リファレンスチェック(前職照会)の依頼が途中で止まっているとき
最終面接まで終わっている候補者がいる。あとはリファレンスチェック(前職や現職の関係者に働きぶりを確認する手続き)の結果を待って内定を出すだけ──そこまで進めた採用担当が退職してしまい、誰がどこに何を依頼したのかが分からない。候補者からは「その後いかがでしょうか」という連絡が届いているが、返せる材料がない。
この状態で一番まずいのは、結果が届くのを待ち続けることです。依頼が実際には送られていない場合も、相手が返信先を失って止まっている場合もあり、待っていても動きません。依頼の所在を特定する、候補者に状況を伝える、照会を待たずに判断する線を決める。この3つを同時に進めるのが現実的です。
まず、どのルートで依頼していたかを特定する
リファレンスチェックの依頼ルートは大きく3つです。どれかによって、連絡先も再開の手順も変わります。
| 依頼ルート | 痕跡が残っている場所 | 再開のために聞くこと |
|---|---|---|
| 専門のチェックサービス(Web型) | クレジットカード明細、経費精算、前任者宛のサービス通知メール | 依頼の登録状況、推薦者の回答状況、結果レポートの受け取り先 |
| 人材紹介会社(エージェント)経由 | 紹介会社との過去メール、推薦状、契約書 | 依頼を受けているか、候補者への同意取得が済んでいるか、回答の見込み時期 |
| 自社から前職の会社・個人へ直接依頼 | 前任者の送信メール、面接メモ、候補者から提出された推薦者の連絡先 | 依頼メールが届いているか、回答できる状況か |
どのルートも、最初に見るのは前任者のメールボックスです。 アカウントを停止してしまうと検索ができなくなるため、停止前に「リファレンス」「推薦者」「前職」「照会」といった語で検索しておきます。社内の共有フォルダに記録がなく、前任者の個人端末や個人メールで進めていた可能性がある場合は、前任者の個人携帯・個人メールで進んでいた候補者をどう見つけるかの手順と合わせて探すと漏れが減ります。
紹介会社経由だった場合は、窓口そのものが切れていることも多いため、人材紹介会社との窓口が切れたときの再開連絡を先に済ませてから照会の件を聞くほうがスムーズです。
依頼先への引き継ぎ連絡は、短く・事実だけ
依頼先への連絡文は、社内事情を詳しく説明する必要はありません。次の4点が入っていれば足ります。
- 担当が交代したこと(退職という言葉は使わなくてよい)
- 対象の候補者名と、依頼した時期の目安
- 現在の進捗を教えてほしいこと
- 今後の連絡先(できれば個人名ではなく採用窓口のアドレス)
依頼が実際には出されていなかったと判明する場合もあります。その場合は、改めて依頼するか、照会なしで進めるかの判断に移ります。再依頼には通常、候補者本人の同意取得からやり直す必要があり、数日から2週間程度かかることが多いと見ておくと予定が立てやすくなります。
候補者には、結果が出る前に連絡する
ここが遅れると辞退に直結します。候補者から見れば、最終面接の後に連絡が途絶えている状態です。他社の選考が並行していれば、そちらが先に決まります。
伝えるタイミングは、依頼先の進捗が分かる前で構いません。むしろ「調べてから連絡しよう」と思うと数日が過ぎてしまいます。連絡で伝えるのは次の3つです。
- 採用担当が交代したこと、今後は自分が窓口になること
- 現在は前職照会の結果を確認している段階であること
- いつまでに次の連絡をするか(日付で区切る)
やってはいけないのは、曖昧なまま「もう少しお待ちください」とだけ返すことです。期限のない待機依頼は、候補者側では「見送りの前触れ」と受け取られることがあります。逆に、照会の結果が芳しくないかのような印象を与える書き方も避けます。事実としては「手続きの確認中」であって、評価が揺らいでいるわけではないからです。
担当交代そのものの伝え方は選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかで状態別に整理しているので、文面の骨格はそちらを使ってください。
言い回しの例
○○様 このたび弊社の採用担当が交代し、△△が窓口を務めます。ご連絡が空いてしまい申し訳ございません。 選考は最終段階に入っており、現在は事前にご同意いただいた前職確認の手続きを進めております。○月○日までに次のご連絡を差し上げます。 ご状況に変化がありましたら遠慮なくお知らせください。
最後の一文を入れておくと、他社の内定が出ているかどうかを候補者から教えてもらえることがあります。これは判断を早めるうえで重要な情報になります。
結果が揃わないとき、照会なしで内定を出してよいか
照会の目的は「面接で得た情報の裏取り」です。何を裏取りしたかったのかによって、省略できるかどうかが変わります。
| 確認したかったこと | 照会なしで進められるか | 代わりの手段 |
|---|---|---|
| 在籍期間・役職・職務内容の事実確認 | 進めやすい | 本人に在籍証明書・源泉徴収票・離職票の提示を依頼する |
| 退職理由や人間関係の懸念 | 慎重に判断したい | 試用期間の設定と、配属先上長による面談を追加する |
| 資格・免許の有無 | 進めやすい | 原本または写しの提出を入社書類に含める |
| 経歴詐称の疑いが具体的にある | 省略しにくい | 結果を待つか、本人に説明の機会を設けてから判断する |
| 前任者が「気になる点がある」とメモを残している | 内容が不明なら省略しにくい | メモの根拠を探し、分からなければ別の面接官が再度会う |
判断の軸は、照会が「念のための確認」だったのか「具体的な懸念の検証」だったのかです。前者であれば、入社書類での事実確認と試用期間の運用で代替できる場合が多くなります。後者であれば、結果を待つか、懸念点を直接本人に確認する場を設けるほうが安全です。
前任者の面接メモが残っておらず、何を気にしていたのか分からないケースもあります。その場合は、判断材料がないまま内定を出すより、別の面接官が30分程度あらためて会うほうがリスクが小さいことが多いです。候補者には「担当交代に伴う最終確認」と説明すれば、不自然にはなりません。
なお、リファレンスチェックは候補者本人の同意を得たうえで行うのが一般的です。同意の記録が見つからない場合、照会を続けること自体を止めて、本人に改めて同意を取り直すか中止するかを決めてください。この点は自己判断せず、顧問弁護士や社会保険労務士に相談する線引きを持っておくと安心です。
内定を出すと決めたら、条件提示まで一気に進める
照会の扱いが決まったら、間を空けずに条件提示へ進みます。待たせた分だけ、候補者の中では他社との比較が進んでいます。金額・勤務地・配属・入社日・回答期限を一度の場で揃えて伝える進め方は内定を出すとき、条件をどう伝えるか(オファー面談の組み立て)にまとめています。
同じことを繰り返さないために
リファレンスチェックが宙に浮くのは、依頼の記録が担当者個人のメールにしか残らないためです。再発を防ぐには、依頼日・依頼先・同意取得日・結果受領予定日の4項目を応募者管理表に列として持たせておくだけで足ります。ツールを入れる必要はありません。
前職照会が止まっているときは、たいてい他の選考も同時に止まっています。進行中の応募者が何人いて、どの状態で待っているのかを一度棚卸しすると、優先順位が見えます。
株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧と、後任の採用担当の採用、そして引き継ぎと業務改善までを担当します。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえで引き継ぎます。プランは復旧2ヶ月80万円・標準4ヶ月200万円・完全6ヶ月300万円の3つで、すべて税別・広告費込み・分割払いに対応しています(料金プラン)。
まずは、媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料でご利用いただけます。ご相談はLINE公式からどうぞ。