採用担当の給与相場と、後任にいくら払うべきか
後任の採用担当を募集するとき、最初に決めなければならないのが給与額です。前任者と同額にすればいいとは限りません。前任者の給与は入社時の相場と昇給の積み重ねでできているため、いま募集する額としては高すぎることも安すぎることもあります。
ここでは相場の考え方と、求人票に書く額の決め方を整理します。以下の数値はすべて相場・目安であり、業界と会社の状況によって上下します。
採用担当の年収レンジ
中小企業の採用担当(実務担当者、マネジメントを含まない)の年収は、経験者採用でおおむね400〜550万円です。
内訳の目安は次のとおりです。
| 経験 | 想定する役割 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| 未経験(他職種から) | 定型業務の実行。判断は上長 | 350〜420万円 |
| 実務経験2〜3年 | 媒体運用と応募対応を一人で回せる | 400〜480万円 |
| 実務経験5年以上 | 採用計画の立案、予算配分の判断 | 480〜600万円 |
「採用担当」という同じ職種名でも、任せる範囲によって別の仕事になります。相場を調べる前に、後任に何をさせるかを決める方が先です。
会社が実際に負担する額は年収ではない
求人票に書く年収と、会社が負担する金額は違います。社会保険料の会社負担分、労働保険、法定福利費などが上乗せされるためです。
目安として、年収の約1.15倍が会社の負担額になります。
| 提示年収 | 会社の年間負担(目安) |
|---|---|
| 400万円 | 約460万円 |
| 450万円 | 約520万円 |
| 550万円 | 約630万円 |
採用担当を1名雇うということは、年間500〜650万円の固定費を増やす判断です。ここに採用時の紹介手数料や媒体費が別途かかります。
規模による違い
従業員規模で相場が動く理由は、任される範囲が変わるからです。
- 〜50名:総務や労務との兼任が前提になりやすい。採用単体の専任ポジションは置きにくく、給与も兼任分を含んだ設計になる
- 50〜200名:採用の専任が成立し始める規模。ここが400〜550万円のレンジの中心
- 200名〜:新卒・中途・アルバイトで担当が分かれ、採用企画と実務が分離する。企画側は上のレンジになる
自社が50名前後であれば、専任で採るか兼任で持つかの判断が先にあります。兼任の限界については総務兼任で採用を回す限界はどこにあるかにまとめました。
地域による違い
同じ職務内容でも、地域によって相場は変わります。東京・大阪・名古屋と地方では、目安として50〜100万円程度の差が出ます。
ただし注意点があります。採用担当は在宅で成立しやすい職種です。応募対応、日程調整、原稿作成、媒体の管理画面操作は、出社しなくても回ります。
そのため地方の会社が地域相場に合わせて提示すると、在宅可の首都圏企業と同じ候補者を奪い合うことになります。地域相場だけで決めず、在宅の可否とセットで考える必要があります。
経験者と未経験者、どちらで採るか
採用担当は資格が要る職種ではなく、業務の大半が手順化できます。そのため未経験者でも成立します。
金額で比べると差は明確です。
| 経験者で採る | 未経験者で採る | |
|---|---|---|
| 想定年収 | 450〜550万円 | 350〜420万円 |
| 会社の年間負担(目安) | 520〜630万円 | 400〜480万円 |
| 紹介手数料(年収の30〜35%) | 135〜190万円 | 105〜145万円 |
| 母集団 | 少ない。競合が多い | 多い。社内異動も選択肢 |
| 立ち上がり | 早い | 手順書と伴走が要る |
初年度の差は150〜250万円程度になります。詳しい試算は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかにあります。
未経験者を選ぶ場合の条件は、引き継げる手順書があることです。前任者が退職済みで手順が残っていないなら、未経験者を採っても教える人がいません。この点は後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由で整理しています。
求人票に書く給与額の決め方
相場が分かっても、そのまま書けばいいわけではありません。求人票の給与欄には書き方の問題があります。
1. 下限額で判断される
「月給25〜40万円」と書くと、応募者は25万円の求人として見ます。上限は「自分には関係ない額」と受け取られるためです。
下限を実際に採用しうる額まで上げるか、下限に該当する条件を明記します。
2. レンジは広げすぎない
幅が大きいほど基準が不明瞭に見え、信頼を落とします。目安として下限の1.5倍以内に収めます。
3. 賞与と手当を分けて書く
年収に賞与を含めて大きく見せると、月々の手取りとの差で入社後に不満が出ます。月給・賞与・固定残業代を分けて書く方が、結果として定着します。
4. 前任者の給与に引きずられない
前任者が長く在籍していた場合、その給与には昇給が積み上がっています。同額を新規募集の下限にすると相場より高くなり、逆に前任者が入社時のまま据え置きだった場合は相場より低くなります。いま募集する額として、独立に決めます。
給与を上げる前に確認すること
応募が来ない理由が給与とは限りません。給与を上げる判断の前に、原稿と媒体の状態を確認します。
- 職種名が検索されない言葉になっていないか
- 仕事内容が抽象的なまま放置されていないか
- 掲載が止まっていないか、課金が切れていないか
確認の観点は求人原稿を刷新するときに直す7か所と求人媒体の棚卸しで何を確認するかにまとめています。原稿の問題を給与で埋めようとすると、固定費だけが増えます。
まとめ
- 採用担当の年収相場は経験者で400〜550万円、未経験で350〜420万円
- 会社の負担は年収の約1.15倍。年間500〜650万円の固定費が増える
- 未経験で採ると初年度で150〜250万円安いが、引き継げる手順書が前提になる
- 求人票は下限額で判断される。レンジは下限の1.5倍以内に収める
当社の採用担当引き継ぎ代行は、後任の採用と引き継ぎまでを一括で行います。後任を未経験者から育てる前提で設計しているため、経験者に限定せず母集団を広く取れます。給与設計を含めた現状の棚卸し(採用ストップ診断)までは無料ですので、判断材料としてご利用ください。