人材紹介会社との窓口が切れたときの再開連絡
求人媒体は管理画面があるので、ログインさえできれば何が起きているか目で見えます。ところが人材紹介会社(エージェント)との関係は、担当者同士のメールと電話だけで動いていることが多く、前任者がいなくなった瞬間に何も見えなくなります。契約が何社あるのかも、いま誰を推薦されているのかも、社内の誰も答えられない。これは珍しい状況ではありません。
やっかいなのは、こちらから連絡しない限り、先方も動けないという点です。エージェント側から見ると、窓口のメールアドレスに送っても返信がない会社は「今は採らない会社」に見えます。ここでは、契約先の特定から再開連絡までを、手を動かす順番どおりに整理します。
まず、契約が何社あるかを請求書から逆算する
紹介会社との契約は、媒体と違って「使っていない期間は費用が発生しない」ものがほとんどです。そのため、月々の支払いを眺めても契約の存在に気づけません。探し方は次の順番が早いです。
| 探す場所 | 分かること | 注意点 |
|---|---|---|
| 過去2〜3年の請求書・支払明細 | 実際に決定があった会社。手数料の実額 | 成果が出ていない会社は出てこない |
| 契約書・基本契約書のファイル | 契約中の会社の全体像。手数料率と返金規定 | 紙のみ・前任者の引き出しにある場合がある |
| 前任者の会社メールの受信箱 | 直近のやり取り、推薦中の候補者 | 「様」「ご推薦」「職務経歴書」などで検索する |
| 名刺・共有フォルダ・稟議書 | 契約はしたが動いていない会社 | 担当者が交代している可能性がある |
請求書からは「過去に決まった会社」しか見えず、契約書からは「動いていない会社」も含めて見えます。両方を突き合わせて一覧にすると、連絡すべき先が固まります。前任者のメールにアクセスできない場合は、引き継ぎメモが無いとき、何から手をつけるべきかで扱っている、経理と情報システムから復元する手順を先に踏んでください。
この段階で一覧に載せるのは、社名・担当者名・契約日・直近のやり取りの日付の4項目で十分です。 手数料の条件はこのあとの連絡で確認します。
次に、進行中の推薦候補者がいないかを確認する
契約先の一覧ができたら、優先順位をつけます。上から連絡するのは、直近3ヶ月以内にやり取りの形跡がある会社です。この期間に推薦を受けていた場合、まだ選考が途中で止まっている候補者がいる可能性があります。
止まったままになりやすいのは、次の状態の人です。
- 職務経歴書が届いていて、書類選考の結果を返していない
- 書類は通過したが、面接日程の候補をこちらから出していない
- 面接を実施したが、合否を紹介会社に伝えていない
いずれも、候補者から見れば「連絡が来ない会社」です。紹介会社の担当者は候補者に説明を求められ、それができない状態が続くと、他社の選考を優先するよう案内するのが普通の対応になります。応募者側で何が起きるかは求人を止めている間に、応募者はどうなるのかで詳しく整理しています。
面接まで進んでいた候補者がいた場合、再開の連絡は紹介会社経由で行い、こちらから直接候補者に連絡しないでください。伝え方の骨格は選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかが参考になりますが、紹介経由の場合は必ず担当エージェントを通します。
再開連絡で聞く3点
連絡は電話よりメールを先に送り、記録が残る形にします。伝えるのは「担当が交代したこと」「今後の窓口」「採用を継続する意思」の3つ。そのうえで、次の3点を質問として明記します。
| 聞くこと | 具体的な聞き方 | なぜ必要か |
|---|---|---|
| 進行中の候補者 | 「現在ご推薦いただいている方、選考中の方はいらっしゃいますか」 | 止まっている選考を特定する。ここが最優先 |
| 手数料条件 | 「現行契約の手数料率と、算定基礎になる年収の範囲をご教示ください」 | 前任者が個別に交渉している場合がある |
| 返金・返戻規定 | 「早期退職時の返金規定は何ヶ月まで、何%でしょうか」 | 契約書に記載があっても運用が違うことがある |
手数料率は理論年収の何%という形が一般的ですが、率そのものより「何を年収に含めるか(賞与・みなし残業・住宅手当など)」で総額が変わります。ここを曖昧にしたまま進めると、内定後に金額でもめやすくなります。紹介経由で採用する場合の総額の考え方は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかにまとめています。
返金規定は、入社後◯ヶ月以内の退職で手数料の◯%を返還、という形が多く見られます。契約書の条文と、担当者の口頭説明が食い違うことがあるため、メールで書面として残しておくと後任が困りません。
連絡を後回しにすると、関係は静かに冷える
紹介会社の担当者は、複数の企業を同時に担当しています。候補者に提案する求人を選ぶとき、返信が速く選考結果が明確な会社が優先されるのは自然なことです。窓口が切れて数ヶ月連絡がない会社は、担当者の中で「休止中」に分類され、担当者自身の異動でさらに引き継ぎが薄くなります。
契約自体は残っていても、推薦が来ない状態が続く。これが「関係が冷える」ということです。復旧のために特別な交渉は要りません。担当交代の連絡と、募集職種・人数・想定年収を一枚にまとめて送るだけで、多くの場合は再開できます。ただし、再開後に最初の推薦へ返信が遅れると、また同じ状態に戻りやすくなります。返信の速さがどう効くかは応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかを参照してください。
一度きりの作業で終わらせない
再開連絡で得た情報は、そのまま社内の資料にします。最低限、次の項目を一覧にしておくと、次に担当が代わっても同じ調査を繰り返さずに済みます。
- 紹介会社名/担当者名/連絡先
- 契約日と契約書の保管場所
- 手数料率と年収の算定範囲
- 返金規定(期間と割合)
- 直近の推薦実績と決定実績
この一覧は、採用の引き継ぎ書に入れるべき項目の一部でもあります。全体像は採用業務の属人化を解く。引き継ぎ書に必ず書く12項目で扱っています。
紹介会社の棚卸しと再開連絡は、退職直後に手をつけたい作業のひとつですが、同時に求人媒体の復旧や応募者対応も動かす必要があり、兼任の担当者だけで並行するのは負担が大きい領域です。
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