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支店・工場ごとにバラバラな採用を、本社でどう束ねるか

支店や工場が複数ある会社では、採用が本社で一元管理されていないことがよくあります。店長や工場長が、自分の裁量で地元の求人媒体に声をかけ、条件を決め、面接まで済ませてしまう。人が採れている間はそれで回りますが、本社の採用担当が抜けた、あるいは拠点の責任者が異動した瞬間に、「どの拠点が、どこの媒体に、いくら払っているのか」が誰にも分からなくなります。

請求書だけは経理に届き続けるのに、掲載内容も応募状況も追えない。こうなったとき、いきなり「全社で採用ルールを統一する」と決めると、現場の反発で止まります。この記事では、統一を急がずに契約だけを先に本社へ寄せる、という順番で進める方法を整理します。

なぜ拠点採用は「止まってから」分からなくなるのか

拠点ごとの採用は、たいてい次の3つが同時に個人に紐づいています。媒体営業との関係、掲載原稿の中身、そして給与や勤務条件の裁量です。この3つが一人の店長・工場長に集まっていると、その人が抜けたとき、後任は契約の存在すら知らない状態から始めることになります。

さらに厄介なのは、拠点採用は本社から見えにくいという点です。金額が1拠点あたり月数万円だと、経費の中に紛れて誰も疑問を持ちません。拠点採用の把握漏れは、金額の大きさではなく、決裁が拠点で完結していることから生まれることが多いと言えます。

まず、拠点別に1枚の表を作る

最初にやることは統一ではなく、事実を1枚に集めることです。拠点の責任者にヒアリングするより、経理の支払データから逆算したほうが早い場合が多くあります。求人関連の支払先を過去12ヶ月分で抽出し、拠点ごとに割り付けていきます。

集める項目は次の通りです。全部埋まらなくても構いません。空欄がどこに集中しているかが、そのまま把握できていない領域を示します。

項目確認先の例空欄のまま放置したときに起きやすいこと
拠点名・担当者名組織図、支払申請の起票者担当が異動すると連絡先が消える
利用媒体名請求書、クレジット明細掲載が続いていることに気づかない
契約形態(掲載課金・クリック課金・年間契約)契約書、申込書止め方が分からず費用が出続ける
月額/掲載単価請求書拠点間の単価差が比較できない
契約更新日・自動更新の有無契約書の条項更新日を過ぎて1年延長される
アカウントの名義とログイン権限管理画面、媒体営業への確認担当交代でログインできなくなる
掲載中の職種と給与表記実際の掲載ページ拠点間で条件が食い違ったまま公開される

媒体側の確認項目をもっと細かく詰めたい場合は、求人媒体の棚卸しで何を確認するかに手順をまとめています。拠点が多い会社では、全拠点を一度に埋めようとせず、支払額の大きい順に3拠点ずつ進めると滞りにくくなります。

契約だけを先に本社へ寄せる

表が半分ほど埋まった時点で、本社に集約する対象を契約に絞ります。原稿の文言や面接のやり方は後回しで構いません。契約を先にする理由は単純で、契約には更新日という期限があり、こちらの都合で待ってくれないからです。

自動更新の停止期限は、更新日の1〜3ヶ月前に設定されていることが多く、棚卸しの途中で期限を越えると、使っていない媒体にもう1年分の費用が発生します。途中解約や自動更新の扱いについては、求人媒体を解約したいとき、途中解約できるのかを参照してください。

集約の実務としては、次の順で進めると現場の抵抗が少なくなります。

  1. 名義を法人(本社)に変更する。使う人は拠点のままでよい
  2. 請求書の送付先と支払承認を本社に一本化する
  3. 管理画面の管理者権限を本社に置き、拠点には閲覧・応募対応の権限を付与する
  4. 新規の媒体契約は本社の承認を通す、というルールだけ先に通知する

この段階で「掲載を止めろ」「原稿を直せ」とは言いません。現場から見れば、支払事務が本社に移るだけです。抵抗が出にくい変更から着手するのが、結果的に早く進みます。

給与条件が拠点間で食い違っているとき

集約を進めると、同じ職種名なのに拠点ごとに給与レンジが違う、という事実が表面化します。ここで一気に統一しようとすると、既存社員の賃金にまで話が広がり、採用の復旧が止まります。調整は次の順番で扱うことをおすすめします。

第一に、差の理由を分類します。地域の賃金水準の違い、夜勤や資格手当の有無、任せる業務範囲の違い、そして「以前からこの額だった」という経緯だけのもの。前の3つは説明できる差なので、当面そのままで問題ないことが多くあります。

第二に、説明できない差だけを対象にします。それも一度に揃えず、まず募集時の上限額(これ以上は本社承認)を決めるところから始めます。募集条件の上限が決まれば、それ以上の条件提示が勝手に発生しなくなります。

第三に、既存社員の賃金との整合です。募集条件を引き上げると、同じ仕事をしている在籍社員より高くなる場合があります。この確認を飛ばすと社内で不満が出やすいため、拠点の責任者と人事・労務の双方に事前確認を取ってください。既存社員の是正は採用とは別の議題として、期日を分けて扱ったほうが進みます。

本社に残すもの、拠点に残すもの

集約と権限委譲の線引きは、「情報が散ると復旧できないもの」を本社、「現場にいないと質が落ちるもの」を拠点、と分けると整理しやすくなります。

業務置き場所理由
媒体契約・支払・アカウント管理本社担当が抜けたときに追跡できなくなるため
求人原稿の作成と最終確認本社(現場情報は拠点から)労働条件の表記は法令に沿わせる必要があるため
給与レンジの決裁本社拠点間の不整合と既存社員との逆転を防ぐため
応募の一次受付・返信本社または当番制拠点任せだと不在時に応募が滞留するため
面接の日程調整拠点(本社が代理枠を持つ)現場のシフトを知らないと組めないため
面接・職場見学・仕事内容の説明拠点現場を知る人が話すほうが辞退が減りやすいため
最終合否の決裁拠点+本社の二段現場の納得と全社の基準を両立させるため

この表を作ったら、誰が決めるかを1枚に落としておくと、担当が変わっても選考が止まりにくくなります。決裁点の書き方は採用の可否を誰が決めるかを、紙に1枚で決めておくにまとめています。

進め方の目安

拠点数にもよりますが、契約の集約までは1〜2ヶ月、原稿と条件の整理までを含めると3〜4ヶ月程度をみておくと無理がない場合が多いです。全社統一を初日に宣言すると、現場は「本社が採用を取り上げる」と受け取ります。契約と支払の一元化から入り、現場には面接と説明を残す、という順序で伝えてください。


拠点ごとの契約が把握できていない状態は、本社の採用担当が抜けた直後に最も起きやすい状況です。株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを4ヶ月で行います。後任は採用担当の経験者でなくても構いません(当社が育てて引き継ぎます)。費用は料金プランをご覧ください。

まずは現状把握だけでも構いません。採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料で行っています。ご相談はLINE公式アカウントから承っています。

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