採用担当の退職が決まったら、在籍中にやっておくこと
採用担当の退職が決まった時点で動けるなら、状況はかなり有利です。退職後に発生する復旧作業の多くは、在籍中の数時間で防げます。
重要なのは、限られた引き継ぎ時間を何に使うかです。作業手順の説明に時間を使い、アカウント情報と判断基準を取り逃がすのが典型的な失敗です。優先順位を逆にしてください。
在籍中しか取れないもの、後からでも取れるもの
まずこの切り分けを持っておくと、時間の配分を間違えません。
| 在籍中しか取れない | 後からでも復元できる |
|---|---|
| 二要素認証の設定先 | 選考中の応募者の一覧(管理画面から復元可) |
| 個人メール・個人携帯でのやりとり内容 | 過去の応募数・採用実績(管理画面から復元可) |
| 過去に見送った理由・選考の判断基準 | 求人原稿(媒体上に残っている) |
| 口約束で伝えている条件 | 契約媒体の一覧(請求書から逆算可) |
左側に時間を使ってください。 右側は退職後でも間に合います。
最終出社日までのチェックリスト
退職が決まった直後(当日〜1週間)
1. 二要素認証の設定先を会社側に変更する
最優先です。認証コードが前任者の個人携帯に届く設定のままだと、退職後は誰もログインできません。会社の代表番号や共有の認証手段に変更します。この1手だけで、退職後の復旧作業がほぼ発生しなくなります。
2. 管理画面の認証メールを共有アドレスに変更する
recruit@ のような個人名でないアドレスに変えます。前任者の会社メールに紐づいたままだと、アカウント削除で再発行の経路が閉じます。
3. パスワードを共有パスワード管理ツールに登録する
引き継ぎ書に直接書かず、保管場所だけを記録します。
最終出社日の2週間前まで
4. 契約している媒体をすべて書き出してもらう
媒体名、プラン、課金形態(掲載課金/クリック課金/応募課金)、月額または日額の予算、自動更新の有無と次回更新日、営業担当者の連絡先。
書き出したら請求書と突き合わせてください。請求は来ているのに一覧に無い媒体が見つかることがあります。
5. 個人のやりとりに残っている情報を出してもらう
個人メールや個人携帯で候補者とやりとりしていた場合、その内容は管理画面に残りません。誰と何をどこまで話したか、口頭で伝えている条件がないかを確認します。
内定者や入社予定者に対して、書面に無い約束(配属先、勤務時間の配慮、入社日の調整など)をしているケースがあります。ここが抜けると入社後のトラブルになります。
6. 選考基準を実例で書き出してもらう
抽象的な基準ではなく、具体例で残すのが要点です。
- 過去に採用した人を3〜5件、なぜ通したか
- 過去に見送った人を3〜5件、なぜ見送ったか
- 譲れない条件と、母集団が集まらないときに緩めてよい条件
「なぜ見送ったか」がもっとも再現性が高く、かつ後から復元できない情報です。
最終出社日の1週間前まで
7. 現場責任者との面談を設定する
前任者と現場責任者を同席させて、現場が実際に求めている条件を確認します。人事が考える要件と現場の希望はしばしばずれており、そのずれの調整を前任者が引き受けていたことがあります。ここが空白になると、選考が再開しても現場と食い違って再び止まります。
8. 定型連絡のテンプレートを集める
応募御礼、日程調整、面接案内、見送り連絡、内定連絡。前任者が使っていた文面をそのまま集めておけば、後任は文章をゼロから書かずに済みます。
9. 進行中の応募者と内定者の状況を確定させる
最終出社日時点でのステータスを一覧にします。特に内定者・入社予定者には、担当が変わることを前任者から一報入れてもらってください。担当交代自体は問題になりませんが、連絡が途絶えることは辞退の直接的な原因になります。
最終出社日以降
10. 会社メールアドレスは削除せず転送に切り替える
削除するとパスワード再発行の経路が閉じます。少なくとも全媒体のログイン復旧が終わるまでは残してください。応募通知メールから候補者の連絡先を辿れるという利点もあります。
引き継ぎ相手が社内にいない場合
現実には、後任が決まっていない状態で退職日が来ることが多いです。その場合でも、上の1〜10は受け取る相手が誰であっても実行する価値があります。情報を共有フォルダに置いておけば、後任が入社した初日から動けます。
逆に、ここを飛ばして後任探しから始めると、後任が入社した時点で「何も分からない状態から再構築」になります。この順序の問題は採用担当が退職した直後にやるべき7つのことでも触れています。
書き出す項目の詳細は採用業務の属人化を解く。引き継ぎ書に必ず書く12項目に、そもそも1人体制のリスクをどう薄めるかは採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理するにまとめています。
当社の採用担当引き継ぎ代行では、この棚卸しを当社が同席して行い、そのまま採用の運用を引き継ぎます。前任者が在籍しているうちにご相談いただけると、失われる情報を最小限にできます。棚卸しまでは無料です。