媒体費が前任者の個人クレジットカードで払われていたとき
採用担当が退職したあと、求人媒体から「決済ができませんでした」というメールが届く。あるいは、社内の誰も知らない媒体から未払いの案内が来る。調べていくと、月々の媒体費が前任者の個人クレジットカードで決済されていた——という状況は、少人数で採用を回してきた会社では珍しくありません。急ぎの掲載を通すために本人が立て替え、そのまま既定の支払い方法になってしまう、という経緯が多いようです。
このとき困るのは金額そのものより、支払いが止まった瞬間に掲載が落ち、応募者への窓口まで閉じてしまうことです。ここでは、該当契約の特定から支払い方法の切り替え、立替金の精算までを、実際に手が止まる順番で整理します。
個人カード払いのまま担当者が抜けると何が起きるか
退職に伴ってカードを解約した、あるいは本人が「もう払いたくない」と利用を止めた場合、次の請求日を境に決済が通らなくなります。媒体によって扱いは違いますが、一般的には次のような流れをたどることが多いです。
- 決済失敗の通知が前任者の個人メールアドレスに届く(社内の誰も気づかない)
- 数日から数週間の猶予期間のあと、掲載が停止される
- 応募窓口が閉じ、応募者からのメッセージに返信できなくなる
- 未払い分について、媒体または代理店から督促が入る
厄介なのは、通知の宛先も個人のままであることが多い点です。**気づいたきっかけが「督促の電話」だった場合、すでに掲載は止まっていると考えて動いたほうが早く収まります。**掲載が止まっている間に応募者側で何が起きるかは求人を止めている間に、応募者はどうなるのかにまとめています。
該当する契約を請求明細から特定する
まず「どの媒体が個人カード払いだったか」を確定させます。社内の請求書ファイルには載っていないため、通常の経費処理からは見えません。次の資料を突き合わせます。
| 確認する資料 | 分かること | 入手先 |
|---|---|---|
| 前任者のカード利用明細 | 媒体名・課金日・金額 | 本人に協力を依頼(任意) |
| 経費精算・立替払いの申請履歴 | 会社が精算済みの分 | 経理・会計ソフト |
| 会社の銀行口座の引き落とし履歴 | 請求書払い・口座振替の媒体 | 経理 |
| 会社メールの受信箱 | 領収書・請求書の送付メール | 共有アドレス、前任者のメール |
| 稟議・契約書 | 契約名義と期間 | 総務 |
差分を取ると、「契約はあるのに会社の口座から出ていない媒体」が浮かびます。これが個人カード払いの候補です。前任者に明細の提供を頼む場合は、私的な利用分が含まれるため、該当行のみの抜粋やスクリーンショットで構いません、と先に伝えると角が立ちにくくなります。退職後の連絡の取り方は退職後の前任者に質問していいか。連絡の取り方と限界を参照してください。契約全体の洗い出しは求人媒体の棚卸しで何を確認するかと併せて進めると二度手間になりません。
媒体への連絡は「支払い方法の変更」と「名義の確認」をセットにする
媒体側の窓口(営業担当、またはサポート窓口)に連絡します。伝える内容は次の4点に絞ると話が早く進みます。
- 契約者名(会社名)と、分かれば契約ID・掲載中の求人名
- 前任の担当者が退職し、登録されている決済手段が使えなくなったこと
- 支払い方法を法人名義(法人カードまたは請求書払い)へ変更したいこと
- 未払い分がある場合、その請求書を会社宛に発行してほしいこと
このとき、契約名義が会社なのか前任者個人なのかも必ず確認してください。名義が個人になっていると、支払い方法の変更だけでは済まず、契約の巻き直しが必要になる場合があります。管理画面に入れず操作できないときは求人媒体の管理画面に入れないときの確認手順を先に済ませたほうが話が早いことが多いです。
なお、請求書払い(後払い)は与信審査が入る媒体が多く、切り替えまでに数営業日から数週間かかることがあります。掲載を急ぐなら、いったん法人カードを登録して復旧させ、請求書払いへの移行は並行して進めるほうが現実的です。
掲載が止まった場合、応募者のデータは消えるのか
ここは媒体ごとに扱いが異なるため、推測せず窓口に確認してください。確認しておきたいのは次の3点です。
- 停止中、過去の応募者情報は管理画面で閲覧できるか
- 応募者データの保持期間はいつまでか(掲載終了から〇ヶ月など)
- 再開したとき、停止前の原稿・スカウトのテンプレートは復元されるか
一般的には、掲載が止まってもアカウント自体が残っていればデータを参照できることが多い一方、解約・アカウント削除まで進むと復旧が難しくなります。督促を放置して強制解約に至る前に、未払い分の支払い予定だけでも伝えておくと、データを失うリスクを下げやすくなります。心配な場合は、閲覧できるうちに応募者一覧をダウンロードして社内に保存しておいてください。
立替金の精算と、今後の支払い方法
前任者が立て替えたまま精算されていない分は、退職後でも会社が負担すべき費用です。カード利用明細の該当行、媒体からの領収書または請求書、業務としての発注であることが分かる資料(稟議、メールのやり取り)をそろえ、通常の経費精算と同じ手続きで処理します。最終給与の支払いが終わっていても、別途振込で精算できます。金額が大きい場合や、業務発注として妥当だったかに疑義がある場合は、経理・税務の担当者に確認したうえで処理してください。
今後の運用は、次のどちらかに寄せると担当者が代わっても止まりにくくなります。
| 支払い方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 法人クレジットカード | クリック課金型、少額・都度発生する掲載 | 通知先を共有アドレスにする。カードの有効期限切れに注意 |
| 請求書払い(口座振替・振込) | 年間契約、金額が大きい媒体 | 与信審査があり、切り替えに時間がかかることがある |
| 個人カードの立替 | 原則として常用しない | 担当者不在で支払いが止まり、掲載も止まる |
あわせて、決済通知・請求書の送付先メールアドレスを個人アドレスから共有アドレス(saiyo@など)に変更しておいてください。支払いが止まったことに社内で気づける状態をつくるのが、この作業の本当の目的です。アカウントや名義の整理全般は採用担当の退職時に回収すべきアカウントと情報にまとめています。
復旧の順番に迷ったら
支払い方法の是正は、掲載の復旧・応募者への連絡と同時に走らせることになります。どれから手をつけるか社内で判断しきれない場合、当社の採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧から、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを一続きで引き受けています。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえで引き継ぎます。
費用は標準プラン(4ヶ月)で200万円(税別・広告費込み・分割可)、復旧のみの2ヶ月プランもあります。詳細は料金プランをご確認ください。**「採用ストップ診断」(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。**ご相談はLINE公式からお気軽にどうぞ。