退職した社員が求人原稿や採用サイトに載っているとき
求人原稿を開いたら、先月退職した社員のインタビューが載っていた。採用サイトの「先輩社員の声」に、もう在籍していない人の顔写真が並んでいる。前任の採用担当が作ったまま誰も手を入れておらず、いつ撮った写真かも分からない——採用が止まっている会社では、こうした掲載物がそのまま残っていることが珍しくありません。
これは「見栄えの問題」ではなく、応募者への説明と、写っている本人の同意という2つの話が重なっています。どちらも放置すると面倒になりやすい一方、優先順位をつければ数日で当面の形にできます。この記事では、どの掲載面から手をつけるか、素材が手元になくて差し替えられないときにどうするかを、採用の専門知識がない方向けに整理します。
何が問題になるのか
問題は2方向から来ます。
ひとつは応募者への説明です。応募者は社員インタビューを読み、「この人の下で働くのか」「この部署にこういう人がいるのか」と考えて応募します。面接の場で「サイトに載っていた◯◯さんは」と聞かれ、「実はもう退職しています」と答えることになると、記事全体の信頼が下がります。給与や勤務地の表記と違って法令で細かく定められた領域ではありませんが、応募者から見れば「今の会社の姿ではないものが載っていた」という事実は残ります。
もうひとつは写っている本人の同意です。社員の顔写真や氏名の掲載は、一般に在籍中の同意を前提に行われます。その同意が退職後も続くのかは、撮影時にどう説明したかによって変わることが多く、書面が残っていないケースがほとんどです。退職者から「まだ載っているので下ろしてほしい」と連絡が来たときに、社内で誰も経緯を説明できない状態は避けたいところです。本人から申し出があった場合は、掲載を続ける理由を探すより、下ろす方向で動くほうが早く収まります。
差し替えを急ぐ順番
すべてを同時に直す必要はありません。「今まさに応募者が見ているか」「費用が発生しているか」「修正にどれだけ手がかかるか」の3点で並べ替えます。
| 掲載面 | 急ぐ度合い | 理由 | 目安 |
|---|---|---|---|
| 有料の求人媒体 | 最優先 | 応募者が今見ており、掲載費も発生している。媒体側の修正依頼で直せることが多い | 数日以内 |
| 自社の採用サイト・採用ページ | 高 | 応募者が必ず見る面。更新権限さえあれば当日中に非表示にできる | 1週間以内 |
| 無料掲載・検索型の求人サイト | 中 | 自社サイトの内容を読み込んでいる場合、元を直せば追随することがある | 自社サイトの後 |
| 採用パンフレット・紙資料 | 中〜低 | 刷り直しに費用と時間がかかる。当面は配布を止める判断もある | 在庫消化の方針とセット |
| SNS(過去投稿) | 低 | 過去の投稿まで遡って消す必要は薄い。固定投稿やプロフィールに載っている場合のみ優先 | 目についた範囲 |
有料媒体を最優先にするのは、応募者の目に触れる量が多く、かつ費用が出ているからです。媒体によっては原稿修正に営業担当への依頼が必要で、反映まで数日かかります。まず依頼を出し、反映待ちの間に自社サイト側を進めると効率的です。
なお、自社の採用ページや無料掲載は「止めたつもりで残っている」ことが多い領域です。更新権限の所在から確認する手順は自社の採用ページと無料掲載が放置されているときにまとめています。SNSアカウントの管理者権限が分からない場合は採用用のSNSアカウントが更新されないまま残っているときを参照してください。
差し替える素材が手元にないとき
「消すのは簡単だが、代わりに載せるものがない」——これが実際に一番詰まる箇所です。撮影データが前任者のPCにしかない、インタビュー記事を書ける人がいない、といった状況では、完成形を待たずに当面の形へ落とします。
| 状況 | 当面の対処 |
|---|---|
| 顔写真つきの社員紹介が使えない | 該当ページを非公開にする。1人だけ抜くと不自然なら、社員紹介セクションごと一時的に下ろす |
| インタビュー本文は使いたい | 氏名・顔写真を外し、「入社3年目/営業職」のように属性表記へ置き換えられるか検討する(内容に本人が特定される記述が残る場合は下ろす) |
| 職場の集合写真に写り込んでいる | 個人が主役の写真かどうかで判断が分かれる。判断に迷うなら差し替え候補が揃うまで別の写真(設備、外観、資料)に置く |
| 差し替え写真が一枚もない | イラストや文字だけのレイアウトに切り替える。写真がないことより、古い情報が残っていることのほうが問題になりやすい |
| 紙のパンフレット | 新規配布を止め、説明会や面接では最新の条件を口頭と1枚資料で補う |
インタビューの属性表記への置き換えは、本人が読めば自分だと分かる内容が残っている限り、同意の問題は消えません。迷ったら下ろす、で構いません。空白のページより、事実と違うページのほうが応募者の判断を狂わせます。
求人原稿そのものを見直す機会でもあります。職種名や給与表記まで含めて点検する場合は求人原稿を刷新するときに直す7か所が使えます。
前任の採用担当自身が載っている場合
「採用担当からのメッセージ」「応募はこちらまで」といった欄に、退職した前任者の顔写真と名前が残っていることがあります。これは応募者から見ると、連絡先として書かれている人がもういない状態です。実務上いちばん急ぐのはここで、応募メールの宛先や電話の取次先が生きているかも同時に確認してください。
気まずさから連絡をためらう場面もありますが、掲載の取り下げ自体は会社側の判断で進められます。本人への連絡は「掲載を下ろしました」という事後の共有で足りることが多く、許可を取り直す必要はありません。むしろ、退職後に本人の氏名が窓口として残っているほうが本人にとっても不都合です。
前任者の名前で進んでいた選考が残っている場合の伝え方は選考中の応募者に「担当が変わりました」をどう伝えるかにまとめています。
退職時に確認する運用にしておく
同じことを繰り返さないために、退職手続きのチェック項目に写真・氏名の扱いを1行足しておきます。人事の大がかりな制度変更は要りません。確認するのは次の3点です。
- 採用関係の掲載物(求人原稿、採用サイト、パンフレット、SNS)に本人が登場していないか
- 登場している場合、退職後も掲載を続けてよいか、いつまでか
- 撮影データの保管場所(前任者の個人端末に残っていないか)
「退職後6ヶ月まで掲載可」のように期限を切って合意しておくと、差し替え素材を用意する猶予ができます。合意内容は口頭ではなく、退職手続きの書類に1行残すのが確実です。あわせて、アカウントやデータの回収項目とまとめて運用すると漏れにくくなります(採用担当の退職時に回収すべきアカウントと情報)。
棚卸しから始める
掲載面の洗い出しは、契約中の媒体一覧がないと始まりません。採用担当が不在の会社では、その一覧自体が失われていることがほとんどです。
Talencoの採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを4ヶ月で担います(標準プラン200万円・税別・広告費込み、分割可)。後任は採用担当の経験者でなくても構いません。当社が育てたうえで引き継ぎます。
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