入社した社員の提出書類が揃っていないことに後から気づいたとき
採用担当が退職したあと、給与計算や年末調整の時期になって「この人の扶養控除申告書が見当たらない」と気づくことがあります。入社手続き自体は前任者が進めていたはずなのに、書類の束を開けてみると人によって揃っているものが違う。誓約書だけない人、口座の届出だけ紙で残っていて控えがない人、そもそもファイルに名前がない人が混ざっている状態です。
入社前の段階で止まっている場合は入社直前の内定者の手続きが止まっているときの確認項目で扱っています。ここでは、すでに入社して働いている社員について、後から書類の欠けが見つかったときに何から手をつけるかを整理します。慌てて全員に一斉メールを出す前に、確認の順番があります。
まず「誰の何が足りないか」を一覧にする
書類の束を眺めていても抜けは見つかりません。先に「入社した人の一覧」を作り、そこに書類を突き合わせていく方向で進めるほうが確実です。
入社者の一覧は、採用側の記録が消えていても労務側の記録から復元できることが多くあります。確認しやすいのは次の順です。
- 給与計算のデータ(直近12ヶ月分の支給対象者。入社月が分かる)
- 社会保険・雇用保険の届出控え(資格取得の手続きをした人の一覧になる)
- 勤怠システムの登録者、入館証やメールアカウントの発行記録
- 雇用契約書の控えファイル
このうち1と2だけでも、直近1年の入社者はほぼ拾えます。拾った名前をExcelに縦に並べ、横に書類の種類を並べた表を作ります。あとは現物を1枚ずつ確認して、あるものに印を付けていくだけです。
全員分を完璧に揃えようとせず、まず「何が欠けているか」を見える状態にすることを先に終わらせてください。 依頼の文面を考えるのはその後です。
期限が社外で決まっているものから手をつける
欠けが見えたら、次は順番です。書類はすべて同じ重さではありません。会社の都合で期限を決められるものと、法令や外部のスケジュールで期限が決まっているものがあります。後者が先です。
| 書類 | 主な用途 | 期限の性質 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| マイナンバー(本人・扶養家族) | 社会保険、源泉徴収票 | 届出・法定調書の提出時期に連動 | 高 |
| 年金手帳・基礎年金番号、雇用保険被保険者番号 | 社会保険・雇用保険の資格取得 | 法令で届出期限が定められている | 高 |
| 給与所得者の扶養控除等申告書 | 源泉徴収額の計算、年末調整 | 年末調整の時期に間に合う必要がある | 高 |
| 給与振込口座の届出 | 給与の支払い | 次回の給与計算日 | 高 |
| 入社誓約書・秘密保持の誓約書 | 社内ルールの合意 | 会社が決める | 中 |
| 身元保証書 | 会社が決める | 会社が決める | 中 |
| 資格証明書・免許証の写し | 業務要件の確認 | 業務に必要な場合は高 | 業務次第 |
| 健康診断の結果 | 安全衛生上の記録 | 実施時期に連動 | 中 |
社会保険や雇用保険の資格取得届には法令上の提出期限が設けられています(健康保険・厚生年金は事実の発生から一定日数以内、雇用保険は翌月上旬までが目安とされています)。すでに過ぎている可能性があるため、期限の具体的な日数と遅延した場合の取り扱いは、顧問社労士か年金事務所・ハローワークに直接確認してください。 社内の判断だけで「今から出せば大丈夫だろう」と処理すると、後から訂正が必要になる場合があります。社労士に何をどこまで聞けるかは顧問社労士に採用業務をどこまで頼めるかで整理しています。
一方で、誓約書や身元保証書は期限が社内にしかありません。重要度は低くないものの、「今日中」ではないので後ろに回して構いません。
本人に今さら依頼するときの伝え方
入社から数ヶ月経った社員に「書類が出ていません」と連絡すると、本人は「自分が出し忘れたのか」と不安になります。実際には会社側で紛失しているか、前任者が回収したまま所定の場所に保管していなかった、というケースも少なくありません。
連絡の骨格は次の3点に絞ると、余計な波風が立ちにくくなります。
- 会社側の管理の都合であること(本人の落ち度と断定しない)
- 何が必要か、1人につき必要な書類だけを具体的に書く
- 提出方法と期限を明示する(いつまでに、どこへ、紙かデータか)
文面の例としては、「人事担当の交代に伴い、入社時の提出書類を社内で確認し直しています。お手数ですが、下記につきまして◯月◯日までにご提出をお願いします」程度で足ります。理由を長く説明する必要はありません。
避けたいのは、全社員に同じ文面で一斉送信することです。すでに提出済みの人まで探し直すことになり、問い合わせが増えて対応工数が膨らみます。手間でも、個別に必要な書類だけを書いて送るほうが早く終わります。
なお、すでに提出済みだと本人が主張する書類が見つからない場合は、「会社側で保管を確認中です」と伝えたうえで、再提出をお願いする形にします。紛失の可能性に触れずに再提出だけを求めると、信頼を損ねることがあります。入社後の社員との接点が全体的に途切れている場合は入社直後の社員のフォローが止まっているときに拾うこともあわせて確認してください。
今後は「入社日までのチェック表」で潰す
今回の回収が終わったら、同じことが起きない形にしておきます。必要なのは立派な手順書ではなく、1枚のチェック表です。
| 時期 | 項目 | 担当 |
|---|---|---|
| 内定承諾後すぐ | 労働条件通知書の交付、提出書類の案内送付 | 採用側 |
| 入社2週間前 | 提出状況の確認(未提出者へ再案内) | 採用側 |
| 入社日 | 現物の受領確認、不足分をその場で指摘 | 労務側 |
| 入社後1週間 | 不足書類の回収完了、保管場所へ格納 | 労務側 |
| 入社後1ヶ月 | 一覧に「完了」を記録、未完了があれば上長へ報告 | 労務側 |
肝は「入社日に受け取って終わり」にしないことです。入社日は本人も慌ただしく、1〜2点抜けるのが普通です。入社後1週間と1ヶ月に確認の節目を置いておくと、抜けたまま年度をまたぐ事態は起きにくくなります。
担当の分け方そのものに迷いがある場合は、採用と入社手続きの担当を、どこで区切るかで境界線の引き方を扱っています。採用担当が1名で採用も労務も兼ねていた会社では、この区切りを決めるだけで再発の多くを防げることがあります。
書類の抜けは、採用が止まっているサインでもある
提出書類の欠けは、それ単体では事務処理の問題に見えます。ただ、入社者の一覧すら社内で作れない状態だとすれば、進行中の応募者や媒体の契約も同じように見えなくなっている可能性があります。実際、書類の抜けに気づいた会社で、同時に求人の掲載が止まったままだった、媒体費だけ引き落とされ続けていた、というケースは珍しくありません。
株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用担当の採用、引き継ぎと業務改善までをまとめて引き受けるサービスです。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が4ヶ月かけて育てたうえで引き継ぎます。標準プランは4ヶ月・200万円(税別・広告費込み・分割可)で、復旧だけの2ヶ月プランもあります。詳細は料金プランをご覧ください。
まずは現状を見るところからで構いません。媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料です。 LINE公式からお問い合わせください。