媒体営業やエージェントとの会話で出てくる採用用語を、後任向けに整理する
前任の採用担当が辞めたあと、媒体の営業担当や人材紹介会社と初めて打ち合わせをする。相手は「母集団が薄いので、オプションで露出を上げましょう」「理論年収はいくらで見ればよいですか」と話を進めます。聞き返しにくいままうなずき、何を決めたのか分からないまま会議が終わることがあります。
言葉が分からないと、相手の提案をそのまま受け入れるか、判断を先送りするかのどちらかになりがちです。この記事では、打ち合わせで出てくる採用用語を約20語に絞り、意味と「その言葉が出たら何を確認するか」を並べました。最後に、後任が自分で追記していける用語集の置き方もまとめています。
用語集は「意味」だけでは役に立たない
用語の意味を調べること自体は、検索すればすぐにできます。ただ、意味が分かっても、打ち合わせの場で何を聞き返せばよいかが分からなければ、判断はできません。
たとえば「応募課金」の意味は「応募1件ごとに費用がかかる料金体系」です。しかし実務で大事なのは、何を1件と数えるのか(同じ人の重複応募や、応募条件を満たさない応募も含むのか)を確認することです。そのため以下の表では、意味の横に「確認すること」を置いています。
求人媒体の打ち合わせで出てくる言葉
課金形態の違いを詳しく知りたい場合は、求人広告の課金形態4つの違い(掲載課金・クリック課金・応募課金・成果報酬)で整理しています。ここでは会話の中での確認ポイントに絞ります。
| 用語 | 意味 | 出たときに確認すること |
|---|---|---|
| 母集団 | 応募者や候補者の集まり、またはその人数 | 閲覧者・応募者・面接者のどれを指すか、どの期間の数か |
| 露出 | 求人が求職者の目に触れる量 | 何の数字で測っているか(表示回数か閲覧数か) |
| PV・閲覧数 | 求人原稿が見られた回数 | 閲覧のうち何件が応募になったかをセットで聞く |
| 原稿 | 媒体に載る求人の文面・写真 | 修正は誰が行うか、反映までの日数、修正の追加費用 |
| 掲載課金 | 掲載期間に対して料金がかかる形 | 期間の長さ、途中で止めた場合の扱い |
| クリック課金 | 求人がクリックされるたびに費用がかかる形 | 月の上限予算の設定、誰が管理画面で止められるか |
| 応募課金 | 応募1件ごとに費用がかかる形 | 重複応募や条件外の応募も1件に数えるか |
| オプション | 上位表示や特集枠などの追加メニュー | 単独の金額、外した場合に何が変わるか |
| スカウト | 企業側から登録者へ個別に応募を誘う機能 | 送信できる通数、誰が送り誰が返信するか |
| 自動更新 | 契約が申し出なしに延長されること | 停止の申し出期限と連絡先 |
提案の数字そのものの妥当性を見たい場合は、媒体営業の提案と見積もりを、素人がどう評価するかもあわせて読んでください。
人材紹介会社(エージェント)との会話で出てくる言葉
人材紹介では、費用が採用決定後に発生するため、契約書の言葉の定義が金額に直結します。
| 用語 | 意味 | 出たときに確認すること |
|---|---|---|
| 推薦 | エージェントが候補者を企業に紹介すること | 推薦日を記録しているか、合否の返答期限 |
| 書類通過・見送り | 書類選考の結果 | 見送り理由をどこまで具体的に返すか |
| 求人票(JD) | エージェントに渡す募集内容の説明書。JDは「ジョブ・ディスクリプション」の略 | 媒体の原稿と給与や仕事内容が揃っているか |
| 成功報酬(紹介手数料) | 入社が決まったときに払う費用 | 料率と、請求が来る時期(内定時か入社時か) |
| 理論年収 | 手数料を計算するもとになる年収 | 賞与・手当・残業代を含むかの定義(契約によって異なる場合があります) |
| 返金規定 | 入社後すぐ辞めた場合に手数料が戻る取り決め | 対象期間と、戻る金額の計算方法 |
| 重複推薦・先行推薦 | 同じ人が複数経路から入ったときの扱い | どちらを先とするかの基準日 |
| オファー | 内定と条件の提示 | 書面で出すか、回答期限をいつにするか |
| 内諾・承諾 | 候補者が入社の意思を示すこと | 口頭か書面か、辞退の連絡はどこに来るか |
選考の進み具合を話すときの言葉
社内の報告や、媒体営業との振り返りで出てくる言葉です。
歩留まり
選考の各段階で、次の段階へ進んだ人の割合です。「面接の歩留まりが悪い」と言われたら、どの段階からどの段階への割合かと、分母が何人かを聞いてください。分母が小さいと、1人の差で割合が大きく動くことがあります。
選考リードタイム
応募から内定までにかかった日数です。どこで日数がかかっているか(日程調整か、合否判断か)を区切って聞くと、直す場所が見えます。
辞退
「選考辞退」と「内定辞退」は原因の調べ方が違うため、どちらの話かを確認します。
ATS
採用管理システムの略で、応募者情報を一元管理するツールです。「ATSと連携できます」と言われたら、自社で使っているかどうか、使っていない場合に追加費用が発生するかを確かめます。
分からない言葉が出たら、その場で定義を聞く
打ち合わせで知らない言葉が出たときは、「御社ではその言葉をどういう意味で使っていますか」と聞くのが角の立たない聞き方です。同じ言葉でも、会社や媒体によって数え方が違う場合があるため、定義の確認は経験者でも行う作業です。
聞いた内容は、打ち合わせのメモにそのまま残してください。その日のうちに用語集へ転記すれば、次の打ち合わせから同じ質問をしなくて済みます。
用語集を共有フォルダに置き、後任が追記する
用語集は個人のメモではなく、採用の共有フォルダに1ファイルで置きます。フォルダの構成は採用の共有フォルダを作り直す。最小のフォルダ構成と権限の「手順書」フォルダに入れる形が収まりやすいはずです。
列は次の5つで足ります。
- 用語
- 意味(自分の言葉で書く)
- 出たときに確認すること
- 誰から聞いたか・どの契約での定義か
- 追記した日
運用のルールは2つだけです。打ち合わせで新しい言葉が出たら追記すること、そして契約によって定義が違う言葉(理論年収、応募1件の数え方など)は契約先ごとに行を分けることです。この表は、次に担当が替わったときの引き継ぎ資料にもなります。
言葉が分からない後任でも、育てて引き継げる
採用用語が分からないのは、未経験の後任なら当然のことです。言葉と確認ポイントをセットで渡せば、経験者でなくても打ち合わせで判断できるようになります。
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