採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理する
従業員30〜200名規模の会社では、採用担当が1名、あるいは総務や管理部門との兼任という体制が一般的です。人数の面では合理的ですが、この体制には構造的なリスクがあります。
問題は「担当者が優秀かどうか」ではありません。1人しかいないという構造そのものにあります。
リスク1:退職した瞬間に業務が消える
もっとも分かりやすいリスクです。1人しかいない業務は、引き継ぎ相手が社内にいません。
失われるものは作業手順だけではありません。
- 契約している媒体の一覧と課金形態
- 管理画面のログイン情報と認証設定
- 選考中の応募者が今どの段階にいるか
- 過去に見送った人と、その理由
- 現場が実際に求めている条件
このうち上2つが失われると、そもそも管理画面を開けなくなります。復旧の手順は求人媒体の管理画面に入れないときの確認手順にまとめていますが、防げるものを防ぐ方が明らかに安く済みます。
リスク2:休むと採用が止まる
退職に限らず、体調不良や家庭の事情で1週間不在になるだけで応募対応が止まります。応募者は返信がなければ他社に移るため、不在期間はそのまま候補者の損失になります。
有給を取りにくい構造にもなります。「自分が休むと止まる」という状態は、担当者本人の負荷としても大きく、それ自体が退職の理由になり得ます。
リスク3:繁忙期に品質が落ちる
兼任の場合に顕著です。給与計算、社会保険手続き、決算対応などと採用の繁忙期が重なると、優先順位は必ず期限のある業務に寄ります。
結果として、応募対応の返信が遅れます。返信の速さは辞退率に直結するため、ここで成果が落ちます。しかも「忙しかったから」という理由は記録に残らないので、翌年も同じことが起きます。
リスク4:やり方が検証されない
1人で回していると、そのやり方が適切かどうかを比べる相手がいません。
- 使っている媒体が本当に合っているのか
- 原稿の書き方が応募数に効いているのか
- 予算配分が妥当なのか
判断が固定化し、数字が悪化しても原因が特定されないまま続きます。これは能力の問題ではなく、レビューの機会がないという構造の問題です。
人を増やさずにリスクを薄める打ち手
「もう1人採用する」が正攻法ですが、人件費が年400〜550万円増えるため現実的でない会社が多いです。人を増やさずにできることを、効果の大きい順に挙げます。
1. アカウントと契約を個人から切り離す(最優先)
- 管理画面の認証メールを
recruit@のような共有アドレスに変更する - 二要素認証の送信先を会社の代表番号または共有の認証手段にする
- パスワードを共有パスワード管理ツールに入れる
- 契約媒体・課金形態・自動更新日を一覧にして共有フォルダに置く
これだけで、退職時に発生する被害の大半が消えます。 費用はほぼかかりません。
2. 定型連絡をテンプレート化する
応募御礼、日程調整、面接案内、見送り連絡、内定連絡。これがあれば、担当者が不在でも他の人が最低限の返信を返せます。返信さえ止まらなければ、候補者は離れません。
3. 選考基準を書き出す
「なぜこの人を見送ったか」を3〜5件、実例で残します。抽象的な基準より具体例の方が再現できます。書き出す項目の一覧は採用業務の属人化を解く。引き継ぎ書に必ず書く12項目にあります。
4. 数字を月次で残す
応募数・面接数・内定数・入社数と単価を、職種ごとに月次で記録します。担当者が変わったときに「今の状態が良いのか悪いのか」を後任が判断できるようになります。
すでに退職が決まっている場合
上の1〜4は、担当者が在籍しているうちに手を打つ話です。すでに退職が決まっているなら、優先順位が変わります。
在籍中にやるべきことは採用担当の退職が決まったら、在籍中にやっておくことに、退職後の対応は採用担当が退職した直後にやるべき7つのことにまとめています。
当社の採用担当引き継ぎ代行は、この棚卸しから始めて、後任の採用と引き継ぎまでを4ヶ月で行います。属人化がどこまで進んでいるかの確認(採用ストップ診断)までは無料なので、現状把握だけでもご利用ください。