採用の連絡先を個人名アドレスから共用アドレスへ移す
求人票の問い合わせ先が t.suzuki@... のような前任者の個人名アドレスになっている。媒体からの通知も、エージェントからの推薦メールも、全部そこに届いている。退職の連絡を受けて初めて、採用の連絡という連絡が一人のメールボックスを通っていたことに気づいた——という状況は珍しくありません。
応募が宙に浮かないよう、まずは転送と当番で急場をしのいだ会社も多いはずです。この記事は、その次の段階の話に絞ります。つまり、recruit@ のような会社の共用アドレスを作り、求人票・媒体・紹介会社に登録された連絡先を恒久的に移し替えるまでの手順です。応急処置としての窓口づくりは採用担当が不在の間、応募窓口を1日でつくる手順にまとめているので、まだ受け皿がない段階の方はそちらを先に読んでください。
個人名アドレスを残したままにすると、何が起きるか
転送設定さえ生きていれば当面は届きます。ただ、転送は「届く」だけで、採用の窓口としては穴が残ります。
ひとつは、返信の差出人が揃わないことです。応募者から見ると、最初の自動返信は前任者名、二通目は別の社員名、面接案内はまた別——という状態になりやすく、問い合わせ先が分からなくなります。もうひとつは、媒体やツールの認証メール・パスワード再設定メールが個人名アドレス宛に飛ぶことです。アカウントを停止した瞬間に管理画面へ入れなくなる事故は、ここから起きます。
さらに、前任者が退職して数ヶ月経つと、求人票に載った個人名宛にエージェントからの推薦が届き続け、誰も読まないまま滞留することがあります。窓口を人の名前ではなく会社の名前に移すことが、属人化を物理的に解く一番分かりやすい作業です。
差し替えが必要な場所を洗い出す
「メールアドレスを変えるだけ」と思うと、掲載原稿だけ直して終わりにしがちです。実際には、採用の連絡先は社内外の十数か所に散っています。まず一覧にしてから手を付けてください。
| 差し替える場所 | 確認先 | 反映までの目安 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 求人媒体の掲載原稿の問い合わせ先 | 管理画面/媒体の営業担当 | 即日〜数営業日 | 高 |
| 媒体の応募通知の送信先・自動返信の差出人 | 管理画面の通知設定 | 即日 | 高 |
| 自社採用ページの応募フォームの送信先 | サイト管理者/制作会社 | 数日 | 高 |
| ハローワーク求人の連絡先・担当者名 | 求人者マイページ/窓口 | 数日 | 高 |
| 人材紹介会社の登録窓口 | 各社の担当営業 | 連絡した当日〜 | 高 |
| スカウト文・返信テンプレートの署名 | 管理画面のテンプレート | 即日 | 中 |
| 適性検査・Web面接ツールの通知先 | 各サービスの管理者設定 | 数日 | 中 |
| 内定通知書・労務関連書式のひな形の連絡先欄 | 共有フォルダ | 随時 | 中 |
| 会社案内・採用パンフレット・名刺 | 総務 | 増刷時 | 低 |
優先度が「高」のものは、応募者やエージェントが今まさに見ている連絡先です。ここを先に直さないと、差し替え作業中に新しい応募が古いアドレスへ流れ込みます。自社サイト側は制作会社しか触れないことがあり、着手の遅れが出やすい箇所でもあります。放置された採用ページや無料掲載の扱いは自社の採用ページと無料掲載が放置されているときで詳しく触れています。
共用アドレスは、作る前に3つ決める
recruit@ でも saiyo@ でも構いません。重要なのは名前よりも運用の決め事です。作る前に次の3点を決めておくと、後から揉めにくくなります。
- 誰が受信するか。 共有メールボックスにするか、複数人へ配信するグループアドレスにするかを決めます。応募書類が入るため、閲覧できる人は役割で限定してください。
- 誰が返信するか。 受信者全員が返せる状態は、二重返信と無返信の両方が起きます。平日の一次返信担当を1名、不在時の代理を1名決めておくと止まりにくくなります。
