採用担当が辞めた理由を点検する(後任も同じ理由で辞める)
採用担当が辞めた。求人が止まっている。だから急いで後任を採る——この順番は自然ですが、ひとつ飛ばしています。前任者が辞めた理由が会社側の構造にあった場合、同じ席に座った次の人も、同じ経路で同じ結論に着きやすくなります。
退職理由が「家庭の事情」「他社からの誘い」と説明されていても、それは最後のきっかけであって、原因のすべてとは限りません。ここでは、欠員補充に走る前の30分でできる点検の観点と、後任を迎える前に直しておきたい最低ラインを整理します。
「本人の事情」で片づけると、同じことが繰り返される
退職の面談で会社への不満をはっきり言う人は多くありません。角を立てずに辞めたい、円満に紹介状や有給を処理したい、という事情があるためです。結果として「本人の事情」という記録だけが残ります。
ただ、採用担当という職務には、他の管理部門の仕事と違う負荷のかかり方があります。採用は、社内の誰かが不満を持っている状態が常態という仕事です。人が採れなければ現場が不満を言い、採っても定着しなければ責任の所在を問われる。その構造を点検しないまま席だけ埋めると、同じ負荷が次の人にかかります。
前任者が辞めた理由を4つの構造で点検する
一人体制で、代わりがいなかった
採用担当が1名または兼任だと、休むと応募対応が止まります。止まると自分が困るので休めない。この状態が続くと、辞めるという形でしか離脱できなくなります。体制側のリスクは採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理するで整理しています。
現場と経営の板挟みになっていた
「早く人を出せ」と言う現場と、「単価を上げるな」と言う経営の間で、採用担当は両方に説明し続ける立場になります。どちらの決定権も持たないまま調整だけを任されていた場合、負荷は高いのに達成感が残りません。
成果が評価に乗っていなかった
採用の成果は、採れなかったときだけ目立ちます。順調に採れている期間は「普通」と見なされ、評価面談で触れられない。何を達成すれば評価されるのかが曖昧なままだと、続ける理由が薄くなります。
決裁が降りず、動けなかった
媒体の追加掲載、給与レンジの見直し、面接官の増員。いずれも本人には決められません。稟議に2週間かかる会社では、応募者が他社に決まってから承認が降りることもあります。自分の努力と結果が結びつかない状態が続くと、仕事そのものへの手応えが失われます。
面談で聞けなかった場合の推定材料
本人から聞けなかった場合でも、残っている記録から推定はできます。前任者が在籍中なら、こうした背景は本人しか語れない情報です(採用担当の退職が決まったら、在籍中にやっておくこと)。
| 見る場所 | 見つかりやすい兆候 | 疑える構造 |
|---|---|---|
| 応募者への返信履歴 | 深夜・休日の送信が多い | 一人体制・稼働過多 |
| 稟議・承認の履歴 | 申請から承認まで2週間以上 | 決裁が降りない |
| 求人原稿の更新履歴 | 1年以上手が入っていない | 改善提案が通らなかった |
| 面接の日程調整メール | 面接官の欠席・変更が頻発 | 現場の協力が得られていない |
| 有給の取得記録 | 取得日数が極端に少ない | 代わりがいない |
| 評価面談の記録 | 採用に関する記述がない | 成果が評価されていない |
すべてが該当する必要はありません。2つ以上が重なっている項目が、後任にもそのまま引き継がれる負荷だと考えてください。
後任を迎える前に直しておく最低ライン
全部を直してから採用を再開する必要はありません。後任が「動けない」「消耗する」原因になりやすい箇所だけ、先に決めておきます。
| 項目 | 最低ライン |
|---|---|
| 権限 | 一定金額までの媒体費を本人判断で使える(上限額を明文化) |
| 報告経路 | 決裁者に直接報告できる場を週1回確保する |
| 決裁の期限 | 給与・条件の相談は何営業日で回答するかを決めておく |
| 面接官の確約 | 協力する部署と担当者を、後任が来る前に名指しで決める |
| 評価の基準 | 採用人数ではなく、応募対応の速さや面接設定数など本人が動かせる指標を含める |
| 業務の複線化 | 応募通知の受信先を2名以上にする |
決裁の期限と面接官の確約は、社長・役員の一言で決まることが多く、費用もかかりません。ここが空欄のまま後任を迎えると、その人は前任者と同じ場所で詰まります。
経験者を採れば解決する、とは限らない
構造を直さずに「今度は経験者を」と条件を上げる選択もありますが、負荷の原因が体制側にある場合、経験者ほど早く見抜いて離れます。逆に、権限と報告経路が整っていれば、未経験からでも回せる範囲は広いです(後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由)。
順番としては、①構造の点検 → ②最低ラインの整備 → ③後任の要件決定、です。②を飛ばすと、③で条件を盛る方向に流れやすくなります。
まず現状の棚卸しから
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