続けたい/説明がほしい/辞退して謝罪だけ求める)
5番目は聞きにくく感じますが、最も重要です。「選考を進めてほしい」のか「もう辞退するが説明がほしい」のかで、社内での扱いも折り返しの内容もまったく変わります。「ご希望としては、選考を進めることをお考えでしょうか」と素直に聞いて差し支えありません。
その場で言ってはいけないこと
- 「そのような説明はしていないと思います」(記録を見ていない段階での否定)
- 「担当が辞めまして、誰も分からない状態でして」(社内の混乱の開示)
- 「では本日中に折り返します」(確認が取れるか分からない期限)
- 「選考は通す方向で進めます」(決裁権のない約束)
退職の事実そのものを隠す必要はありませんが、不在を強調すると「この会社は今、誰も対応できないのだ」と受け取られます。「現在、採用の窓口が変更になっております。私が確認いたします」と、窓口を示す言い方に置き換えます。
期限を切って一度切る
一次対応の締めくくりは、回答の期限を自分から示すことです。相手に「いつ連絡が来るのか」を考えさせないことが、二度目の苦情を防ぎます。
お待たせしてしまい申し訳ございません。経緯を社内で確認いたします。本日が火曜日ですので、木曜日の夕方までに、確認できた内容と今後の進め方を私からご連絡いたします。確認に時間がかかる場合も、木曜中に途中経過をお伝えします。
期限は、社内確認に必要な日数から逆算します。目安として2〜3営業日を置くと、面接官や前任者への確認が間に合いやすくなります。重要なのは、期限内に結論が出なくても必ず連絡することを先に伝えておく点です。約束した日に音沙汰がないと、最初の苦情より深刻な不信になります。
どこに事実確認するか
聞き取った内容の類型ごとに、社内の確認先は決まっています。前任者が不在でも、たいていはどこかに痕跡が残っています。
| 確認したいこと | 最初に当たる先 |
|---|---|
| 応募日・選考の進行状況 | 求人媒体の管理画面、応募者管理表、採用用メールの受信箱 |
| 面接で何を話したか | 面接に同席した現場の面接官、会議室の予約履歴 |
| 提示した給与・勤務地 | 求人原稿の当時の掲載内容、内定通知書や条件提示のメール |
| 紹介会社経由の場合 | 担当エージェント(推薦時の条件と、本人への説明内容) |
| 社外からの評判・既出の投稿 | 口コミサイトや求人サイトの自社ページ |
記録がどこにもなく、前任者の頭の中にしかない場合もあります。その場合は、退職した本人に任意の協力として聞くか、記録がない旨を正直に伝えるかの判断になります。退職者への連絡は業務命令ではないため、退職後の前任者に質問していいか。連絡の取り方と限界で線引きを確認してから動くと安全です。
社内で誰まで報告するか
苦情を受けた本人が抱え込むと、折り返しの内容を一人で決めることになり、約束できない条件を口にしやすくなります。報告の基準を先に決めておきます。
| 状況 | 報告先の目安 |
|---|---|
| 連絡の遅れのみ。選考を継続する意向がある | 採用の窓口担当と、その上長 |
| 条件の相違を指摘されている | 上長+条件を決裁できる立場の人 |
| 内定や入社日に関わる | 上長+経営層(金額が動くため) |
| 対応への強い不満、謝罪の要求、法的な言及がある | 経営層へ即日。労務の相談先にも共有 |
| 口コミサイトやSNSへの投稿に言及がある | 経営層へ即日 |
「法的な言及がある」とは、弁護士や労働局といった言葉が出てきた場合を指します。この段階では、担当者が個人の判断で回答するのを避け、社内で回答内容を揃えてから折り返すのが無難です。
これは口コミに書かれる前の段階である
苦情の連絡をわざわざ寄こす応募者は、まだこちらに話す余地を残しています。多くの人は黙って離脱し、何も言わずに評価だけを下げます。連絡が来たということは、説明の機会が残っているということです。
一方で、対応が止まったまま日数が経つと、やり取りの経緯が選考体験として社外に出ていくことがあります。採用担当の後任を募集する段階でそれが残っていると、後任探しそのものが難しくなります。この連鎖は応募者を放置すると、評判にどう跳ね返るかで整理していますが、一次対応の目的は、問題を消すことではなく「連絡が取れる会社だ」という状態に戻すことだと考えてください。
同じ苦情が続くなら、個別対応では追いつかない
1件の苦情に丁寧に対応しても、同じ理由の連絡が翌週も翌々週も来るなら、原因は応対ではなく体制にあります。選考が止まっている応募者が何人いるのか、求人がどこで掲載され続けているのか、受け皿となる窓口が誰なのかを一度に把握しないと、苦情を受けるたびに同じ説明を繰り返すことになりやすいものです。
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まずは、媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料でお受けしています。今どの応募者が宙に浮いているかを一度並べるだけでも、次の苦情を防ぐ手は打てます。やり取りはLINE公式が窓口です。