人材紹介から推薦が来ないとき、求人票以外に何を渡すか
前任の採用担当が抜けたあと、人材紹介会社に「窓口が変わりました、募集は続いています」と連絡を入れた。求人票も送り直した。それなのに、推薦はぽつりぽつりとしか来ない。担当者からの返信も、以前より薄くなった気がする——そういう状態で止まっている会社は少なくありません。
連絡が届いていないわけでも、嫌われたわけでもないことが多いです。エージェントの担当者は同時に何十社もの求人を抱えていて、候補者と面談したとき「この人はどこに出すか」を短時間で選んでいます。そのとき選ばれるのは、推薦してよいかどうかを判断できる求人です。求人票だけでは、その判断材料が足りていないことがあります。
推薦が止まるのは、優先順位の後ろに回っているから
人材紹介会社の担当者が求人を後回しにする理由は、だいたい次のどれかです。
- 過去に推薦しても結果が返ってこなかった(見送り理由が分からない)
- どんな人なら通るのかが読めない(推薦の精度が上げられない)
- 候補者に職場のイメージを説明できない(口説く材料がない)
- 選考に時間がかかる(候補者が他社に決まってしまう)
いずれも「悪い会社だから」ではなく、情報が足りないために起きています。窓口の再開連絡そのものの手順は人材紹介会社との窓口が切れたときの再開連絡にまとめているので、まだ連絡が済んでいない場合はそちらを先に進めてください。ここでは、連絡したのに動かない段階の話をします。
推薦が増えるかどうかは、担当者が候補者を前にして3分で判断できる材料が手元にあるかどうかに左右されやすい、と考えると整理しやすくなります。
求人票に加えて渡す4点
渡すべきものは4つです。どれも採用の専門知識がなくても書けます。
| 渡すもの | 中身 | どこから拾うか |
|---|---|---|
| ①見送り理由のフィードバック | 推薦された人を見送った理由を1〜2行 | 面接官・書類選考の記録 |
| ②通過した人の共通点 | 実際に通った人に共通していた条件 | 過去の入社者・通過者の履歴 |
| ③職場の写真と1日の流れ | 写真3〜5枚、始業から終業までの流れ | 現場でスマホ撮影、現場社員に聞く |
| ④決裁と面接のスピード | 書類の回答日数、面接の設定可能枠、最終決裁者 | 社内の面接官・決裁者に確認 |
①見送り理由のフィードバック
最も効くのに、最も止まりやすいのがこれです。前任者が口頭で伝えていた場合、退職とともに消えます。
「スキル不足のため」では情報になりません。「前職の業界が異なる点は問題ないが、週末の出勤が月2回ある点で本人が難色を示したため」「実務経験の年数ではなく、見積もり作成の経験がない点が合わなかった」といった粒度で書くと、担当者は次の推薦を絞れます。1人あたり1〜2行で十分です。
見送り理由を言語化すると、社内の判断基準も同時に整理されます。前任者の基準が残っていない場合は前任者の合否判断の基準を、過去の選考履歴から復元するの手順で、過去の選考履歴から逆算できます。
②通過した人の共通点
求人票の応募資格は「建前」として読まれていることがあります。実際に通った人を3〜5名思い出して、共通していた点を書き出してください。
- 前職の規模(大手出身は定着しにくかった、など)
- 通勤時間(片道1時間を超えると辞退が多かった)
- 転職回数や離職期間への実際の許容度
- 面接で話が合った内容(現場の具体的な話をできる人が通った、など)
これは「こういう人は採らない」というネガティブな条件より、「こういう人は通っている」という事実の形で書くほうが使われやすい傾向があります。
③職場の写真と1日の流れ
エージェントの担当者は、候補者に対して会社を説明する立場にあります。説明できる材料がないと、積極的には勧めにくくなります。
スマホで撮った写真で構いません。執務スペース、現場、休憩室、使う機械や道具、できれば働いている人が写っているもの。あわせて「8:30出社 → 朝礼10分 → 午前は〇〇 → 昼休憩12:00-13:00 → 午後は〇〇 → 定時17:30、繁忙期は月末に残業が集中」といった1日の流れを箇条書きにします。
