採用担当2人のうち1人が辞めたとき、残る1人に何を渡さないか
採用担当が2名いた会社で1名が退職する。完全に不在になるわけではないので、社内では「もう1人がいるから、とりあえずは回る」という話になりがちです。実際、残る1人も最初の数週間は前任者の分まで手を動かしてくれることが多い。問題が表面化するのは、その先です。
半分の体制で全部の業務を維持しようとすると、残った1人の稼働は単純に倍になります。倍の状態が数ヶ月続けば、その1人も限界を迎える。そして2人目が辞めたときには、社内に採用を知っている人が誰もいなくなります。完全欠員から復旧するより、半分残っている今のほうが打てる手は多い。この記事は「何を渡すか」ではなく「何を渡さないか」を決めるための手順です。
半分の体制で全部やろうとすると、連鎖する
1人体制の採用がどれだけ脆いかは採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理するで整理しました。ここで起きるのは、その1人体制に「2人分の業務量」が乗った状態です。
このとき、会社が何も決めないと、残る1人が自分で優先順位をつけることになります。本人は責任感から全部を拾おうとするため、どれも中途半端になり、応募対応の遅れや面接の日程崩れという形で表に出る。そして遅れの責任は本人に向かう。辞める理由の多くは業務量そのものより、量を減らす判断を会社がしてくれないことにあります。前任者がなぜ辞めたのかを点検していない場合は、採用担当が辞めた理由を点検するも先に読んでおくと、同じ構造を繰り返しにくくなります。
先に経営が決めること:募集職種を絞る
業務の切り分けより先に、募集そのものを減らす決定が要ります。これは現場でも残る1人でもなく、経営側が出さなければ動かない判断です。
現場から見れば、自部署の募集を止められるのは不利益でしかありません。担当者が「この職種は今期止めます」と言っても、調整の板挟みになるだけで決まらない。社長または管理部門の責任者が「今期はこの職種とこの職種に絞る」と名指しで出し、止める職種の現場には経営側から説明する。この順番でないと、業務量は減りません。
どの職種から動かすかの並べ替えは募集職種が複数あるとき、どれから再開するかに詳しくまとめています。半分の体制であれば、同時に動かす職種は1〜2に絞るのが現実的なことが多いです。
業務を3つに分類する
職種を絞ったうえで、残った業務を次の3つに分けます。分類は残る1人の意見を聞きながら、決定は上長が出してください。
| 分類 | 判断基準 | 該当しやすい業務 |
|---|---|---|
| 止めると事故るもの | 止めると外部に迷惑がかかる/費用が発生し続ける | 応募者への返信、面接の日程調整、内定者・入社前の連絡、課金中の媒体の管理 |
| 遅れてよいもの | 数週間遅れても誰も困らない | 求人原稿の作り込み、媒体の比較検討、採用サイトの更新、データ集計 |
| 今期やめるもの | 今期の採用計画から外した職種に紐づく業務 | 止めた職種のスカウト送信、説明会、エージェントへの定期共有 |
分類の軸は「重要かどうか」ではなく「止めたときに誰が困るか」です。求人原稿の改善は重要ですが、2週間遅れても社外に迷惑はかかりません。一方、応募者への返信は1日遅れるだけで辞退につながります(応募者への返信速度が採用結果をどう変えるか)。
「遅れてよいもの」に振った業務は、いつ再開するかの日付を仮でいいので入れておきます。日付がないと、単に忘れられて、後から「やっていなかった」と責められる材料になります。
残る1人に集めるのは判断、作業は外に出す
3分類のうち「止めると事故るもの」だけが残ります。それでも1人分を超える場合、次に切るのは業務単位ではなく、業務の中の「判断」と「作業」です。
| 残る1人に集めるもの(判断) | 他に分散させるもの(作業) |
|---|---|
| 書類の合否、面接の評価 | 応募メールの受信・一次返信 |
| 条件提示の内容、給与の擦り合わせ案 | 面接日程の候補出し・会議室確保 |
| 媒体を止めるか継続するかの意見 | 管理画面への掲載作業・データ入力 |
| 現場・エージェントへの説明内容の決定 | 送信、転記、リマインド、集計 |
作業の受け皿は、総務や管理部門のメンバー、アシスタント、外部委託のいずれでも構いません。採用の知識がなくても、手順が決まっていれば動かせる部分だからです。受け皿の作り方は採用担当が不在の間、応募窓口を1日でつくる手順が参考になります。
このとき残る1人の役割を「作業者」から「判断する人」に変えることを、本人にも周囲にも明言してください。役割を変えずに手だけ借りると、依頼と確認の手間が増えて、かえって負荷が上がることがあります。
いつまで半分体制で持たせるかを先に決める
3分類と役割の組み替えで一時的に回っても、それは欠員が埋まるまでの暫定措置です。「いつまで」を決めずに走ると、暫定が常態になり、残る1人はいつ終わるか分からない負荷を抱え続けることになります。
目安として、後任の募集を始めてから入社・立ち上がりまでには数ヶ月かかることが多い。その期間を暫定体制の上限として置き、超えそうなら止める職種をさらに増やすか、外部に出す範囲を広げるかを判断します。期限と、期限を過ぎたときの打ち手をセットで決めておくことが、2人目の離職を防ぐ現実的な方法です。
なお後任は、採用担当の経験者に限定しなくても構いません。残る1人が判断を持ち、手順が言語化されていれば、未経験者でも役割を分担できる状態になっていきます。
採用担当2名のうち1名が抜けた段階は、まだ社内に情報が残っている貴重なタイミングです。ここで業務を絞り込めるかどうかで、半年後に「誰も採用を知らない会社」になるかが変わります。
採用担当引き継ぎ代行では、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを一続きで担当します。標準は4ヶ月・200万円(税別・広告費込み・分割可)で、2ヶ月の復旧のみ、6ヶ月の完全プランもあります(料金プラン)。
まずは現状の把握からで構いません。採用ストップ診断(媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸し)までは無料です。ご相談はLINE公式からお受けしています。