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引き継ぎと属人化

社員の退職が決まってから、いつ求人を出すか

「来月末で辞めます」と現場の社員から申し出があった。欠員が出るのは分かっている。けれど求人をいつ出せばいいのかは、誰も決められないまま日が過ぎていく——採用担当が不在の会社で、最も頻繁に起きている状況です。

この記事では、採用担当の後任募集ではなく、現場の欠員補充をいつ募集開始するかに絞って整理します。結論から言えば、起点は「退職日」ではなく「欠員が埋まっていてほしい日」です。そこから3つの区間を逆算すると、募集開始日は自動的に決まります。

多くの会社が「空白が出てから」募集する理由

欠員補充の募集が遅れるのは、担当者の怠慢ではなく構造の問題であることが多いです。

採用担当が在籍していれば、「この職種なら掲載から入社まで何ヶ月」という感覚が本人の頭の中にあります。退職の申し出を受けた日にその感覚で逆算し、募集開始日を決めて動き出す。この一連の判断が、担当者一人の経験に依存しています。

担当が不在だと、この逆算ができる人が社内にいません。結果として「退職日が来る→席が空く→現場が困る→そこで初めて求人を出す」という順番になります。この順番だと、空白期間は募集から入社までにかかる期間がそのまま出てしまいます。採用の属人化がどこで止まるかは採用が特定の人に依存している状態の解き方でも扱っていますが、「募集開始の判断」はその中でも外から見えにくい部分です。

募集開始から入社までを3つの区間に分ける

逆算の精度を上げるには、全体を一本の期間として見るのをやめて、性質の違う3つの区間に切り分けます。

区間1:掲載から応募が集まるまで

求人を出した当日に応募が来るとは限りません。媒体の掲載は2週間単位・4週間単位で設定されることが多く、応募は掲載初週に偏る傾向がありますが、職種や条件によっては数週間かけてぽつぽつ届きます。

ここでの目安は2〜4週間。ただし、応募が想定より少ない場合は原稿や条件の見直しが入り、さらに時間がかかります。見直しの手順は応募が来ない求人を立て直す優先順位にまとめました。

区間2:応募から内定まで

書類選考、一次面接、二次面接、内定通知。この区間は自社の段取り次第で伸び縮みします。面接官の日程が埋まっている、決裁者の承認に数日かかる、といった事情で2週間が1ヶ月になることは珍しくありません。

目安は2〜4週間。面接回数が2回以内で、面接官の枠を先に押さえてあれば短縮しやすい区間です。

区間3:内定承諾から入社まで

ここが最も読み違えやすい区間です。応募者が在職中の場合、現職への退職の申し出、引き継ぎ、有給消化を経てからの入社になります。就業規則や引き継ぎの都合により、1〜2ヶ月かかることが多いと考えておくと安全です。

離職中の方なら2週間程度で入社できる場合もありますが、母集団を離職中の方に限定することは現実的ではありません。逆算表には在職者を前提とした数字を入れておき、早く来られる人が採用できたらその分前倒しになる、と考えます。

逆算表をつくる

3区間の目安を合計すると、募集開始から入社まではおおむね2〜4ヶ月。これを埋めたい日から引き算します。

区間内容目安(短め)目安(長め)
区間1掲載〜応募が集まる2週間4週間
区間2応募〜内定通知2週間4週間
区間3内定承諾〜入社4週間8週間
合計募集開始〜入社約2ヶ月約4ヶ月

実際の作り方は、次の手順です。

  1. 退職予定者の最終出社日を確認する
  2. 「いつまでに後任が現場に立っていればよいか」を現場責任者に確認する(最終出社日と同日とは限りません。引き継ぎのための重複期間を取りたいなら、最終出社日の2週間前など)
  3. その日から区間3(4〜8週間)を引く → 内定を出していたい日
  4. そこから区間2(2〜4週間)を引く → 応募を集め終わっていたい日
  5. さらに区間1(2〜4週間)を引く → 募集開始日

退職の申し出が1ヶ月前だった場合、この計算をすると募集開始日がすでに過去になっていることがほとんどです。それは失敗ではなく、空白期間が何ヶ月出るかが計算できたということです。空白が出る前提で、派遣や業務委託での暫定対応を検討するのか、現場で残業と分担をするのかを、現場責任者と先に握っておきます。暫定対応の判断材料は現場の欠員を派遣や業務委託で先に埋める判断にまとめています。

逆算を遅らせる社内要因を、先に潰す

区間2と区間3は、社外の事情ではなく社内の事情で伸びます。募集を出す前に次の3点を確認しておくと、逆算表どおりに進みやすくなります。

確認項目決めておくこと
面接官誰が一次を見るか。週に何コマ出せるか
決裁合否と条件提示を誰が決めるか。代理は誰か
条件給与レンジの上限、入社日の許容範囲

特に決裁の線が曖昧なままだと、良い候補者が来たときに「確認します」で3日止まります。応募者が複数社を並行して受けている以上、この3日が結果を変えることがあります。返信の速さがどう効くかは応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかで詳しく扱っています。

申し出を受けた日にやること

退職の申し出を受けた日に、逆算表を1枚つくってください。所要時間は30分程度です。

  • 最終出社日
  • 後任に立っていてほしい日
  • 逆算した募集開始日(過去になっていないか)
  • 空白が出る場合、その月数
  • 面接官・決裁者・給与上限

この5項目が埋まっていれば、現場にも経営にも同じ見通しを説明できます。見通しの伝え方は現場から「いつ採用できるのか」と聞かれたときの答え方もあわせてご覧ください。

逆算する人が社内にいないとき

ここまでの手順は、誰か一人が責任を持って回せば難しいものではありません。問題は、採用担当が退職した会社では、その一人が不在だということです。媒体のログイン情報も、過去にどの職種が何週間で採れたかの記録も、前任者と一緒に消えていることがあります。

株式会社Talencoの「採用担当引き継ぎ代行」は、止まった求人活動の復旧、後任の採用担当の採用、引き継ぎと業務改善までを一括で請け負うサービスです。中途採用が対象で、後任は採用担当の経験者である必要はありません。当社が実務を回しながら育てて引き継ぎます。

標準プランは4ヶ月・200万円(税別・広告費込み・分割可)。ほかに復旧のみの2ヶ月80万円、完全移管までの6ヶ月300万円があります。詳しい進め方は採用担当引き継ぎ代行、費用の内訳は料金プランをご覧ください。

ご相談はLINE公式からお受けしています。採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。今かかえている欠員の逆算表づくりからご一緒できます。

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