採用担当を紹介予定派遣で採る場合の費用と向き不向き
採用担当が辞めて後任を探しているとき、「いきなり正社員で採るのは怖い。まず派遣で来てもらって、合いそうなら社員にできないか」という発想が出てきます。この形を制度として用意しているのが紹介予定派遣です。人材会社から提案を受けて、はじめて名前を知ったという方もいると思います。
ただ、紹介予定派遣は「安く試せる採用」ではありません。費用は派遣期間中の月額と直接雇用時の手数料の二段構えになりますし、派遣期間中にできること・できないことにも制度上の線が引かれています。ここでは費用の構造と、自社の状況で成立するかどうかの判断材料を整理します。
紹介予定派遣とはどういう仕組みか
紹介予定派遣は、一定期間を派遣として働いてもらい、その後に派遣先と本人が合意すれば直接雇用に切り替える、という前提で行う派遣です。労働者派遣と職業紹介の両方の性質を持つため、派遣会社は職業紹介事業の許可も持っている必要があります。
通常の派遣と違う点として、派遣期間は一人につき6ヶ月以内と定められていること、そして派遣開始前に面接や履歴書の確認といった「人を選ぶ行為」が認められていることが挙げられます。通常の派遣では派遣先が人を選ぶことは認められていないため、ここが実務上の大きな違いです。
一方で、派遣期間が終われば自動的に社員になるわけではありません。**本人が断ることも、会社が直接雇用を見送ることもできます。**見送る場合は理由を明示する扱いになるのが一般的で、「合わなければ黙って終わり」という運用にはなりません。
費用は二段構えになる
費用の見方が人材紹介と違うのは、支払いが2回に分かれる点です。
| 費用の種類 | 発生タイミング | 目安 |
|---|---|---|
| 派遣料金 | 派遣期間中、毎月 | 時間単価×稼働時間。人事・採用事務の時間単価は地域や業務範囲で幅があり、都市部では2,000円台が一つの目安 |
| 紹介手数料 | 直接雇用に切り替えるとき | 想定年収の20〜30%程度が相場。契約によっては無料、または就業月数に応じて減額される場合もある |
| 社内の教育コスト | 派遣期間中ずっと | 金額には出ないが、指示を出す人の時間が必要 |
時間単価2,000円、月160時間で計算すると、派遣料金は月32万円前後になります。6ヶ月なら約190万円。そのうえで直接雇用に切り替える際、想定年収400万円で手数料20%なら80万円が加わります。合計では270万円前後という計算です。
ここで注意したいのは、派遣料金は本人の手取りではないという点です。派遣会社の社会保険料や管理費が含まれた金額を会社が払うため、同じ人を自社で直接雇う場合の人件費より割高になります。手数料の水準は契約書に書かれているので、提案を受けたら**派遣料金の単価と、直接雇用時の手数料の計算方法を両方とも先に確認してください。**単価だけを見て判断すると、切り替え時に想定外の請求が出てきます。
なお、自社で後任を採る場合の費用感については採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかで試算しているので、比較する際はそちらも併せて見てください。
利点は「働きぶりを見てから決められる」こと
紹介予定派遣の最大の利点は、書類と面接だけで判断しなくて済むことです。採用担当は、応募者への返信を溜めない、面接官とこまめに連絡を取る、条件を勝手に変えない、といった実務の姿勢が結果を左右します。こうした性質は面接で見抜きにくく、数ヶ月一緒に働けば判断材料が増えます。
特に、前任者の退職理由が「本人の資質より体制の問題」だった会社では、後任が定着するかどうかに不安が残ります。見極めの期間を置けること自体には意味があります。
弱点は、未経験者に届きにくいこと
一方で、紹介予定派遣で紹介される候補者は、派遣会社に登録している人の中から選ばれます。登録者は職種を指定して登録していることが多く、「人事・採用の経験がある人」に当たる確率が高くなります。裏を返すと、他職種から採用担当に転じたい未経験者は、この経路にはほとんど乗ってきません。
経験者に限定すると母集団が薄くなり、単価も上がります。この構造は後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由で整理したとおりで、紹介予定派遣は経験者採用の一形態だと理解しておくほうが誤解がありません。
もう一つ、直接雇用への切り替えを本人が断る可能性があります。派遣という働き方を選んでいる人の中には、正社員化を望まない層も一定数います。6ヶ月かけて見極めた結果、後任が空席のまま振り出しに戻ることもあり得ます。
派遣期間中の制約
派遣社員には派遣先が指揮命令を出せますが、出せる指示は労働者派遣契約に書かれた業務の範囲内です。契約書に「採用業務」としか書いていない状態で、労務手続きや総務業務を頼むと契約の範囲を超えます。採用担当が他業務を兼務していた会社では、この線引きで揉めやすくなります。
また、教える人が社内にいないという問題は派遣でも解決しません。前任者が退職していれば、媒体の管理画面も契約内容も社内に残っていない状態です。その状態に経験者を1人置いても、まず求人媒体の棚卸しから自力で始めることになり、立ち上がりに時間がかかります。
他の手段との比較
| 項目 | 紹介予定派遣 | 人材紹介 | 直接募集(媒体) | 引き継ぎ代行 |
|---|---|---|---|---|
| 費用の発生 | 月額+切替時手数料 | 入社時に成功報酬 | 掲載時に前払い | 契約時(分割可) |
| 人が来るまで | 数週間〜1ヶ月程度 | 1〜3ヶ月程度 | 1〜3ヶ月程度 | — |
| 対象になる人 | 派遣登録者(経験者中心) | 転職希望者(経験者中心) | 未経験含む | 未経験含む |
| 見極め期間 | あり(最長6ヶ月) | なし | なし | 育成しながら見る |
| 教える人 | 社内に必要 | 社内に必要 | 社内に必要 | 外部が担う |
期間は募集条件や地域で変わるため、あくまで目安として見てください。
どの状況なら成立するか
紹介予定派遣が成立しやすいのは、次の条件が揃っている場合が多いです。
- 採用業務の手順がある程度残っていて、指示を出せる人が社内にいる
- 任せる業務の範囲を契約書に書き出せる
- 経験者の単価(月30万円台+切替時手数料)を払える見通しがある
- 後任が決まるまで6ヶ月前後の見極め期間を取れる
逆に、前任者が退職済みで手順書もなく、社内に採用を分かる人がいない状態では成立しにくくなります。この場合に必要なのは「見極める期間」ではなく、止まった求人を先に動かし、後任を育てる仕組みのほうです。前任者が在籍中であれば、採用担当の退職が決まったら、在籍中にやっておくことを先に済ませておくと、どの手段を選んでも立ち上がりが変わります。
判断に迷うときは
採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを4ヶ月で行うサービスです(標準プラン200万円・税別、広告費込み、分割可)。後任は採用担当の経験者でなくてよく、当社が育てたうえで引き継ぎます。紹介予定派遣で経験者を探す前に、自社に必要なのが「経験者」なのか「動く体制」なのかを一度切り分けてみてください。
ご相談はLINE公式から受け付けています。**採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。**現状を伺ったうえで、紹介予定派遣を含む他の選択肢のほうが向いている場合はその旨もお伝えします。