引き継ぎ代行の200万円は何に対する費用なのか
「4ヶ月で200万円」という数字だけを見ると、多くの方が最初に浮かべるのは「月50万円の人を雇うのと同じくらいか」という比較だと思います。実際、社内で説明するときも「人件費と比べてどうか」という話になりやすい。ただ、この並べ方をすると、含まれているものと含まれていないものが見えないまま高安の判断に入ってしまいます。
この記事では、金額が高いか安いかではなく、200万円が何に対する費用なのかを分解します。求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善という3つの作業に分け、それぞれを自社だけで賄った場合に何が発生するかを並べます。読み終えたときに、見積書を「総額」ではなく「範囲」で読めるようになることを目指します。
200万円は「人1人分の年間コスト」ではない
先に費用の性質をはっきりさせておきます。引き継ぎ代行の費用は、採用担当という役割を継続的に外に置くための月額ではありません。採用が止まった状態から、社内で回る状態に戻すまでの一時費用です。
継続的に人を置く費用と、体制を作り直す一時費用は、比べる相手が違います。前者は毎年発生し、後者は原則として一度で終わります。4ヶ月が終わった時点で社内に後任がいて、その人が媒体を操作でき、応募に返信でき、面接を設定できる状態になっていれば、翌月から外部費用は発生しません。
逆に言えば、この費用の妥当性は「終了時に社内に何が残っているか」で判断するのが筋になります。作業が代行されただけで終わるなら、同じ状態が半年後に再発します。
費用を3つの作業に分解する
標準プランに含まれる作業は、大きく3つに分かれます。
①止まった求人活動の復旧
最初の1ヶ月前後で行う作業です。求人媒体のアカウントを誰の名義で契約していたかを特定し、管理画面に入れる状態に戻す。契約中の媒体と請求金額を洗い出し、掲載を続けるものと止めるものを決める。選考が途中で止まっている応募者を一覧にし、担当交代を伝えて選考を再開する。原稿が古ければ直す。
ここは「新しいことを始める」作業ではなく、あったものを元に戻す作業です。ただし前任者が退職済みで引き継ぎメモがない場合、請求書や面接官の記憶から逆算する必要があり、時間がかかります。詳しい復旧手順は採用担当が退職した直後にやるべき7つのこと(優先順位つき)にまとめています。
②後任の採用担当の採用
求人票の作成、媒体の選定と掲載、応募対応、面接の設定、見極めまでを含みます。ここで採用するのは採用担当ですが、当社の場合は採用担当の経験者に限定しません。経験者に絞ると母集団が薄くなり、単価も上がるためです。判断基準の置き方は後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由で説明しています。
この作業の費用には、後任募集にかかる広告費が含まれます。別途請求ではありません。
③引き継ぎと業務改善
後任が入社してから、実際に一人で回せるようになるまでの期間です。応募対応から始め、媒体操作、原稿修正、選考設計と、任せる範囲を段階的に広げていきます。並行して、前任者の頭の中にあった判断基準を文書に落とし、次に担当が変わっても同じことが起きない形に整えます。
3つの作業と、自社だけで賄う場合に発生するものを並べると、次のようになります。
| 含まれる作業 | 自社だけで賄う場合に発生するもの | 費用の性質 |
|---|---|---|
| ①求人活動の復旧 | 管理部門の実働時間(契約特定、応募者の洗い出し、選考再開の連絡) | 社内工数 |
| ②後任の採用 | 求人媒体費または人材紹介手数料、選考にかかる社内工数 | 外部費用+社内工数 |
| ③引き継ぎと業務改善 | 教える側の時間。社内に教えられる人がいない場合は外部の助言費用 | 社内工数(不足すると空白期間が延びる) |
自社で同じことをやると何が積み上がるか
金額の目安を置いてみます。以下はいずれも相場であり、職種・地域・時期で変わります。
後任を人材紹介で採る場合、手数料は理論年収の30〜35%程度が一般的です。年収400万円なら120万〜140万円前後になります。求人媒体で採る場合は掲載料が数万円から数十万円ですが、応募が集まらなければ掲載を繰り返すことになり、総額は読みにくくなります。試算の詳細は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかにあります。
見落とされやすいのは、後任が入ってからの立ち上げ期間です。採用の経験者を採った場合でも、自社の求人媒体の契約状況や現場の事情を把握するには時間がかかります。未経験者を採るなら、教える人が社内に必要です。前任者が退職済みで、教えられる人がいない状態だと、ここが空白のまま残ります。
つまり自社で賄う場合の総額は「紹介手数料+媒体費+社内工数+立ち上げ期間中に採用が動かない分」の合計になります。このうち後ろの2つは請求書に出てこないため、比較のときに抜け落ちがちです。
何が含まれ、何が含まれないか
プラン別の範囲を整理します。金額は税別、広告費込み、分割払いも可能です。
| プラン | 期間 | 金額 | 主に含まれる範囲 |
|---|---|---|---|
| 復旧プラン | 2ヶ月 | 80万円 | ①求人活動の復旧まで。後任の採用は含まない |
| 標準プラン | 4ヶ月 | 200万円 | ①②③すべて。後任の入社と引き継ぎまで |
| 完全プラン | 6ヶ月 | 300万円 | ①②③に加え、後任が独力で回る状態までの伴走期間を長く取る |
含まれないものもはっきりさせておきます。後任に支払う給与は当然ながら御社の人件費です。最終面接の判断と入社条件の決裁は社内に残ります。採用管理システムなど有料ツールを新規に導入する場合の利用料は別です。また、期間終了後の継続的な採用実務は含まれません。終了時点で社内に引き継ぐことが前提の設計です。
見積もりを読むときは、総額の前に「終了時に社内に人が残る設計かどうか」を確認してください。 ここが違うと、月額の安い選択肢のほうが結果として長く払い続けることになります。役割の違いはRPO(採用代行)と何が違うのか。同じ「外部に頼る」でも役割が違うで整理しています。
判断の順番
費用の判断は、次の順で考えると迷いにくくなります。
- 今、求人が止まっている期間はどれくらいか。長引くほど復旧は「元に戻す」から「作り直す」に変わります
- 後任を社内から出せるか、外から採る必要があるか
- 後任を教えられる人が社内にいるか
3つすべてが「不足している」なら、作業は3つとも必要になります。1だけが問題で後任のめどが立っているなら、復旧プランで足りる場合もあります。
まずは今の状態を把握するところからで構いません。採用担当引き継ぎ代行では、媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までを無料で実施しています。金額の内訳や分割の条件は料金プランをご覧ください。ご相談はLINE公式から受け付けています。