求人広告は代理店経由か、媒体と直接契約か
採用担当が退職したあと、請求書の束を見ると見覚えのない広告代理店の名前が並んでいる。一方で、媒体会社から直接届いている請求書もある。誰がどこと契約したのか、前任者しか知らない——という状況は珍しくありません。
このタイミングは、契約形態を見直す数少ない機会でもあります。求人広告の出し方には、広告代理店を通す方法と、媒体運営会社と直接契約する方法があります。どちらが正解ということはなく、「いま社内に手を動かせる人がいるか」で向き不向きが変わります。この記事では、原稿と運用の担い手・価格・窓口・解約と請求という4点で違いを整理します。
そもそも何が違うのか
代理店経由とは、求人媒体の販売を担う広告代理店と契約し、代理店を通じて媒体に掲載する形です。契約書の相手方が代理店になり、請求も代理店から届くことが多くなります。直接契約は、媒体を運営する会社と直接やり取りし、契約も請求もその会社と一対一で行う形です。
同じ媒体の同じ掲載枠でも、どちらのルートでも買えることが多く、掲載面そのものに差が出ないケースもあります。違いが出るのは、掲載までの作業を誰がやるか、そして契約まわりの手続きの流れです。
比較1 原稿作成と運用を誰がやるか
ここが最も大きな差です。代理店経由の場合、原稿の作成・写真の手配・掲載後の反応を見た修正提案まで、代理店の担当者が請け負うことが一般的です。会社側は取材を受けて、出てきた原稿を確認すれば掲載まで進みます。
直接契約でも媒体側の営業担当が原稿作成を支援してくれる場合はありますが、管理画面の操作や日々の更新は自社で行う前提になっていることが多くなります。スカウト送信やクリック単価の調整が必要な媒体では、この差が実務量として跳ね返ります。
採用担当が不在で、社内に求人原稿を書ける人が一人もいない期間は、代理店の運用支援が効きます。 ただし後任が育った後もそのまま任せ続けると、原稿の書き方が社内に残りません。原稿の見直し観点は求人原稿を刷新するときに直す7か所に整理しています。
比較2 価格
掲載料金そのものは、代理店経由でも直接契約でも媒体の定価に沿うことが多いとされています。代理店は媒体側から手数料を受け取る仕組みになっていることが多く、そのため「代理店を通すと原稿作成料が別途かかる」とは限りません。一方で、代理店が独自の割引や追加特典を設定していることもあり、同一条件での見積もり比較をしてみないと実額は分かりません。
比較するときは、金額だけでなく「その金額で何をやってもらえるか」を並べてください。見積書の読み方は媒体営業の提案と見積もりを、素人がどう評価するかで詳しく扱っています。
| 比較の観点 | 代理店経由 | 媒体と直接契約 |
|---|---|---|
| 原稿作成 | 代理店が作ることが多い | 自社作成が前提のことが多い |
| 掲載後の運用 | 修正提案や運用代行を含む場合がある | 管理画面の操作は自社 |
| 掲載料金 | 媒体の定価に沿うことが多い | 媒体の定価 |
| 複数媒体の扱い | 1社の窓口でまとめられる場合がある | 媒体ごとに窓口が分かれる |
| 契約の相手方 | 代理店 | 媒体運営会社 |
| 解約・更新の連絡先 | 代理店(媒体とは別ルート) | 媒体運営会社 |
比較3 窓口の一本化と、その副作用
代理店経由の利点として挙げられるのが、複数媒体を扱う代理店なら1つの窓口で複数媒体を回せる点です。担当者が不在の会社にとって、連絡先が1つで済むのは実務上の負担が軽くなります。
一方で副作用もあります。契約の相手方が増えるため、「どの媒体を、どの代理店経由で、いつまで契約しているか」という全体像が社内から見えにくくなります。前任者が代理店の営業担当と口頭でやり取りしていた場合、退職後に社内の書類だけを見ても実態が復元できないことがあります。棚卸しの具体的な手順は求人媒体の棚卸しで何を確認するかにまとめています。
また、管理画面のアカウントが代理店側で発行・管理されているケースもあり、その場合は自社でログインできません。掲載を止めたいときに代理店の営業時間に依存する構造になります。
比較4 解約と請求の手続き
止めたいときに止められるかどうかは、契約形態によって手間が変わります。
| 状況 | 代理店経由で起きやすいこと | 直接契約で起きやすいこと |
|---|---|---|
| 掲載を止めたい | 代理店へ連絡し、代理店が媒体へ申請する。反映に日数がかかる場合がある | 管理画面または媒体担当へ直接連絡 |
| 自動更新を止めたい | 代理店との契約書と、媒体の掲載条件の両方を確認する必要がある | 媒体の契約書を確認すればよいことが多い |
| 請求の内訳を知りたい | 代理店の請求書に媒体名が明記されていないことがある | 媒体名と掲載期間が明示されることが多い |
| 担当者が退職した | 代理店の担当者が窓口を把握しており、連絡すれば復元できる場合がある | 媒体側の管理画面を回収する必要がある |
請求書に媒体名が出ていない場合は、代理店に内訳の明細を出してもらってください。「どの媒体に、いくら、いつからいつまで」の3点が分かれば、止める判断ができます。
どちらを選ぶかの目安
社内の体制から逆算すると判断しやすくなります。
- 求人原稿を書ける人が当面いない → 代理店の運用支援が効きやすい
- 複数媒体を同時に動かしている → 窓口が1つにまとまる代理店経由が回しやすい
- 媒体は1つだけ、応募数も多くない → 直接契約のほうが手続きが短い
- 後任を育てて社内に知見を残したい → 直接契約に寄せ、操作を後任に触らせる
担当不在の期間は前者、後任が立ち上がったら後者へ寄せる、という段階的な移行も現実的です。
どちらでも、契約書と請求書は社内に集める
代理店経由か直接契約かにかかわらず、最後に効いてくるのは同じことです。契約書の原本(またはPDF)と、直近1年分の請求書を、採用担当の個人フォルダではなく管理部門の共有フォルダに集めておく。この運用があれば、担当者が誰であっても契約の全体像を復元できます。
あわせて、管理画面のアカウントは法人名義・法人メールアドレスで発行し直してください。代理店が代理で発行している場合も、閲覧権限だけは自社で持てないか確認しておくと、次に担当が変わったときの復旧が早くなります。
契約形態の整理は、求人を再開する前の土台づくりにあたります。株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを一貫して行います。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえで引き継ぎます。費用は料金プランをご覧ください(標準プランは4ヶ月・200万円/税別・広告費込み、分割可)。
まずは現状把握からで構いません。採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。LINE公式からご相談ください。