採用支援を3社に相見積もりするとき、同じ条件で聞く方法
採用担当が辞めて、外部に頼むことを決めた。知り合いに紹介された会社と、検索して見つけた会社と、媒体の営業が連れてきた会社。3社に声をかけて見積もりをもらったものの、1社は月額の数字、1社は成功報酬、1社は一式の総額で、桁も単位もそろっていない。どれが高くてどれが安いのか、そもそも同じものを比べているのかが分からない——相見積もりでいちばん多い詰まり方です。
原因は各社の不誠実さではなく、こちらから渡した情報が会社ごとに違うことにあります。電話で説明した内容、メールに書いた内容、商談で口頭で補った内容がバラバラなら、提案の前提もバラバラになります。この記事では、3社に同じ文面で渡す依頼文の雛形と、返ってきた提案を横並びにするための比較表の作り方を示します。
金額の桁がそろわないのは、サービスの種類が違うから
採用支援と呼ばれるものには、少なくとも次の種類があります。求人広告の代理店、人材紹介、採用代行(RPO)、人事顧問・フリーランス人事、そして当社のような引き継ぎ代行。費用の発生タイミングがそれぞれ違うため、見積書の形も変わります。
| 種類 | 費用の出方(目安) | 主に動くもの |
|---|---|---|
| 求人広告・代理店 | 掲載期間ごとの掲載料 | 原稿と露出 |
| 人材紹介 | 入社時の成功報酬(理論年収の30〜35%が目安) | 候補者の推薦 |
| 採用代行(RPO) | 月額の業務委託費 | 応募対応・日程調整などの作業 |
| 人事顧問・フリーランス人事 | 月額の顧問料(稼働時間で変動) | 助言・設計 |
| 引き継ぎ代行 | 期間を区切った一式(当社は4ヶ月200万円・税別・広告費込み) | 復旧・後任採用・引き継ぎ |
**同じ「採用を助ける」でも、終わったときに社内に何が残るかが違います。**どこに相談すべきかの切り分け自体に迷っている場合は、採用が止まったとき、どこに相談すればいいのかを先に読んでから声をかける先を決めると、見積もりの本数を減らせます。
3社に同じ文面で渡す依頼文
商談の前に、次の項目を埋めた1通を全社へ送ります。口頭の補足は後にして、まず同じテキストを渡すことが大事です。
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 1. 背景 | 採用担当1名が◯月末で退職。後任未定 |
| 2. 欠員数と職種 | 営業2名、施工管理1名(中途のみ) |
| 3. 希望時期 | 掲載再開は今月中、初回入社は◯月を目安 |
| 4. 現在の媒体と契約 | A媒体(年間契約、更新◯月)、B媒体(停止中)、紹介会社2社 |
| 5. 直近の応募数 | 直近3ヶ月で月あたり◯件、うち面接到達◯件 |
| 6. 進行中の応募者 | 一次面接待ち3名、結果連絡待ち1名 |
| 7. 社内で動ける人 | 総務部長が週◯時間、面接は役員2名 |
| 8. 予算の考え方 | 年間の採用費の枠は◯万円。分割可否も知りたい |
| 9. 知りたいこと | 契約範囲・期間・社内で発生する作業・終了後に残るもの |
| 10. 回答期限 | ◯月◯日までに書面で |
5の応募数や6の進行中の応募者が分からない場合は、「不明」と書いて出して構いません。空欄のまま出すと各社が勝手に前提を置いてしまい、比較できなくなります。不明を不明と書けば、各社が「そこをどう調べるか」から提案に含めてきます。その違い自体が判断材料になります。
9を書いておくと、金額だけの見積書が返ってくる事故を減らせます。契約範囲の詰め方は採用代行を頼む前に確認する契約条件に項目を分けてまとめてあるので、質問文をそのまま流用してもかまいません。
返ってきた提案を3列に直す
各社の見積書を並べても形式が違うので、自分の手で次の3列に書き直します。表計算ソフトで1枚作れば十分です。
| 比較の列 | 書き方 |
|---|---|
| 月額換算 | 総額÷契約月数。成功報酬型は想定人数で仮置きし、仮置きした条件を併記する |
| 社内で発生する作業時間 | 月あたり何時間、誰が動くか(面接・決裁・資料提供を含める) |
| 終了後に残るもの | 契約が切れた翌月、社内に何が残っているか |
月額換算
一式の総額と月額の提案は、そのままでは比べられません。契約月数で割って月額にそろえます。成功報酬型は入社が何人発生するかで総額が変わるので、「1名入社で◯万円、2名で◯万円」と仮置きの条件を書き添えます。広告費が含まれるか別かも必ず確認してください。広告費別の月額は、媒体費を足すと見え方が変わることがあります。
社内で発生する作業時間
ここを書く欄がないと、安い提案が自動的に勝ちます。外部に出しても、面接官の確保、応募者への最終判断、求人条件の決裁は社内に残るのが一般的です。各社に「御社に依頼した場合、当社側で月に何時間、どの役職が動きますか」と同じ文面で聞いて、返ってきた数字を入れます。自社で後任採用まで抱える場合との工数差は自社で後任を採用する場合と代行に任せる場合、工数はどれだけ違うかに分解してあります。
終了後に残るもの
契約が終わった翌月、何が社内にあるか。候補は、後任の担当者本人、手順書、媒体と契約の一覧、合否の判断基準、応募者データ、週次報告の様式。**「残るものが何もない」提案が悪いわけではなく、止血だけを急ぐ局面ならそれが正解のこともあります。**ただし、残らないなら翌年も同じ費用が発生する前提で月額換算を見直す必要があります。
最後に聞く1つの質問
3社の表が埋まったら、最後に全社へ同じ質問を投げます。
「このご提案で、期待した結果が出なかった場合、何が原因だと考えられますか。その原因が当社側にある場合、事前に何を決めておけばよいですか」
価格や実績を聞いても、各社の答えは似通います。この質問は、提案の前提条件を相手に言わせる質問です。「面接官の枠が週に確保できないと止まります」「給与条件がこの水準だと応募が集まりにくいです」といった答えが返ってくるなら、その会社は自社の状況を具体的に読んでいます。逆に「全力でやります」としか返らない場合、提案の中身が一般論である可能性があります。
あわせて、提案が外れたときの扱い(期間の延長、追加費用、途中解約の条件)も、同じタイミングで書面に残してもらってください。契約後に聞くと交渉になりますが、見積もり段階なら確認です。
進め方で気をつける2点
1つ目は、依頼文を送る日と回答期限を3社でそろえること。1社だけ2週間遅れると、その間に状況が変わり、前提がずれます。
2つ目は、他社の金額を各社に伝えないこと。値下げは引き出せても、下げた分どこかの範囲が外れていることがあります。価格ではなく、範囲と前提で比べたほうが後で揉めにくくなります。
当社の標準プランは4ヶ月200万円(税別・広告費込み・分割可)で、求人活動の復旧・後任の採用・引き継ぎまでを1本にしています。ほかに復旧のみの2ヶ月80万円、完全版の6ヶ月300万円があります。後任は採用担当の経験者でなくてよく、未経験の方を育てて引き継ぐところまでを範囲に含めています。料金プランに内訳を、採用担当引き継ぎ代行に進行の流れを載せていますので、比較表の1列として並べてください。
相見積もりの前段として、採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料で行っています。ここで洗い出した情報は、そのまま他社への依頼文の2〜6番に使えます。ご相談はLINE公式からお受けしています。