面接で使う会社説明資料が古い/どこにもないとき
採用担当が退職したあと、面接を社長や部長が代わりに担うことになって初めて「応募者に渡す資料が何もない」ことに気づくケースは珍しくありません。前任者は毎回口頭で会社の説明をしていて、手元にあるのは数年前に作った会社案内のPDFと、営業用の会社概要スライドだけ。給与や休日の書き方は求人原稿に頼るしかなく、面接官によって説明する内容が変わってしまう。
この状態で困るのは、資料の見栄えではありません。誰が面接に出ても同じ情報が伝わらないことです。この記事では、面接の場でそのまま使える最小限の4ページをどう組むか、既にある素材からどう流用するか、そしてデザインより先に条件の正確さを直す理由を整理します。
資料がないと、面接ごとに違う会社の話になる
口頭説明には記録が残りません。前任者が何を伝えていたかが分からないため、後任や現場の面接官は自分の理解で説明します。その結果、残業の実態、昇給の頻度、配属先の見込みといった応募者が最も気にする部分にばらつきが出ます。
ばらつきは入社後ではなく選考中に問題になります。一次面接と二次面接で説明が違えば、応募者は「会社の中で話が揃っていない」と受け取ります。前任者が口約束していた条件と食い違えば、指摘を受けて対応に追われることにもなります(この場面の初動は応募者に「前の担当者とは話が違う」と言われたときの対応にまとめています)。
資料をつくる目的は、面接官を替えても同じ情報が出ることに置きます。 説得力のある会社紹介をつくることは、いまの優先事項ではありません。
最低限そろえるのは4ページ
1回の面接で使い切れる量は限られます。最初は次の4ページに絞るのが現実的です。PowerPointでも、A4のWord数枚でも構いません。
| ページ | 載せる内容 | 面接での使い方 |
|---|---|---|
| 1. 事業と職場 | 何で売上を立てているか、拠点、従業員数、職場の写真数点 | 冒頭3分の会社説明。写真で働く場所を見せる |
| 2. 仕事内容 | 配属部署、1日の流れ、任せる範囲、使う道具やシステム | 応募者の経験と突き合わせる。質問が出やすい |
| 3. 条件と働き方 | 給与の幅、賞与・昇給の実態、休日、残業の月平均、シフトや直行直帰の有無 | 条件確認。ここを口頭だけで済ませない |
| 4. 入社後の流れ | 選考の残りステップ、内定から入社までの期間、試用期間、研修や同行の期間 | 面接の締め。次の連絡日を伝える |
このうち作成に時間がかかるのは3ページ目です。1・2・4は社内の誰かが知っていることを書き出せば足りますが、条件は事実確認が必要になります。
既にある素材から流用する
新規に作文する必要はほとんどありません。社内に散っている情報を集めて貼り直す作業と考えてください。
| 流用元 | 取り出せるもの | 注意点 |
|---|---|---|
| 営業用の会社案内・会社概要 | 事業内容、沿革、拠点、取引先の傾向 | 数値や取引先名は最新か確認する。対外NGの情報を混ぜない |
| 自社ホームページ・採用ページ | 事業説明の文章、社員紹介、職場写真 | 更新が止まっていることが多い。記載の古さを先に点検する |
| 直近の求人原稿 | 給与、休日、勤務時間、仕事内容の要約 | 前任者の作成時点の条件。現在の実態と合うかを確認する |
| 労働条件通知書・就業規則 | 所定労働時間、休日日数、試用期間、手当の種類 | 原文をそのまま載せず、応募者が読める言葉に直す |
| 現場の管理者への聞き取り | 1日の流れ、繁忙期、残業の実態、教える期間 | 「だいたい」で済ませず月あたりの時間で聞く |
写真は撮り直すのが早いことが多いです。スマートフォンで、作業場所・休憩スペース・入口・扱っている製品や設備を数点押さえれば足ります。人が写る場合は本人の了解を取ってください。
なお、求人原稿そのものが古いままなら、資料づくりと同じタイミングで直したほうが手戻りが減ります。直す箇所は求人原稿を刷新するときに直す7か所に整理しています。
デザインより、記載内容の正確さを先に置く
資料づくりを始めると、体裁を整えたい気持ちが先に立ちます。ただ、順番としては記載内容の確認を先に終わらせたほうがよい理由があります。
ひとつは、条件の説明違いが辞退や入社後のトラブルにつながりやすいことです。残業が「ほぼない」と口頭で言われた応募者が、入社後に月20時間を超えれば、説明の問題として受け取られます。昇給や賞与も「実績次第」で止めず、直近数年でどう運用してきたかを言える形にしておきたいところです。
もうひとつは、正確な資料は面接官の負担を下げるという点です。書いてあることを読めば説明が済むなら、面接官は応募者を見る時間に集中できます。社内の面接官が急に増える局面では特に効きます(準備の最低ラインは社長が急に面接するときの準備(質問と評価の最低ライン)にまとめています)。
分からない項目は空欄のまま社内に回すほうが、推測で埋めるより安全です。 資料に載せる前に、条件は総務や労務の担当者に一度通してください。
誰が持ち、いつ直すかを決める
資料が古くなる原因は、作成者が退職したあと更新の担当が決まっていないことです。次の3点だけ先に決めておくと、次の担当交代でも同じ状態に戻りにくくなります。
- 原本の置き場所(個人PCではなく共有フォルダに置き、編集権限を2名以上に付ける)
- 更新のきっかけ(給与改定、就業規則の変更、拠点や事業の変更があったとき)
- 定期の見直し時期(年1回、求人原稿の見直しと同じ月にまとめる)
ファイル名に更新年月を入れておくと、面接官が古い版を開く事故を防ぎやすくなります。
4ページが埋まらないときは、埋まらない理由を記録する
条件の実態が社内で誰にも分からない、現場と管理部門で言うことが違う、という段階で止まることもあります。そのときは資料づくりを止めて、どの項目が確認できないのかを一覧にしてください。多くは採用の問題ではなく、労務情報の所在の問題です。項目を特定できていれば、社労士や外部に相談するときの入口になります。
株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧と後任の採用、そして引き継ぎと業務改善までを4ヶ月で担います。面接で使う説明資料や応募者向けの案内も、後任が自分で更新できる形にして残すところまでを範囲に含めています。サービスの流れは採用担当引き継ぎ代行、費用は料金プランをご覧ください。
まずは現状の確認からで構いません。採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。ご相談はLINE公式からお受けしています。