採用担当の退職を、媒体営業・エージェント・現場にいつ伝えるか
採用担当の退職が決まった、あるいはもう出社していない。社内の引き継ぎに追われているうちに、「そういえば媒体の営業さんに何も言っていない」「紹介会社から推薦が届いているが返せていない」という状態になっていることがあります。逆に、まだ何も決まっていない段階で全方位に「担当が辞めまして」と伝えてしまい、紹介会社の推薦が止まったり、現場に不安が広がったりするケースもあります。
伝える相手には順番があります。判断の軸は「その人に伝えないと、いま動いている何かが止まるか」です。この記事では、社外と社内を分けて、先に伝えるべき相手と、後任の見通しが立つまで伏せてよい相手を整理します。
判断の軸は「止まると困るものを持っているか」
前任者が窓口だった相手は、大きく3種類に分かれます。
- こちらが返信しないと相手の行動が止まる相手(選考中の応募者、推薦を出している人材紹介会社)
- 放っておいても課金や契約が進む相手(求人媒体の営業担当、契約更新の窓口)
- 伝えなくても実害は出ないが、知らないままだと後で困る相手(現場の面接官、経営、他部署)
先に手を打つべきは1です。応募者と紹介会社は、返事が来ない期間が長引くほど、こちらの案件の優先順位を下げていきます。返信の空白そのものが、伝え方の巧拙よりも大きく効きます。 応募が宙に浮いている状態の作り方については採用担当が不在の間、応募窓口を1日でつくる手順にまとめています。
相手別の目安
順番とタイミングの目安を表にします。日数は状況によって前後するため、あくまで目安として扱ってください。
| 相手 | 伝えるタイミングの目安 | 伝える内容 |
|---|---|---|
| 選考中・内定者 | 退職が確定した直後(24〜48時間以内) | 新しい窓口の氏名とメールアドレス、次の連絡予定日 |
| 人材紹介会社 | 同上 | 窓口変更、進行中の候補者の確認依頼、募集継続の可否 |
| 現場の面接官 | 同上(窓口変更のみ) | 面接依頼が誰から来るか |
| 求人媒体の営業担当 | 掲載・契約の判断がついてから(数日〜2週間) | 窓口変更、掲載の継続・停止の意向 |
| 経営・役員 | 体制の見通しが立った段階 | 後任の方針と、それまでの暫定体制 |
| 社内全体・他部署 | 後任が決まってから | 新しい採用窓口の案内 |
媒体の営業担当を後ろに置くのは、掲載を続けるのか止めるのかを決めないまま連絡すると、話が「とりあえず継続」に流れやすいからです。契約と掲載の棚卸しは求人媒体の棚卸しで何を確認するかの手順で先に済ませ、意向を決めてから連絡するほうが話が早く終わります。
伝えるときの文面は「不在」ではなく「窓口」を書く
社外への連絡でやりがちなのが、事情の説明に紙幅を使ってしまうことです。相手が知りたいのは、退職の経緯ではなく「今後は誰に連絡すればよいか」「自分の案件はどうなるか」の2点です。
書くべき要素は次の3つに絞れます。
- 窓口が変わったこと(前任者の氏名は出してよいが、理由の詳述は不要)
- 新しい窓口の氏名・メールアドレス・返信の目安(例:翌営業日中)
- 相手の案件の現在地と、次にこちらから連絡する日
避けたほうがよいのは、「担当不在のためご迷惑をおかけします」「後任が決まり次第ご連絡します」だけで終わる文面です。読んだ相手は、いつ動きが戻るか分からないまま待つことになり、紹介会社であれば推薦の優先度を下げる判断につながる場合があります。期日を書けないときでも、「◯月◯日までに次のご連絡をします」と、連絡そのものの期日は置いてください。
応募者向けの文面は、選考の進み具合によって書き分けが必要です。一次面接待ち・日程調整中・結果待ちで伝える範囲が変わるため、選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかを参照してください。
社内は「窓口変更」と「体制の話」を分ける
社内向けの連絡は、2段階に分けると混乱が起きにくくなります。
第1段階は、現場の面接官への窓口変更の連絡です。これは退職確定と同時でかまいません。面接依頼が誰から来るのか、日程調整の返信を誰に返すのかだけを伝えます。この時点で「採用が止まるかもしれない」という見通しまで話す必要はありません。
第2段階は、経営や部門長への体制の話です。後任を社内から出すのか、外から採るのか、その間の暫定体制をどうするのかが固まってから伝えるほうが、議論が「誰が悪いか」ではなく「どうするか」に向かいます。後任にかかる費用の見立てが必要な場合は、採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかで試算の目安を確認できます。
社内全体への周知は、後任が決まってからで足りることが多いです。早い段階で全社に伝えると、各部署から「うちの募集はどうなるのか」という問い合わせが暫定窓口に集中し、肝心の応募者対応が後回しになる場合があります。
伝え忘れやすい相手
最後に、順番の議論から漏れやすい相手を挙げておきます。
- 求人媒体の代理店(媒体本体とは別の会社が窓口になっていることがあります)
- 適性検査・採用管理システムなどのツール提供元
- 選考中に一度辞退した候補者や、再応募の可能性がある過去の応募者
- 会社説明会や合同説明会など、日程が確定している外部イベントの主催者
いずれも請求書や過去のメールから逆算すると見つかります。契約や名義の洗い出しは、退職直後にやるべき作業の一部として採用担当が退職した直後にやるべき7つのこと(優先順位つき)にまとめています。
まとめ
伝える順番は、「返信しないと相手が動かない相手」から「知らせないと後で困る相手」へ、という並びになります。応募者と紹介会社を先に、媒体と社内全体を後に。文面は不在の説明ではなく、窓口と次の連絡日を書く。この2点を守るだけで、退職後の1〜2週間の傷は浅くなります。
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