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引き継ぎと属人化

入社直後の社員のフォローが止まっているときに拾うこと

雇用契約書は交わした、社会保険の届出も終わった、初日の席も用意した。入社手続きという意味では完了しています。ところが、採用担当が退職して1ヶ月ほど経った頃、その社員が今どう働いているのかを説明できる人が社内にいない、という状態になっていることがあります。配属先の上長は「人事が見ているはず」と思い、管理部門は「手続きは終わったので現場の話」と思っている。その隙間に、入社して間もない社員が落ちます。

入社直前までの手続きについては入社直前の内定者の手続きが止まっているときの確認項目で整理しました。この記事で扱うのは、その先の入社後1〜3ヶ月です。ここは制度としての締切が少ないぶん、担当が抜けると誰も気づかないまま時間だけが過ぎやすい区間です。

「手続きの完了」と「受け入れ」は別の仕事

入社手続きには期限があります。社会保険の資格取得届、雇用保険の手続き、給与計算の締め。期限があるものは、担当者が抜けても総務や社労士のルートで拾われることが多いものです。

一方、受け入れ(入社後のフォロー)には外部からの締切がありません。初日の説明をしたか、1ヶ月経って困っていることはないか、試用期間の評価をいつ誰がするのか。これらは前任の採用担当が自分のカレンダーとメモだけで管理していた場合、退職と同時に見えなくなります。引き継ぎ書に「入社手続きの流れ」は書かれていても、「入社後に自分が何を見ていたか」は書かれていないことが多いのがこの領域の厄介なところです。引き継ぎ書に何を書くかは採用業務の属人化を解く。引き継ぎ書に必ず書く12項目にまとめています。

拾う順番は「期限のあるもの」から

直近半年以内に入社した社員を一覧にしたうえで、次の順番で確認します。上から順に、放置したときの取り返しのつかなさが大きいものです。

順番確認すること誰に聞くか目安の期限
1試用期間の満了日と、評価を誰がいつやるか雇用契約書・配属先の上長満了の1ヶ月前までに
2前任者が入社前に約束していた研修・配置・条件本人・前任者・面接官今週中
3初日・初週の説明が実際に済んでいるか配属先の上長・本人今週中
4配属先での立ち上がり(仕事量、相談相手)上長と本人の両方から別々に1ヶ月以内

1. 試用期間の満了日をカレンダーに戻す

最初に見るのは日付です。雇用契約書に試用期間の定めがあれば、満了日は決まっています。ところが、その日が来たときに誰が何を判断するのかは、契約書に書かれていません。前任者が「3ヶ月目に上長と面談して本採用の可否を確認する」という運用を頭の中で回していた場合、その運用ごと消えています。

満了日を過ぎてから「実は合っていなかった」と言い出しても、いったん本採用になった社員の雇用を終了させるのは通常の解雇と同様に扱われるのが原則で、簡単ではありません。判断の余地を残すという意味でも、満了日は先にカレンダーへ置いてください。なお試用期間中であっても自由に辞めさせられるわけではないため、本採用を見送る可能性が出た時点で社会保険労務士に相談することをおすすめします。

2. 入社前の口約束を洗い出す

面接や内定後の面談で、前任の採用担当が口頭で伝えていた内容が残っていることがあります。「入社後3ヶ月で外部研修に出す」「半年後に別拠点へ異動できる」「最初は補助業務だが年内には担当を持たせる」といった話です。書面には残らず、本人の記憶にだけ残ります。

本人から「聞いていた話と違う」と言われてから対応すると、会社側は事実確認からのスタートになります。そうなる前に、面接に同席した社員、内定連絡のメール、選考メモを当たって、約束らしきものが無かったかを先に拾っておくほうが手数は少なくて済みます。選考中の応募者に同じことが起きたときの対応は選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかの考え方が流用できます。

3. 初日の説明が「済んだこと」になっていないか

入社初日にやることのリストが前任者のPCの中にしかなかった場合、当日は誰かが記憶を頼りに対応しています。その結果、就業規則の所在、経費精算の方法、有給の申請先、緊急時の連絡先といった細かい説明が抜けたまま数週間経っていることがあります。

本人は「今さら聞きにくいこと」を抱えたまま黙っているのが普通です。入社から1ヶ月以内であれば、「担当が交代したので、説明済みかどうかをこちらで確認したい」という切り出し方で自然に確認できます。抜けていた項目は、そのまま次回以降の初日チェックリストになります。

4. 上長と本人の両方から聞く

立ち上がりの状況は、上長に聞くだけでは足りません。上長からは「特に問題ない」と返ってくることが多く、本人からは「何を任されているのか分からない」と出てくる、という食い違いが起きます。15分ずつでよいので、別々に聞いてください。聞くことは3つに絞ります。今どの仕事を任されているか、困ったときに誰に聞いているか、入社前に聞いていた話とずれている点はあるか。

やり直しのコストは、金額より作業量で考える

早期離職の何が痛いかというと、支払った採用費よりも、もう一度同じ作業を全部やり直すことです。1名分を採り直すときに発生する作業を並べると次のようになります。

段階やり直しに必要な作業
募集求人原稿の修正、媒体の選定と発注、掲載開始までの社内決裁
選考応募対応、日程調整、面接官の稼働確保、合否連絡
内定〜入社条件提示、内定通知、書類回収、社会保険の届出
入社後初日の受け入れ、配属先への説明、教育の再開
現場欠員期間の業務カバー、教えた分の巻き戻し

この一連を、採用担当が不在の状態でもう一度回すことになります。媒体費だけを見て「また出せばいい」と判断すると、実際に動く人の時間が見えません。費用面の全体像は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかで試算しています。入社後1〜3ヶ月に15分の面談を数回入れておくほうが、作業量としては明らかに軽く済みます。

止めないための最低限の仕組み

凝った制度は要りません。入社日を起点に、1週間後・1ヶ月後・試用期間満了の1ヶ月前という3つの日付を、入社が決まった時点でカレンダーへ登録する。それぞれ15分の面談を入れ、聞いた内容を3行でも共有フォルダに残す。担当者が誰であっても同じ日付で動く形にしておけば、次に担当が交代しても同じ穴は空きにくくなります。

この仕組みは、採用そのものを回す手順とセットで作らないと定着しにくい傾向があります。採用フローの手順化については採用フローを手順化するとき、最初に書くべき5項目を参考にしてください。

相談先

入社直後の社員のフォローが止まっている場合、その手前では求人も選考も止まっていることがほとんどです。当社の採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善をまとめて引き受けるサービスです。後任は採用担当の経験者でなくてかまいません。当社が育てたうえで引き継ぎます。標準プランは4ヶ月・200万円(税別・広告費込み・分割可)で、ほかに復旧のみの2ヶ月プランもあります。詳しくは料金プランをご覧ください。

まずは現状の把握からで結構です。媒体アカウント・契約・進行中の応募者を棚卸しする「採用ストップ診断」までは無料で承っています。ご相談はLINE公式からどうぞ。

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