担当が不在の間、求人媒体は1つに絞るべきか
採用担当が辞めたあと、残された媒体が3つも4つもある。どれも契約期間が残っていて、止めるのはもったいない気がする。けれど実際には、どの管理画面に何件の応募が溜まっているのかさえ把握できていない——この状態で「全部そのまま動かす」と決めると、応募は届くのに誰も返信しない、という一番まずい形になります。
媒体を減らせば応募数は減ります。それでも減らす判断が合理的になる場面があります。判断の軸は「応募が何件来るか」ではなく、「届いた応募に、今の社内が何時間かけられるか」です。
手が止まるのは応募対応ではなく、その手前
複数媒体を並行運用しているとき、負荷がかかるのは応募者への返信そのものではありません。詰まりやすいのは、その手前の作業です。
- 媒体ごとに別のIDとパスワードで管理画面に入る
- 媒体ごとに応募通知のメール設定と送信先が違う
- 同じ職種でも原稿の書式・文字数制限・項目名が違うため、条件を1か所直すと全媒体で直す必要がある
- 応募者の状況が媒体の中に散らばり、誰が何次選考まで進んでいるのか一覧にならない
前任者はこれを頭の中で管理していたことが多く、手順書が残っていないと後任や兼任者は同じ動きができません。媒体が増えるほど増えるのは応募数ではなく、応募が来る前の固定作業です。 そしてこの固定作業は、応募がゼロの週でも発生します。
なお、そもそも何の媒体と契約しているのか分からない段階であれば、絞る前に棚卸しが先です。請求書からの逆算手順は求人媒体の棚卸しで何を確認するかにまとめています。
媒体数と週あたりの運用時間の関係
以下は相場としての目安です。職種数や応募の集まり方で変わるため、自社の数字は別途測ることをおすすめします。
| 運用中の媒体数 | 週あたりの運用時間の目安 | 現実的に回せる体制 |
|---|---|---|
| 1媒体 | 3〜5時間 | 総務・管理部門の兼任でも回りやすい |
| 2媒体 | 6〜10時間 | 兼任で可能だが、繁忙期に落ちやすい |
| 3媒体以上 | 12時間〜 | 専任か、運用を外に出さないと続きにくい |
ここでいう運用時間には、応募の確認・一次返信・面接日程の調整・原稿の微修正・週1回の数字確認が含まれます。面接そのものや現場との調整は別です。
判断の目安はシンプルで、社内で確保できる週の時間が5時間を切るなら、媒体は1つに寄せたほうが事故が減ります。 週に何時間使えるかを勘で決めず、直近3ヶ月の応募数から概算する方法は採用業務は月何時間かかるのか、測ってから後任を決めるを参照してください。
絞るなら、何を基準に残すか
「応募が多い媒体を残す」は、担当不在の局面では必ずしも正解になりません。応募が多い媒体ほど返信の負荷も高いためです。次の4つを順に見て決めます。
| 観点 | 見るところ | 残す方に寄る条件 |
|---|---|---|
| 採用実績 | 過去1年で入社に至った人の応募経路 | その媒体から実際に入社者が出ている |
| 契約の残り | 掲載期間・自動更新日・解約予告の期限 | 残期間が長く、途中解約しても返金がない |
| 対応の手間 | 応募1件あたりに必要な返信・電話の量 | 応募が精査されていて、返信テンプレートで足りる |
| 原稿の更新 | 社内の誰かがログインして直せるか | 法人名義で入れて、原稿修正が自力でできる |
優先したいのは1行目と4行目です。入社実績があり、かつ社内で操作できる媒体を残す。逆に、ログインできない媒体を残しても運用はできません。管理画面に入れない場合の復旧は求人媒体の管理画面に入れないときの確認手順が先になります。
どの媒体から採れていたかの記録が残っていない場合は、入社日から逆算して応募時期を特定する、媒体営業のレポートを取り寄せるといった方法で復元します。それでも判断がつかないときは、1媒体ずつ止めて応募の変化を見る進め方が現実的です。
絞らずに済む条件
すべての会社が絞る必要はありません。次のいずれかに当てはまるなら、媒体数を維持したまま運用できることが多いです。
- 代理店が原稿修正と応募通知の一次受けまで担っており、社内は面接の可否判断だけを返せばよい
- 応募がすべて1つのメールアドレスに集約され、管理画面に毎日入らなくても取りこぼさない
- 応募者の一覧を媒体の外(Excelや採用管理システム)で管理しており、媒体はあくまで入口になっている
- 募集職種が1つで、応募の絶対数が週数件にとどまっている
共通しているのは「媒体の数ではなく、窓口の数が1つになっている」ことです。窓口が1つに集約できていれば、媒体が3つあっても運用時間はさほど増えません。逆に、窓口がバラバラのまま媒体だけ減らしても、確認漏れは残ります。
課金が発生し続ける形式の広告を止める判断は媒体数の議論とは別に急ぐ必要があるため、クリック課金型の求人が課金され続けているときの止め方もあわせて確認してください。
後任が育ってきたら、どう戻すか
絞るのは恒久的な決定ではなく、担当が不在の期間に限った暫定措置として設計します。戻す順番の目安は次のとおりです。
- 週1回の数字確認が習慣化してから、2媒体目を戻す(応募数・面接設定数・未対応件数が言える状態)
- 2媒体目は、原稿を新規に作らず、1媒体目の原稿をそのまま転記できるところから始める
- 応募が増えて一次返信が翌営業日を超えるようになったら、それ以上は広げない
- 3媒体目は、後任が単独で面接日程の調整まで回せるようになってから検討する
戻すタイミングを「契約更新日が来たから」で決めると、運用が追いつかないまま媒体だけ増えます。判断の基準は日付ではなく、後任が回せている範囲に置くほうが安全です。
募集職種が複数あってどこから再開するか迷っている場合は、媒体より先に職種の優先順位を決めたほうが早く進みます。
判断を先送りにするとどうなるか
媒体を絞る決定も、戻す決定もしないまま数ヶ月が過ぎると、掲載は続き、費用は出続け、応募者だけが離れていきます。応募から数日返信がない状態が続けば、候補者は他社の選考を先に進めるのが自然です。この間に失われるのは応募数ではなく、すでに自社に興味を持って動いた人たちです。
媒体を1つに絞るのは後退ではありません。届いた応募に確実に返せる範囲まで入口を狭める判断であり、後任が立ち上がるまでの数ヶ月を事故なく越えるための設計です。
どの媒体を残すか、どれを止めるかは、契約書と管理画面を突き合わせないと決められません。株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧から、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを4ヶ月で一通り進めます。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえで引き継ぎます。
費用は標準プランで4ヶ月200万円(税別・広告費込み・分割可)です。復旧のみの2ヶ月プランもあります。詳細は料金プランをご確認ください。
採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。 ご相談はLINE公式からお受けしています。