採用単価から逆算する採用予算の立て方
来期の予算を組む段階になって、採用費の枠をどう置くか迷う場面は多いと思います。前任の採用担当が使っていた媒体費の実績はあるものの、それが妥当な金額なのか、来期に何人採るためにいくら必要なのかが説明できない。稟議に出すと「去年と同じでいいのか」と聞かれて答えに詰まる、という状態です。
採用予算は「去年の媒体費の積み上げ」ではなく、「1人採るのにいくらかかるか(採用単価)× 何人採るか」で組むほうが、社内で説明しやすくなります。この記事では採用単価の分子に何を入れるべきか、そこから年間予算を逆算する手順を、採用の専門知識がない前提で整理します。
採用単価は「媒体費 ÷ 採用人数」ではない
採用単価(1人あたり採用コスト)は、採用にかかった費用の総額を採用できた人数で割った数字です。問題は分子に何を入れるかで、媒体費だけを入れると実態から大きくずれます。
| 費用の種類 | 具体例 | 見落とされやすさ |
|---|---|---|
| 外部支出(変動) | 人材紹介の成功報酬、求人媒体のオプション | 低い(請求書が来る) |
| 外部支出(固定) | 媒体の掲載枠、採用管理ツールの月額 | 中(採用ゼロでも発生する) |
| 社内人件費 | 採用担当の給与、面接に出る社員の時間 | 高い |
| 制作・その他 | 求人原稿の制作、会社紹介資料、交通費 | 高い |
社内人件費を入れるかどうかで、採用単価は大きく変わります。 面接1回に管理職2名が1時間ずつ出ていれば、それは会社の支出です。予算書に載らないため無料に見えますが、採用単価を比較するときにここを外すと「紹介会社は高い、自社募集は安い」という誤った結論になりがちです。
人材紹介の成功報酬は理論年収の30〜35%程度が一般的な相場とされます(媒体・エージェントにより異なります)。年収400万円の人を紹介経由で採れば120〜140万円前後。この金額と、自社募集で媒体費と担当者の工数をかけた場合の総額を、同じ土俵で比べる必要があります。採用担当そのものを紹介経由で採る場合の総額は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかで試算しています。
年間予算を逆算する4ステップ
1. 職種別に必要人数と時期を書き出す
「来期5名」ではなく「営業3名(上期2・下期1)、製造2名(通期)」まで分けます。職種によって採用単価は数倍違うため、まとめて計算すると精度が出ません。
2. 職種ごとに単価の目安を置く
過去の実績があればそれを使います。無ければ、その職種を紹介経由で採った場合の想定額を上限、自社募集で採れた場合を下限として幅で置きます。この時点では精度より「幅で説明できること」が大事です。
3. チャネル構成比を決める
全員を紹介経由で採る前提だと予算が膨らみます。逆に全員を自社募集で採る前提は、担当者が回せる工数を超えることが多いです。「営業3名のうち2名は自社募集、1名は紹介」といった構成を先に決めます。
4. 固定費と変動費に分ける
媒体の掲載枠やツール代は、採用できなくても出ていく固定費です。紹介手数料は採用できたときだけ発生する変動費です。この区分を分けておくと、期中に採用が遅れたときに何を止められるかが判断できます。
予算表の組み立て例
以下は考え方を示すための架空の例です。金額は目安として置いたもので、業種・地域・職種によって変わります。
| 項目 | 区分 | 年間の考え方 |
|---|---|---|
| 求人媒体の掲載枠 | 固定 | 月額 × 掲載月数(採用ゼロでも発生) |
| 媒体オプション・スカウト | 変動 | 応募が足りない月に追加投下する予備枠 |
| 人材紹介の成功報酬 | 変動 | 紹介で採る想定人数 × 想定年収 × 30〜35% |
| 採用担当の人件費 | 固定 | 年収 × 採用業務に割く割合 |
| 面接に出る社員の時間 | 固定 | 面接回数 × 参加人数 × 時間単価 |
| 採用体制の整備・外部支援 | 一時 | 担当交代や仕組みづくりに充てる枠 |
予備枠を最初から数字として置いておくのが実務上のポイントです。応募が来ない局面で追加投下の判断が遅れると、そのまま採用が止まります。応募が止まったときにどこから直すかは応募が来ない求人を立て直す優先順位にまとめています。
採用担当が不在だと、予算の見え方が歪む
採用担当が退職した会社では、この計算の前提が崩れます。担当者の人件費という固定費は一時的に消えますが、掲載中の媒体費は発生し続けます。対応する人がいないまま掲載が残ると、費用は出ているのに応募者が離れていく状態になります(求人を止めている間に、応募者はどうなるのか)。
さらに、社内で対応できないぶん人材紹介に頼る比率が上がるため、採用単価は上がる方向に動きます。担当不在の期間が長引くほど、同じ人数を採るための予算は膨らみやすいと考えたほうが安全です。
そのため、年間の採用予算には「人を採るための費用」だけでなく「採用を回せる体制を維持する費用」を並べて置くことをおすすめします。担当が1名だけの会社では、この項目が実質ゼロになっているケースが多いです(採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理する)。
体制の費用をどこに置くか
当社の採用担当引き継ぎ代行は、標準プラン4ヶ月200万円(税別・広告費込み・分割可)です。内訳は、止まった求人活動の復旧、後任の採用担当の採用、引き継ぎと業務改善の3つ。後任は採用担当の経験者でなくてよく、当社が育てて引き継ぎます。
予算上は、月50万円 × 4回の一時費用として置くか、後任の採用費と体制整備費を合わせた枠として計上する形になります。求人広告費が含まれるため、この期間の媒体費を別枠で積む必要はありません。他に復旧のみの2ヶ月80万円、完全支援の6ヶ月300万円があります。
まずは現状の把握からで構いません。媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料で対応しています。ご相談はLINE公式アカウントから受け付けています。