- 署名をどう書くか。 個人名を出すか、「採用担当」とするかを統一します。担当が変わっても文面を直さずに済むのは後者ですが、選考中の応募者には担当者名を添えたほうが安心されることが多いです。
後任が決まっていない段階では、総務や管理部門の方が受信者になることが多いと思います。その場合も、アカウントの所有者は会社であることを明確にしておいてください。名義や権限の整理そのものは採用担当の退職時に回収すべきアカウントと情報にまとめています。
移行期間は、転送とダブル運用で重ねる
個人名アドレスを即日止めると、差し替えが済んでいない経路からの連絡が消えます。重ねる期間を先に決めておくのが安全です。目安としては、次のような進め方になることが多いです。
| 時期 | 個人名アドレス | 共用アドレス | この期間にやること |
|---|---|---|---|
| 切替日〜2週間 | 受信継続+共用へ転送 | 主たる窓口として運用 | 優先度「高」の差し替え、応募者への案内 |
| 2週間〜1ヶ月 | 転送のみ(返信には使わない) | すべての返信をここから | 優先度「中」の差し替え、テンプレート更新 |
| 1〜3ヶ月 | 転送+自動応答で新連絡先を案内 | 通常運用 | エージェント・媒体営業の登録確認 |
| 3ヶ月以降 | 停止を検討 | 通常運用 | 停止前に認証メールの届き先を全件確認 |
停止の判断で確認してほしいのは、媒体やツールのログインID・パスワード再設定の通知先が本当に共用アドレスへ切り替わっているかどうかです。ここが残ったままアカウントを消すと、管理画面に入れなくなることがあります。どの期間を取るかは契約数によりますが、更新月をまたぐまで転送を残しておくと取りこぼしが減ります。
応募者と社外に出す一文
連絡先が変わったことを、わざわざ長文で説明する必要はありません。不在や退職を強調すると、応募者が不安になります。事実と次の行動だけを書くのが無難です。
選考中の応募者へは、担当交代の連絡と一緒に出すと自然です。
採用に関するご連絡窓口を、下記のアドレスに変更いたしました。今後のご返信は、お手数ですがこちらへお願いいたします。ご不明点もこのアドレスで承ります。
人材紹介会社や媒体の営業担当へは、推薦や請求の宛先を兼ねるため、何をどこへ送ればよいかまで書きます。
弊社の採用窓口を
recruit@〇〇.co.jpに一本化いたしました。候補者のご推薦・日程のご調整は、今後こちらへお送りください。貴社との進行中の案件につきましても、同アドレスで引き継いでおります。
担当交代そのものをどう伝えるかは、選考の進み具合で書き分けが必要です。選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかに状態別の文面の骨格をまとめています。
切り替え後、元に戻らないようにする
共用アドレスを作っても、忙しくなると個人のメールから直接やり取りが始まり、半年後には同じ状態に戻ることがあります。戻りにくくするための最低限は、次の2つです。
ひとつは、求人票・書式・テンプレートに個人名アドレスを書かないことを社内ルールにすること。もうひとつは、月に一度、共用アドレスの受信者と代理担当が今のままでよいかを点検することです。点検の項目は引き継ぎ後に運用が元へ戻らないための月次点検にまとめています。
窓口の整理まで手が回らないとき
差し替え先の洗い出しは、媒体の契約がどこにいくつあるかを把握していないと始まりません。採用担当が退職した直後は、そこから分からないことのほうが多いはずです。
当社の採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを4ヶ月で請け負います(標準プラン200万円・税別、広告費込み、分割可。復旧のみ2ヶ月80万円などの構成も料金プランに掲載しています)。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえでお渡しします。
まずは現状の棚卸しからで構いません。媒体アカウント・契約・進行中の応募者を洗い出す「採用ストップ診断」までは無料です。ご相談はLINE公式からお受けしています。