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費用と比較

現場の欠員を派遣や業務委託で先に埋める判断

採用担当が退職して求人が止まっているとき、社内で最初に悲鳴が上がるのは人事ではなく現場です。「募集していたはずの1名はいつ入るのか」「もう3ヶ月待っている」。採用の復旧には時間がかかるのに、現場の穴は今日も開いたままという状態が続きます。

このとき検討されるのが、派遣や業務委託で先に穴を埋めるという選択です。これは「採用担当の代わりを外部で埋める」話とは別で、採用したかった現場ポジションそのものを暫定的に外部人材で回す判断になります。採用担当側の穴埋めについては派遣・アルバイトで採用担当の穴を埋める場合の費用とリスクで扱っているので、ここでは現場側に絞って整理します。

なぜ「先に埋める」ことに意味があるのか

欠員を抱えたまま採用を進めると、判断が焦ります。焦った採用でよく起きるのは、次の3つです。

ひとつは、求人条件を無理に上げてしまうこと。応募が来ないので給与を上げる、という判断は本来いちばん最後に回すべきものですが、現場が限界だと最初に手が伸びます。既存社員との給与バランスが崩れ、あとから元に戻せなくなることがあります。詳しくは応募が来ない求人を立て直す優先順位で整理しています。

ふたつめは、見送るべき候補者を通してしまうこと。3つめは、複数職種を同時に再開して対応が回らなくなることです。

暫定的に人を入れる本当の価値は、コスト削減ではなく「採用の判断を焦らせないこと」にあります。 現場が回っていれば、条件を据え置いたまま母集団を作り直す時間が取れます。

月額コストの比較

正社員採用と、派遣・業務委託の費用構造は性質が違います。前者は初期に採用費がかかって以降は人件費、後者は初期費用が小さく毎月の単価が高くなる、という形です。以下は一般的な相場の目安であり、職種・地域・スキルによって大きく変動します。

手段初期にかかる費用毎月かかる費用の性質立ち上がりまで
正社員採用(媒体)掲載費給与+社会保険料+教育コスト募集開始から数ヶ月
正社員採用(人材紹介)理論年収の3割前後が相場同上数週間〜数ヶ月
派遣ほぼなし時間単価×稼働時間(社会保険料は派遣元負担)早ければ数日〜2週間程度
業務委託・フリーランスほぼなし月額または成果物単位の報酬数日〜数週間
短期アルバイト募集費時給×稼働時間数日〜数週間

派遣の時間単価は、同じ仕事を正社員にさせた場合の時給換算より高くなることが多いです。派遣会社のマージンや社会保険料が単価に含まれるためです。一方で採用費・教育コスト・退職リスクを自社が負わない分、短期であれば総額は抑えられる場合があります。

正社員側の総額の内訳は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかの考え方が現場職種にもそのまま使えます。

長期化すると、判断が固定費に変わる

暫定のつもりで入れた人材が1年、2年と続くケースは珍しくありません。現場が回ってしまうと、採用を再開する動機そのものが消えるからです。

ここで起きるのは主に3つです。

  • 単価の高い状態が固定費として毎月出続ける
  • 業務ノウハウが外部人材の側に溜まり、社内に残らない
  • 派遣の場合、同一の組織単位での受け入れ期間に制限がある(期間満了で入れ替えが発生し、引き継ぎが振り出しに戻ることがある)

3つめは特に見落とされやすい点です。労働者派遣法には受け入れ期間の制限があり、条件によって扱いが異なります。契約前に派遣会社へ期間の上限と延長の可否を必ず確認してください。

これを避けるには、埋めると同時に「いつまでに正社員採用に戻すか」を先に決めておくことです。目安として、暫定期間の終わりを契約時点でカレンダーに置き、その1ヶ月前に「継続か、採用再開か、業務そのものを見直すか」を判断する場を設けておくと、なし崩しになりにくくなります。

埋めてよい職種と、埋めると回らなくなる職種

すべての欠員が暫定人材で埋まるわけではありません。判断の軸は「業務が手順化されているか」と「社外に出せない判断を含むか」の2つです。

埋めやすい埋めにくい
手順書があり、覚える範囲が区切れる業務過去の経緯を知らないと判断できない業務
成果物が明確な業務(データ入力、経理処理、コールセンター、軽作業など)顧客との継続的な関係を持つ営業やアカウント担当
短期間で戦力化できる定型的な作業部下のマネジメント、評価、労務判断を含むポジション
繁閑差の吸収が目的の増員社内の意思決定に関わる役割
専門スキルを外から借りたい業務(Web制作、設計補助など)資格・許認可・人員配置基準に紐づくポジション

右側に当てはまる場合、暫定人材を入れても既存社員の教育負荷が増えるだけで、かえって現場が重くなることがあります。とくに派遣社員には原則として直接の業務指示以外の指揮命令の制約があり、他の派遣スタッフをまとめる役割は任せられません。

もう一点、資格や人員配置基準が絡む職種(介護、保育、建設の主任技術者など)は、暫定で埋めたつもりが基準を満たさないことがあります。ここは必ず所管の基準を確認してください。

判断の順番

現場から突き上げがあると、いきなり派遣会社に連絡してしまいがちですが、順番があります。

  1. その欠員が、いつまでに埋まらないと何が起きるのかを言語化する(売上・シフト・納期のどれに響くか)
  2. 業務を分解し、外に出せる作業と社内に残す判断を切り分ける
  3. 暫定期間の終わりを先に決める
  4. 派遣・業務委託・既存社員の残業・業務の一時停止を並べて比較する
  5. 並行して、正社員採用の再開時期を決める

4の比較で「既存社員の残業」を外さないことが大事です。短期であれば残業で吸収したほうが安く、ノウハウも社内に残ります。ただし常態化すると離職につながるので、期限を切ることが前提になります。

なお現場への説明の仕方は現場から「いつ採用できるのか」と聞かれたときの答え方にまとめています。暫定で埋める場合も、「いつまで暫定か」を現場に伝えておかないと、暫定人材が正社員の代わりだと誤解され、既存社員の不満につながることがあります。

暫定で埋めても、採用は止まったままである

ここまでの話は、あくまで時間を買う手段です。派遣で現場を埋めても、求人媒体の契約は残り、応募者は放置され、採用の判断基準は前任者の頭の中にあるままです。暫定人材の期間が終わるころに、また同じ場所から始めることになります。

現場を埋めて時間を作ったなら、その時間で採用側を復旧させるのが本筋です。止まった求人活動の立て直しと、後任となる採用担当の確保を並行して進める必要があります。後任は採用担当の経験者でなくても、育てる前提であれば選択肢は広がります(後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由)。

株式会社Talencoの「採用担当引き継ぎ代行」は、①止まった求人活動の復旧、②後任の採用担当の採用、③引き継ぎと業務改善までを一括で担うサービスです。標準プランは4ヶ月・200万円(税別・広告費込み・分割可)、まず止血だけを行う復旧2ヶ月80万円、業務改善まで踏み込む完全6ヶ月300万円をご用意しています。

現場を暫定で埋めるかどうかを決める前に、採用側が今どういう状態なのかを把握しておくと判断がぶれにくくなります。媒体アカウント・契約・進行中の応募者を棚卸しする「採用ストップ診断」までは無料で行っています。ご相談はLINE公式アカウントからお受けしています。

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