内定者フォローが途絶えたときの立て直し方
採用担当が退職したとき、応募者対応より先に手をつけるべきなのが内定者です。
理由は費用対効果です。内定者はすでに媒体費と選考の時間をかけて獲得した人材で、あと一歩で入社に至ります。ここで辞退されると、同じ人を採り直すのに紹介手数料であれば理論年収の30〜35%(試算はこちら)がかかります。内定者1名の辞退を防ぐ価値は、新規応募10件より大きいことが珍しくありません。
内定者が不安になる仕組み
内定を出したあと、内定者は「本当にこの会社でいいのか」を考え続けています。この期間に連絡が途絶えると、判断材料がないまま不安だけが残ります。
内定者側から見た状況はこうです。
- 入社手続きの案内が来ない
- 質問を送っても返事がない
- 担当者の名前でメールを出しても届いているか分からない
この状態が2週間続くと、「この会社は大丈夫なのか」という疑いに変わります。他社の選考を続けている場合、そちらに気持ちが移ります。
内定承諾書を出していても法的に入社が確定するわけではないため、辞退は起こり得ます。
手順1:内定者の一覧を作る(当日)
まず何人いるのかを確定させます。前任者のメールボックスや管理画面が見られない場合でも、次の経路で分かります。
- 労働条件通知書・内定通知書の控え(総務または経理に保管されているはず)
- 入社手続きの依頼が労務担当に届いていないか
- 面接に同席した現場責任者の記憶
一覧に入れる項目は、氏名・応募職種・内定を出した日・入社予定日・最後に連絡した日の5つです。
最後に連絡した日がもっとも重要です。ここが空欄の人から優先して対応します。
手順2:72時間以内に連絡する
一覧ができたら、内容を精査する前に連絡します。完璧な状況把握より、連絡が届くことが先です。
初回の連絡で伝えるのは3点だけです。
- 担当が交代したこと
- 新しい担当者の名前と連絡先
- 入社日と入社手続きの予定に変更がないこと
「詳しいことは確認してから」で構いません。空白期間を終わらせることが目的です。
担当交代の伝え方
前任者の退職理由を説明する必要はありません。会社の体制の話として伝えます。
避けたいのは、次のような伝え方です。
- 前任者を否定する(「前任の対応に不備があり」)— 内定者は前任者と信頼関係を築いている場合があります
- 事情を過度に説明する — 会社が混乱している印象を与えます
- 連絡が遅れたことに触れない — 内定者は待たされたことを認識しています
事実として連絡が空いたことを認め、今後の窓口を明示する。この2点で足ります。
手順3:書面に残っていない約束を確認する
これが復旧作業でもっとも慎重を要する部分です。
面接や内定連絡の場で、前任者が口頭で伝えた条件があるかもしれません。
- 配属先や担当業務の希望
- 入社時期の相談(現職の引き継ぎ都合など)
- 勤務地や転勤の有無
- 残業の実態、休日の取り方
- 昇給や賞与の見込み
前任者が退職している場合、これらは記録に残っていません。
確認の仕方
内定者に直接聞きます。「聞いていた話と違う」という状態を入社後に発生させる方が、はるかに大きな問題になります。
聞き方は、探るのではなく確認として尋ねます。
担当が交代したため、これまでのお話を正確に引き継ぎたいと考えています。選考の中でご説明した条件やお約束について、書面に記載がないものも含めて、認識を合わせさせてください。
内定者から挙がった内容は、必ず書面にして返します。労働条件通知書に記載のない事項であっても、認識としてすり合わせた記録を残します。
会社として履行できない内容が出てきた場合
前任者が独断で約束していた可能性もあります。その場合、曖昧にせず早い段階で伝えます。入社後に発覚する方が、双方にとって損失が大きくなります。
労働条件通知書の記載事項に関わる相違が疑われる場合は、社内の労務担当または顧問社会保険労務士に確認してから回答してください。この記事は一般的な進め方の説明であり、個別の法的判断は専門家にご確認ください。
手順4:入社日までの接点を設計する
連絡が復旧したら、入社日まで放置しないための予定を先に組みます。その都度考えるとまた止まります。
内定から入社まで1〜3ヶ月ある場合の目安です。
| 時期 | 接点 | 目的 |
|---|---|---|
| 内定直後 | 入社手続きの案内と必要書類の一覧 | 手続きが進んでいる実感 |
| 入社1ヶ月前 | 配属先の責任者との顔合わせ | 現場との関係づくり |
| 入社2週間前 | 初日の集合時間・持ち物・服装の連絡 | 不安の解消 |
| 入社3日前 | 前日確認の連絡 | 当日の欠席を防ぐ |
回数より予定として決まっていることが重要です。担当者が変わっても、予定表があれば続きます。
手順5:一連の流れを手順として残す
同じことが二度起きないよう、内定者フォローの手順を残します。テンプレート化しておけば、次に担当が変わっても止まりません。
残す項目の全体像は採用業務の属人化を解く。引き継ぎ書に必ず書く12項目に、体制面の対策は採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理するにまとめています。
選考中の応募者は内定者の次
内定者への連絡が済んだら、選考中の応募者に移ります。こちらは時間が経つほど回復が難しくなります。掘り起こしの手順は求人を止めている間に応募者はどうなるのかにまとめました。
まとめ
- 内定者は応募者より優先する。獲得済みの人材で、失うと採り直しの費用が発生する
- まず人数を確定させる。優先順位は「最後に連絡した日」が古い人から
- 72時間以内に連絡する。伝えるのは担当交代・新しい窓口・入社日の3点だけ
- 書面に無い口約束は内定者に直接確認し、書面にして返す
- 入社日までの接点を先に予定として組む
当社の採用担当引き継ぎ代行は、ご相談当日にこの棚卸しを行い、内定者と選考中の応募者を洗い出します。現状確認(採用ストップ診断)までは無料ですので、連絡が止まっている方がいないかの確認だけでもご利用ください。