社長が急に面接するときの準備(質問と評価の最低ライン)
採用担当が退職し、一次面接を誰も担えない。日程だけは応募者と決まっている。仕方なく社長や管理部門の責任者が面接室に入る——という場面は珍しくありません。面接の経験がないわけではないが、最終面接で「最後にひと押し」する立場と、一次で見極める立場は求められることが違います。
この記事は、面接がうまくなる方法ではなく、担当不在の期間を事故なく通過するための最低ラインをまとめたものです。押さえるのは3つだけ。質問の型、聞いてはいけない質問、そして次のステップを口頭で伝えること。加えて、面接の巧拙より「記録が残っているか」を重視する理由を説明します。
30分をどう割るか
一次面接は30分で組まれていることが多く、その中で欲張ると全部が中途半端になります。先に配分を決めてしまうほうが安全です。
| 時間 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 0〜3分 | 自己紹介と、担当が交代している旨の一言 | 応募者の不安を先に消す |
| 3〜13分 | 応募者の職務経歴を聞く(質問4つ) | 事実の確認 |
| 13〜20分 | 会社と仕事内容の説明 | 応募者に判断材料を渡す |
| 20〜27分 | 応募者からの質問 | 志望度と不安点の把握 |
| 27〜30分 | 次のステップと回答期日を伝える | 選考を止めない |
見極めに使える時間は実質10分ほどです。その10分で全人格を評価しようとせず、「次に進めるかどうか」だけを決めると割り切ってください。担当交代の伝え方そのものは選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかに整理しています。
質問は4つでいい
経験の浅い面接官ほど質問数が増え、話が浅いまま終わります。以下の4つを順番に聞き、それぞれで「具体的にどうやったか」を一段だけ掘り下げるのが扱いやすい型です。
- 直近の仕事で、実際に担当していた範囲を教えてください(役職名ではなく、日々何をしていたか)
- その中で、うまくいった仕事をひとつ挙げてください。何をしたからそうなったと考えていますか
- 逆に、うまくいかなかった仕事はありますか。そのとき次にどうしましたか
- 転職を考えている理由と、次の職場で変えたいことを教えてください
1で範囲、2で再現性、3で失敗時の動き方、4で入社後に不満が再発しないかを見ます。答えが抽象的なときは「そのとき、最初に何をしましたか」と時系列で聞き直すと具体が出やすくなります。
なお、この4つは職種を問わず使えますが、現場の技術的な適性までは判断できません。一次では落とさず二次で現場に見てもらう、という前提で運用するほうが取りこぼしが減ります。どこまでを社内で担い、どこから外に出せるかは面接はどこまで外部に任せられるかを参考にしてください。
聞いてはいけない質問
ここは巧拙ではなく、避けないと問題になる領域です。厚生労働省は「公正な採用選考の基本」として、応募者本人に責任のない事項や、本来自由であるべき事項を採用選考で把握しないよう求めています。具体的には次のようなものです。
- 本籍・出生地、家族の職業や収入、住宅の状況、生活環境
- 宗教、支持政党、思想信条、尊敬する人物、購読している新聞や愛読書
- 労働組合や社会運動に関する情報
雑談のつもりで「ご実家はどちらですか」「ご家族は何をされているんですか」と聞いてしまう例が多く、悪意がなくても応募者側の心証は下がります。アイスブレイクは天気か交通経路にとどめ、プライベートには踏み込まないと決めておくのが安全です。
転居の可否や勤務地の希望など、業務上必要な確認は聞いて構いません。ただし「結婚の予定はありますか」といった形に置き換えず、「配属先は◯◯になりますが通勤は可能ですか」と、業務上の必要性が分かる聞き方にしてください。
応募者に伝えるべき情報
一次面接は会社が選ぶ場であると同時に、応募者が会社を選ぶ場です。担当不在で情報提供が薄くなると、通過しても次に来てもらえないことがあります。最低限、次の4点は口頭で伝えてください。
- 任せたい仕事の具体(1日の流れ、誰と組むか)
- 配属部署の人数と、直属の上司になる人
- 給与レンジと、賞与・残業の実態
- 選考の残り回数と、入社可能時期の目安
給与を曖昧にしたまま進めると、内定段階での条件のずれが辞退につながりやすくなります。求人票の記載と口頭の説明が食い違っていないかは、面接前に一度目を通しておいてください。原稿側の見直し観点は求人原稿を刷新するときに直す7か所にまとめています。
次のステップは口頭で言い切る
面接の最後に「結果は追ってご連絡します」で終えると、応募者側は待ち時間の見当がつかず、他社の選考が先に進みます。伝えるのは次の3つです。
- 次の選考が何回あるか
- 結果をいつまでに連絡するか(「今週中」ではなく「◯日まで」)
- 誰から連絡が来るか(担当者名かメールアドレス)
期日を言い切るには、社内で合否を決める人と決める日を面接前に押さえておく必要があります。担当が抜けている会社ほどここが詰まりやすく、返信の遅れが結果を左右する構造は応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかで扱っています。
記録が残っていれば、面接は下手でもいい
担当不在の期間の面接で最も損失が大きいのは、判断がその場の記憶にしか残らないことです。後任が入ったとき、なぜその人を通したのか・落としたのかが分からなければ、基準はまた一から作り直しになります。
評価は点数化せず、次の5行を面接直後(できれば5分以内)に埋めてください。様式はメモ帳でも共有シートでも構いません。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 事実 | 経歴・担当範囲で確認できたこと(推測は書かない) |
| 懸念 | 引っかかった点と、その根拠になった発言 |
| 確認事項 | 次の面接で誰が何を聞くか |
| 判定 | 次へ進める/見送る/保留 |
| 伝えた内容 | 給与レンジ、次回の案内、回答期日 |
「伝えた内容」の行を必ず残してください。後から条件の食い違いが起きたとき、口頭で何を言ったかが分かるかどうかで対応の重さが変わります。この記録が溜まれば、後任が入ったときに判断基準を復元する材料になります。引き継ぎ全体で何を残すかは採用業務の属人化を解く。引き継ぎ書に必ず書く12項目を参照してください。
面接を回せても、採用は回らない
社長が面接に入れば選考は進みますが、日程調整、媒体の運用、原稿の修正、応募者への連絡までは戻りません。面接だけを埋める運用は数週間なら持ちますが、それ以上続くと本業の時間が削られていきます。
Talencoの採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任となる採用担当の採用、そして引き継ぎと業務改善までを一括で担います。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえで引き継ぐため、社内異動や未経験者の採用でも成立させやすい設計です。標準プランは4ヶ月・200万円(税別・広告費込み、分割も可)。復旧のみの2ヶ月プラン、6ヶ月の完全プランもあります。
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