障害者雇用の対応や年次の報告が止まっているとき
採用担当が退職したあと、求人の再開ばかりに目が向きがちですが、その担当が障害者雇用の窓口や行政への年次報告も兼ねていた場合、先に手を付けるべきものが別にあります。採用の遅れは社内の都合で調整できますが、行政への報告や支援機関との約束は、期限が社外で決まっているためです。
「前任者が役所に何かを出していたはずだが、何をいつ出していたのか分からない」という状態は珍しくありません。この記事では、制度の中身の解説には踏み込まず、何がいつ期限の手続きなのかを特定し、どこに聞けばよいかを決めるところまでに絞って整理します。自社が対象になるか、いつまでに何を出すかは、所轄のハローワーク・労働局や顧問社労士に必ず確認してください。
期限が社外で決まっているものを先に置く
前任者が採用以外も兼務していた場合、戻す順番は「期限を自社で動かせるか」で決まります。求人の再開日は来月にずらせますが、行政への報告期限や支援機関との面談日程は自社の都合でずらせません。兼務業務全体の優先順位の付け方は前任者が採用以外も兼務していた。どの業務から戻すかで扱っているので、ここでは障害者雇用に関わる部分に絞ります。
厄介なのは、これらの手続きが「毎年決まった時期に一度だけ」発生することが多い点です。日常業務の中に現れないため、引き継ぎ書からも抜け落ちやすく、期限が来て初めて気づくことになります。
何がいつ期限なのかを、確認先ごとに洗い出す
まず、自社に関係しうる手続きを種類で並べ、それぞれの確認先と、社内に残っているはずの記録を対応づけます。下表は洗い出しの出発点として使ってください。自社が対象になるかどうか、期限が今年度どう設定されているかは、表の確認先に直接問い合わせるのが早いです。
| 手続きの種類 | 主な確認先 | 社内で探す記録 |
|---|---|---|
| 障害者の雇用状況に関する年次の報告(毎年6月1日現在の状況を報告する仕組み) | 所轄のハローワーク | 前年の報告書の控え、対象となる社員の名簿 |
| 障害者雇用納付金に関する申告・納付(対象となる規模かどうかを含めて要確認) | 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の窓口 | 前年の申告書控え、納付の記録、経理の支払履歴 |
| 障害者雇用に関する助成金の支給申請・実績報告 | 制度により労働局・ハローワーク・JEEDなど申請先が異なる | 支給決定通知、申請書の控え、稟議 |
| 同時期に提出する他の雇用関係の報告 | 所轄のハローワーク | 前年の控え、提出時の送付記録 |
| 在籍者の定着支援・職場での面談の予定 | 就労支援機関、地域障害者職業センターなど | 支援計画の書面、前任者宛のメール履歴 |
問い合わせるときは、会社名・所在地・おおよその従業員数を伝えたうえで、「前任の担当者が退職し、昨年度何を提出したか分からない。自社が対象となる手続きと、今年度の期限を確認したい」と率直に言って構いません。行政の窓口は、この種の照会を受け慣れています。制度の適用関係で判断に迷う部分は、社労士に確認するのが確実です。顧問社労士にどこまで相談できるかは顧問社労士に採用業務をどこまで頼めるかにまとめています。
社内に残っている記録をどこから探すか
確認先が分かっても、過去に何を出したかが分からないと話が進みません。探す場所は、おおむね次の順です。
- 総務・経理が保管する前年度の提出書類の控え(紙のファイルに綴じられていることが多い)
- 会社宛に届いた封筒や通知(未開封のまま前任者の机に残っている場合があります)
- 経理の支払記録(納付や手数料の支払があれば、相手先から手続きを逆引きできます)
- 共有フォルダと前任者の業務用メール(「報告」「申告」「支給決定」などで検索)
- 支援機関や関係者からの連絡履歴
前任者の端末や個人アカウントに記録が残っているケースへの対処は、採用担当が退職した直後にやるべき7つのことで扱っているアカウント回収と同じ動き方になります。記録が見つからない場合でも、確認先に照会すれば提出状況を教えてもらえることがあるため、社内で探し続けるより先に電話を入れたほうが早いことが多いです。
募集を再開する場合の順番
在籍者への対応と期限のある手続きに目処が立ってから、募集の話に移ります。順番を逆にすると、応募者が現れた時点で受け入れ体制の不備が表面化しやすくなります。
| 順番 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 期限のある手続きの特定と、確認先への照会 | 今週中 |
| 2 | 在籍している社員・支援機関への「窓口が誰になったか」の連絡 | 今週〜来週 |
| 3 | 既存求人の状態確認(失効・条件の古さ・応募の滞留) | 窓口を決めた後 |
| 4 | 受け入れ側(配属先・業務の切り出し・設備)の再確認 | 募集を出す前 |
| 5 | 募集の再開 | 4が終わってから |
ハローワークに出していた求人は、担当者不在の間に有効期限が切れていることがあります。再掲載の手順はハローワーク求人が失効している/内容が古いときの再掲載手順を参照してください。
採用の復旧と、制度対応の線引き
当社の採用担当引き継ぎ代行が担うのは、止まった求人活動の復旧と、後任の採用・育成です。行政への報告や納付金の申告といった制度上の手続きそのものは、所轄の窓口や社労士と進めていただく領域になります。ただし、「何が止まっているのか」を棚卸しする段階では、採用と制度対応が同じ人の頭の中にあったケースが多く、切り分け自体に手間がかかります。
後任は採用担当の経験者でなくても構いません。社内の総務や管理部門の方が引き継ぐ前提で、4ヶ月かけて回せる状態まで育てるのが当社の標準プラン(200万円・税別・広告費込み・分割可)です。範囲と進め方は採用担当引き継ぎ代行、費用の内訳は料金プランをご覧ください。
採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。ご相談はLINE公式から受け付けています。何から手を付けるべきかの整理だけでも構いませんので、お気軽にご連絡ください。