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今年の採用予算がいくら残っているか分からないとき

採用担当が辞めた後、経理から「今期の採用費、あといくら使えますか」と聞かれて答えられない。予算表はあるのかもしれないが、どこにあるか分からない。分かっているのは毎月いくつかの媒体費が引き落とされていることと、内定を出した人が1人いるらしいこと。この状態で新しい媒体の見積もりを受け取っても、判断のしようがありません。

この記事は、予算の立て方ではなく、いま社内にある契約と伝票から「今年度あといくら使えるか」を割り出す作業だけに絞って書きます。年間予算を組み直す話は採用単価から逆算する採用予算の立て方に譲ります。ここで扱うのは、今週中に数字を1つ出すための手順です。

残額が分からなくなるのは、記録が3か所に分かれているから

採用費の情報は、会計システムの中だけにはありません。おおむね次の3か所に散っています。

  1. すでに払った分(請求書・会計データに残っている)
  2. 承認済みだがまだ払っていない分(稟議書・申込書にしかない)
  3. まだ請求書が来ていないが、支払いが確定している分(契約書と、前任者の頭の中)

厄介なのは3番です。人材紹介経由で内定を承諾した候補者がいれば、入社日以降に成功報酬の請求が来ます。年間契約の媒体が自動更新されていれば、更新日に次期分が発生します。会計データを見ても、この2つは1円も映りません。残額を「予算 − 支払済み」で出してしまうと、実際には使えないお金を使えると勘違いします。

先に引き当てるべきは、この「これから出ていく金」です。

手順1:支払済み額を拾う

経理に、今年度期首から今日までの支払データを、採用に関係しそうな科目で抽出してもらいます。勘定科目は会社によって違うので、科目名だけで絞ると漏れます。支払先名(媒体社名・人材紹介会社名)でも検索してもらってください。

拾い漏れが起きやすいのは次のあたりです。

  • 採用費ではなく広告宣伝費・販売促進費で処理されている媒体費
  • 代理店経由でまとめて請求されており、明細に採用と書かれていないもの
  • 法人カードやクリック課金型広告の少額決済(月数万円が毎月続いている)
  • 会社説明会の会場費、適性検査の利用料、応募者の交通費

媒体の契約そのものが分からない場合は、請求書からの逆算が早いです。手順は求人媒体の棚卸しで何を確認するかにまとめています。

手順2:これから出ていく金を先に引き当てる

ここが本題です。以下の4つは、請求書が来る前に金額を見積もって確保しておきます。

出ていく金確認する場所金額の見積もり方
人材紹介の成功報酬(内定承諾済み・入社前)紹介会社との基本契約書、内定通知の控え理論年収 × 契約の料率。料率は契約書に記載されています
自動更新される媒体の次期分申込書・契約書の契約期間と更新条項更新後の掲載料。前期の請求額が目安になることが多い
掲載中の求人の残期間分媒体の管理画面または申込書月額なら残月数分、期間一括なら計上済みか要確認
クリック課金・従量課金型の広告管理画面の予算設定、カード明細日予算 × 残日数。止めない限り発生し続けます

人材紹介の成功報酬は、金額が大きいわりに見落とされます。内定承諾者が1人いれば、その1人分で媒体費の数ヶ月分に相当することがあります。契約書には返金規定(入社後まもなく退職した場合の返金割合)も書かれているので、あわせて確認しておくと、後から金額が動く可能性を織り込めます。

紹介会社との連絡が途切れていて進行中の候補者が分からない場合は、先に窓口を戻す必要があります。人材紹介会社との窓口が切れたときの再開連絡を参照してください。

自動更新の媒体費は、「使っていないのに出ていく金」になりがちです。更新日の何日前までに申し出れば止められるかは契約ごとに違います。止められるかどうかの判断は求人媒体を解約したいとき、途中解約できるのかにまとめました。

手順3:稟議・承認済みで未執行の分を拾う

前任者が申し込みまで済ませたが、まだ掲載が始まっていない案件が残っていることがあります。探す場所は次の3つです。

  • 稟議システム/決裁書の履歴(申請者を前任者名で絞る)
  • 前任者の会社メールの送信済みフォルダ(申込書の返送、発注の返信)
  • 媒体営業からの見積書・申込書控え(紙で残っていることがあります)

会社メールを閉じてしまっていると追えません。退職前後にやっておく作業は採用担当が退職した直後にやるべき7つのこと(優先順位つき)にまとめています。

残額を1枚にまとめる

拾った数字を、次の形で並べます。金額は架空の例です。

項目金額(例)出どころ
A 今年度の採用予算800万円予算書/社長の裁量枠
B 支払済み310万円会計データ
C 未請求だが確定(紹介成功報酬1名分)150万円契約書の料率 × 理論年収
D 自動更新・残期間の媒体費60万円申込書
E 承認済み・未執行20万円稟議履歴
実質的に使える残額(A−B−C−D−E)260万円

Aの予算額そのものが分からない会社もあります。その場合は、前年度の年間支出実績(Bと同じ方法で1年分を集計)を仮の枠として置き、決裁者に確認するのが早いです。

この1枚があると、媒体営業から提案を受けたときに「今期はここまで」と即答できます。逆に、この数字がないまま新規の申し込みを重ねると、期末に想定外の請求が並ぶことになります。

残額が思ったより少なかったときの順番

引き当てを済ませると、残額が想定を下回ることがよくあります。そのときに減らす順番は、次の考え方が扱いやすいです。

  1. 応募が来ていない媒体の更新を止める(更新申し出の期限を先に確認)
  2. 課金が続いている従量型の広告を停止する
  3. 募集職種を絞り、同時掲載の本数を減らす
  4. 単価の高い人材紹介は、欠員の切迫度が高い職種に限定する

止める判断そのものより、「いつまでに言わないと止められないか」を先に押さえるほうが金額への効き目は大きくなります。更新日が近い契約から着手してください。

予算の把握は、後任が最初に引き継ぐ情報でもある

ここで作った1枚は、そのまま後任への引き継ぎ資料になります。媒体ごとの契約期間・更新日・年間の支出額・紹介会社の料率が並んでいれば、採用が未経験の後任でも「今月お金を使ってよいか」を自分で判断できるようになります。採用の実務は、判断基準さえ文字になっていれば未経験者でも数ヶ月で回せる部分が多くあります(後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由)。

逆に、この情報が誰の手にも残らないまま次の担当者を置くと、同じ調査をもう一度やることになります。

当社の採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを4ヶ月・200万円(税別・広告費込み・分割可)で行っています。復旧だけの2ヶ月・80万円、6ヶ月かける完全プラン300万円もあります。費用の内訳は料金プラン、進め方は採用担当引き継ぎ代行をご覧ください。

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