応募者に送るメールは何種類用意すればよいか
採用担当が抜けたあと、後任や兼任の担当者が最初に詰まるのは「この応募者に何と書いて返せばいいか」です。前任者は毎回ゼロから文章を作っていたか、自分のメールの送信済みフォルダから過去の文面をコピーして使い回していたことが多く、どこにも「型」が残っていません。結果として、1通の返信に30分かかる、文面の丁寧さが人によってばらつく、といったことが起きます。
必要なのは立派なマニュアルではなく、後任が迷わず選んで送れる最小限のテンプレート集です。この記事では、用意する種類を6通に絞り、どの文面にも共通して入れる要素、差し込みで事故りやすい箇所、保存場所と更新のルールまでを整理します。
なぜ6通で足りるのか
応募から入社までの連絡は数十通に見えますが、文面の骨格が変わるのは「相手の状態が変わる瞬間」だけです。選考が進むか、止まるか、終わるか。この3つしかありません。
そこから逆算すると、最低限そろえるのは次の6通です。これ以上増やすと、後任が「どれを使うか」で迷い、結局その場で書き始めてしまいます。テンプレートは数が多いほど便利になるのではなく、選べる数が少ないほど早く送れるようになります。
| # | 種類 | 送るタイミング | この文面の役割 |
|---|---|---|---|
| 1 | 応募受付 | 応募を確認した当日〜翌営業日 | 届いたことと、次の連絡時期を知らせる |
| 2 | 面接日程の案内 | 書類選考通過の連絡と同時 | 候補日を提示し、返答期限を示す |
| 3 | 日程リマインド | 面接の前日 | 日時・場所・持ち物・当日の連絡先を再提示 |
| 4 | 書類選考の見送り | 選考を終えた時点 | 結果を伝え、応募書類の扱いを示す |
| 5 | 面接後の見送り | 面接から数日以内 | 結果を伝え、来社・参加への礼を述べる |
| 6 | 内定連絡 | 社内決裁が下りた直後 | 条件の概要、書面の送付、回答期限を示す |
オンライン面接を併用している場合は、3のリマインドに「URLと入室方法」の段落を足すだけで足ります。別テンプレートにしなくても回ることが多いです。
どの文面にも共通して入れる4要素
6通すべてに、次の4つを入れておきます。どれか1つが抜けると、応募者からの問い合わせが増え、結果として後任の作業が増えます。
- 宛名:姓+様。フルネームを入れるかはどちらでも構いませんが、社内で統一します
- 次のアクション:相手が何をすればよいか(返信する/来社する/何もしなくてよい)を1文で書く
- 期限:いつまでに返せばよいか。「〇月〇日(〇)中」と曜日まで入れる
- 問い合わせ先:採用用の共用メールアドレスと、会社代表の電話番号
とくに抜けやすいのが2と4です。「追ってご連絡します」とだけ書かれたメールは、応募者側から見ると何も決まっていないのと同じで、その間に他社の選考が進みます。放置と受け取られる期間の目安については応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかで整理しています。
問い合わせ先に前任者の個人アドレスや内線が残っていると、返信が誰にも届きません。テンプレートを作る前に、連絡先を共用アドレスへ移しておくと手戻りが減ります(採用の連絡先を個人名アドレスから共用アドレスへ移す)。
差し込みで事故りやすい箇所
テンプレートで最も多い事故は、前の応募者の情報が残ったまま送信してしまうことです。起きやすい箇所は決まっています。
| 事故の箇所 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 氏名 | 別人の名前のまま送信 | 差し込み箇所を【応募者名】のように括弧付きで書く |
| 面接日時 | 前の候補者の日程が残る | 日時の行だけ空欄にしておき、毎回入力させる |
| 職種名 | 応募していない職種が書かれる | 職種は冒頭1箇所だけに書き、本文中で繰り返さない |
| 面接官名 | 変更後も旧担当のまま | 氏名を書かず「弊社担当者」とする選択肢も持つ |
| 件名 | 前回のまま返信され内容と合わない | 件名もテンプレートの一部として書いておく |
対策はシンプルで、書き換えが必要な箇所をすべて【】で囲み、【】が1つでも残っていたら送らない、というルールを1行添えておくことです。目視で見つかる形にしておけば、採用の経験がない人でもチェックできます。
会社名や職種を固定しない作り方
前任者が残した文面をそのまま使うと、特定の職種や特定の媒体を前提にした表現が混ざっていることがあります。たとえば「〇〇(媒体名)よりご応募いただき」と書かれていると、別の媒体からの応募には使えません。
汎用に直す際の目安は次の3つです。
- 媒体名は書かず「このたびはご応募いただき」とする
- 職種名は本文の冒頭1箇所に【応募職種】として置く
- 勤務地や給与の具体値は書かない。条件は求人票と書面に寄せ、メールでは触れない
条件をメールに書くと、求人票を直したときに文面の修正漏れが残り、「前の担当者と話が違う」という指摘につながりやすくなります。これは実際によく起きる場面で、対応の順番は応募者に「前の担当者とは話が違う」と言われたときの対応にまとめています。
保存場所と更新のルール
テンプレートは、作ったあとの置き場所で寿命が決まります。前任者の個人フォルダやメールソフトの署名機能に入れてしまうと、退職と同時にまた消えます。
- 置き場所:採用の共有フォルダ内に「書式」フォルダを作り、6通を1ファイルにまとめる
- 形式:Word1ファイルに6通を順番に並べる。1通1ファイルにすると探す手間が増える
- 権限:採用に関わる人全員が閲覧・編集できる状態にする
- 更新:文面を直したら、ファイル末尾に「最終更新日/更新者」の1行を書き足す
更新のきっかけは決めておくと形骸化しにくくなります。求人票の条件を変えたとき、選考フローを変えたとき、担当者が替わったときの3つです。月1回の点検に組み込んでおくのが現実的で、点検項目の組み方は引き継ぎ後に運用が元へ戻らないための月次点検で扱っています。
なお、不採用連絡が何週間分もたまっている状態から着手する場合は、テンプレートを作る前に仕分けが必要になることがあります。その手順は別記事に譲ります。
まとめ
6通のテンプレートがあれば、採用の経験がない後任でも、応募から内定までの連絡を止めずに回せる状態に近づきます。作業としては半日から1日で終わる範囲ですが、前任者が退職した直後はそこに手が回らないまま日数が過ぎていくことが多いものです。
テンプレートの整備は、採用担当の引き継ぎ全体の一部にすぎません。止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までをまとめて外に出す選択肢として、採用担当引き継ぎ代行があります。費用は復旧2ヶ月80万円・標準4ヶ月200万円・完全6ヶ月300万円(いずれも税別・広告費込み・分割可)の3プランで、内訳は料金プランに掲載しています。
その前段として、媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料です。今どこが止まっているかを把握するところからで構いません。ご相談はLINE公式からお願いします。