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引き継ぎと属人化

社長の家族・親族が採用を兼ねていた場合の引き継ぎの難しさ

社長の配偶者、実の兄弟、娘や息子。会社の採用を長く見ていたのがそうした立場の方で、その人が体調を崩した、あるいは家庭の事情で会社を離れることになった——このとき、社内に引き継げる相手がいないという状況は珍しくありません。求人媒体の契約も、応募者への返信も、面接の日程も、その人の携帯とメールの中だけで完結していたからです。

厄介なのは、業務が属人化しているという話に加えて、頼み方や聞き方に気を使う相手だという点です。普通の退職者であれば引き継ぎを業務として依頼できますが、相手が社長の家族だと、体調や家庭の事情に踏み込むことになり、社内の誰も切り出せないまま時間が過ぎることがあります。この記事では、その状態をどう解いていくかを整理します。

なぜ家族が採用を持つことになりやすいのか

中小企業で採用が親族に集まるのには、それなりの理由があります。応募書類は個人情報の塊で、面接では給与の話も出ます。社外に漏れては困る情報を扱うため、信用できる身内に任せるという判断は、会社の規模が小さいうちは合理的です。

ただ、この配置には副作用があります。社長とその人の間では、採用の判断が会議や書面を経ずに決まります。「この人どう思う」「じゃあ通そう」で済んでしまうため、合否の基準も、給与をどこまで出してよいかの上限も、記録として残りません。身内であることが、記録を省略してよい理由になってしまうのです。

同じ属人化でも、一般社員が採用を持っていた場合は「誰も手順を書かなかった」という話で済みます。親族が持っていた場合は、そもそも手順を書く必要がない関係性の中で業務が回っていたため、復元の起点が少なくなります。属人化そのものの解き方は採用が特定の人に依存している状態の解き方にまとめていますので、あわせてご覧ください。

家族だから分かっていたこと、そうでないこと

引き継ぎを始めるとき、最初にやると進みやすいのが、失われた情報を2つに分けることです。社内の書類やシステムを探せば出てくるものと、本人の頭の中、あるいは社長との関係の中にしかないものは、取りに行く方法が違います。

情報の種類具体例どこから取りに行くか
書類・システムに残っている可能性が高い媒体の契約期間、請求額、応募者の一覧、過去の求人原稿請求書、経理の支払記録、媒体の管理画面
個人の端末・アカウントにしかない応募者とのやり取り、面接の日程、エージェントとの連絡本人の携帯・メール、社内の共有フォルダ
家族関係の中で成立していた給与をどこまで出してよいか、社長が通しそうな人物像、現場の誰に面接を頼めるか社長本人への聞き取り

3つ目が、家族が採用を持っていた会社に特有の部分です。これは本人に聞くよりも、社長に聞いた方が早く埋まることがあります。判断の片側は社長が持っていたからです。「前回、営業職で月給いくらまで出したか」「どういう経歴の人を見送ったか」を社長に思い出してもらい、3〜5項目のメモにしておくと、後任が最初の判断で迷わずに済みます。

なお、支払い方法が親族の個人カードや立替になっていることもあります。会社の経費と家計の線引きが曖昧になっていたケースでは、退職や休養のタイミングで掲載が止まる事故が起きやすいため、媒体費が前任者の個人クレジットカードで払われていたときの手順を先に確認しておくと安全です。

本人に聞ける場合、聞けない場合

体調不良や介護など、本人が会社を離れている理由によって、どこまで聞いてよいかは変わります。共通して言えるのは、時間を区切り、分量を先に伝えて依頼すると応じてもらいやすいということです。「全部教えてほしい」ではなく「30分で、いま選考中の人だけ教えてほしい」と頼みます。

聞く順番の目安は次のとおりです。

  1. いま選考が途中で止まっている応募者(氏名・職種・どこまで進んだか)
  2. 内定を出して返事待ちの人がいるかどうか
  3. 生きている媒体契約と、更新日が近いもの
  4. 各種アカウントのIDと、認証メールの届き先
  5. 合否の判断で重視していたこと

1と2は日数が経つほど取り返しがつかなくなるため、最初に置きます。3以降は請求書や管理画面からも追えるので、本人に負担をかけず社内で復元する方向に切り替えて構いません。

本人と連絡が取りづらい場合は、社長が窓口になるのを避け、管理部門の担当者が業務連絡として依頼する形にすると、家庭の話と業務の話が混ざりにくくなります。

第三者に頼むときに引っかかるもの

外部に相談することをためらう理由は、費用よりも心理的な部分にあることが多いように思います。よく挙がるのは次のような点です。

ひとつは、身内のやり方を社外の人に見せることへの抵抗です。契約が整理されていない、応募者が放置されている、原稿が何年も前のまま——こうした状態を他人に見られたくないという感覚は自然なものです。ただ、担当者が一人で長く回していた会社では、親族かどうかに関係なく同じ状態になっていることがほとんどです。

もうひとつは、外部に頼むことが、離れた家族への評価のように受け取られないかという懸念です。これは、依頼の目的を「その人の代わりを探す」ではなく「属人化していた体制そのものを作り直す」と置き直すと、社内でも説明しやすくなります。実際、後任を誰にするにせよ、決裁ルートと権限を紙に起こす作業は避けて通れません。この部分は採用の可否を誰が決めるかを、紙に1枚で決めておくが参考になります。

後任を身内以外に広げるかどうか

次の担当も親族から選ぶという選択はあり得ますが、人数の限られた親族の中から採用に向く人を探すのは難しいことが多く、同じ属人化を繰り返す結果にもなりやすいところです。

社外から採る場合も、採用の経験者に限定する必要はありません。応募者への連絡を止めない、決まった手順どおりに進める、分からないことを確認してから答える——この3つができる人であれば、育てて引き継ぐことは可能です。詳しくは採用担当の後任、未経験でも大丈夫?4ヶ月で育てる方法にまとめています。

身内以外に渡すときは、権限の範囲を先に決めておくと双方が動きやすくなります。媒体の操作と応募者対応は後任に、契約と支払い、最終的な合否は社長または管理部門に残す、といった分け方が現実的です。

費用の目安

当社の採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善の3つをまとめて行います。プランは3つで、いずれも広告費を含んだ総額です。

プラン期間費用(税別)主な範囲
復旧2ヶ月80万円止まった求人活動の立て直し
標準4ヶ月200万円復旧+後任の採用+引き継ぎ
完全6ヶ月300万円標準+業務改善まで

分割でのお支払いにも対応しています。


家族が採用を担っていた会社ほど、何が残っていて何が失われたのかの見分けがつきにくくなります。まずは現状を一度、外から棚卸ししてみてください。

採用担当引き継ぎ代行では、媒体アカウント・契約・進行中の応募者を洗い出す「採用ストップ診断」までは無料でご提供しています。費用の内訳は料金プランをご覧ください。ご相談はLINE公式からお受けしています。

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