デザインは不要です。正確さのほうが価値があります。会社説明資料そのものが残っていない場合は、ここで作ったものがそのまま面接でも使えます。
④決裁と面接のスピード
候補者は複数社を並行して受けています。選考が遅い会社は、推薦先として選ばれにくくなります。逆に「書類は2営業日以内に回答」「面接枠は毎週火・木の午後に確保済み」と明示できる求人は、担当者にとって出しやすい求人です。
ここは約束になるので、守れる範囲だけを書いてください。守れない日数を書くほうが、書かないより悪い結果になりやすいです。
A4一枚に落とす
4点をバラバラに送ると、担当者の手元で散らばります。次の構成で1枚にまとめ、求人票と一緒に送るのが扱いやすい形です。
| 項目 | 書く分量の目安 |
|---|---|
| 募集職種と、採用したい人数・時期 | 2〜3行 |
| 通過した人の共通点 | 箇条書き3〜5項目 |
| 直近の見送り理由(人物を特定しない形で) | 3〜5件、各1〜2行 |
| 1日の流れ・職場の雰囲気 | 5〜8行 |
| 選考スピードと決裁者 | 3行(書類回答日数/面接枠/最終決裁者) |
| 窓口(氏名・共用アドレス) | 1行 |
採用未経験の後任でも、現場の面接官に15分聞けば8割は埋まります。空欄があっても、埋まった分だけ先に送って構いません。完成を待って送らないほうが、結果的に早く動きます。
更新は月1回で十分です。見送りが出るたびに追記し、月初に差し替えたものを取引先の紹介会社へ一斉送付する運用にすると、後任の負担が増えません。
返信を速くすることが、最大の情報提供になる
資料を作る前に効くことが一つあります。エージェントからのメールに、その日のうちに返すことです。
推薦メールへの反応が遅い会社は、担当者の側で「出しても動かない求人」と判断されやすくなります。逆に、見送りであっても当日中に理由つきで返ってくる会社は、次の候補者が出たときに思い出されます。内容の充実より、速度のほうが先に効くことが多いです。
同じことは応募者に対しても起きます。返信の遅れが選考結果にどう影響するかは応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかで整理しています。
返信を速くするには、担当者個人ではなく体制で持つ必要があります。採用用の共用アドレスを作り、管理部門の2名で受けて、どちらかが当日中に一次返信を入れる。合否が出ていない段階でも「面接官に確認中、◯日までに回答します」と返せば、やり取りは止まりません。
渡しすぎないための線引き
一方で、渡さないほうがよい情報もあります。
- 既存社員の個人名と評価
- 他のエージェントの推薦状況や、他社の選考進捗
- 応募者本人の個人情報(別の候補者の話として共有しない)
- 社内でまだ決まっていない条件(給与レンジの引き上げ検討など)
特に給与や勤務地の変更は、決まる前に口頭で伝えると、候補者まで伝わって後から食い違いが起きることがあります。確定した内容だけを、書面で渡してください。
まず1枚、1社から
全社に同時に展開する必要はありません。直近で推薦実績のある1社に、A4一枚を渡して反応を見る。推薦が戻り始めたら、他社にも同じものを送る。この順番なら、後任が未経験でも回せます。
採用担当が抜けた直後は、エージェント対応だけでなく、媒体契約の棚卸しや進行中の応募者の確認も同時に発生します。社内で手が足りない場合、求人活動の復旧と後任の採用、引き継ぎまでをまとめて外部に預ける選択肢もあります。
当社の採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用担当の採用、引き継ぎと業務改善の3つを担当します。後任は採用担当の経験者でなくて構いません。当社が育てたうえで引き継ぎます。費用は復旧2ヶ月80万円・標準4ヶ月200万円・完全6ヶ月300万円(いずれも税別・広告費込み・分割可)の3プランで、詳細は料金プランに記載しています。
媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料です。今どこが止まっているのかを知りたい段階でも構いません。一次のご相談はLINE公式から受け付けています。