引き継ぎ代行と人材紹介は併用してよいか
採用担当が退職し、後任の採用を外部に任せることを検討している。一方で、以前から付き合いのある人材紹介会社にも「採用担当候補がいたら紹介してください」と伝えてある。この状態を続けてよいのか、どちらかに寄せるべきなのか——併用そのものを禁じる決まりはありませんが、整理せずに走らせると、同じ候補者が二つの経路から入ってきたり、応募者への連絡が二重になったりする場合があります。
この記事では、併用が有効に働く条件と、かえって手間が増える条件を切り分けます。あわせて、併用を前提に契約する前に確認しておきたい2つの質問も添えました。
併用してよい。ただし「同じ枠を二重に追う」のは避けたい
結論から言えば、引き継ぎ代行と人材紹介の併用は成立します。両者は費用の発生タイミングも役割も違うため、排他的な関係ではありません。
問題が起きやすいのは、同じ1つの採用枠を、両方の経路で同時に追いかけている場合です。採用担当の後任1名を、代行の募集活動と人材紹介の推薦の両方で探すと、次のようなことが起こり得ます。
- 同じ候補者が、求人媒体経由と紹介経由の両方から入る
- 候補者から見ると、同じ会社から別々の人が連絡してくる
- 決まったときに、どちらの経路の成果かで手数料の扱いが揉める
重複応募そのものは珍しい話ではなく、契約書に先行推薦の基準が定められていることが多いのですが、担当者が不在の会社ではその契約書の所在から追う必要が出てきます。この論点はエージェント経由と直接応募が重複したときの手数料の扱いで詳しく整理しています。
費用構造の違いを先に押さえる
併用を判断する前に、お金の出方が違うことを確認しておきます。
| 引き継ぎ代行(標準プラン) | 人材紹介 | |
|---|---|---|
| 費用の形 | 4ヶ月200万円(税別・広告費込み・分割可) | 成功報酬(理論年収の30〜35%が相場とされることが多い) |
| 発生タイミング | 契約時から期間に応じて | 入社が決まった時点 |
| 決まらなかった場合 | 期間分の費用は発生する | 費用は発生しないことが多い |
| 対象になる人 | 採用担当の経験者でなくてよい | 経験者に絞られやすい |
| 終了後に残るもの | 後任本人・手順書・媒体一覧など | 入社した本人 |
紹介は「決まらなければ払わない」形なので、一見リスクがないように見えます。ただし、採用担当の経験者を条件にすると母集団が薄くなり、決まるまでの期間が読めないという別の負担が出ます。金額の試算は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかにまとめました。
引き継ぎ代行が経験者に限定しないのは、当社が後任を育てて引き継ぐ前提だからです。この考え方は後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由で説明しています。
併用が有効に働くケース
職種を分ける場合
最も整理しやすいのが、追う枠そのものを分けてしまうやり方です。
| 採用したいポジション | 主に任せる先 | 理由 |
|---|---|---|
| 現場の欠員(営業・技術職など) | 人材紹介 | 急ぎで、専門性が高く、紹介会社に母集団がある |
| 採用担当の後任 | 引き継ぎ代行 | 経験者に限定せず育てる前提で採れる |
この分け方なら、候補者が重複する可能性は低く、窓口も自然に分かれます。現場の欠員を先に埋めるかどうかの判断は現場の欠員を派遣や業務委託で先に埋める判断も参考になります。
すでに進行中の推薦がある場合
前任の採用担当が紹介会社とやり取りしていて、選考途中の候補者が残っていることがあります。この人たちの選考は止めずに進めるのが基本です。新しい募集活動は代行が立ち上げ、進行中の候補者は既存の経路のまま完了させる、という時間軸での分け方は現実的です。
併用が非効率になるケース
一方で、次のような場合は併用の効果が薄くなりがちです。
- 採用担当の後任という同じ1枠を、両方で同時に追っている
- 社内に、両方からの連絡を受け止める人が決まっていない
- 紹介会社への返答が遅れ、推薦が止まったまま放置されている
とくに二つ目は見落としやすい問題です。代行が媒体経由の応募者に返信し、紹介会社の推薦には社内の誰かが返答する——この二本立てにすると、返答の速さも合否の言い方も揃わなくなります。応募者から見れば同じ会社の選考なので、条件の説明が食い違えば不信につながります。窓口が切れたまま推薦が止まる構造は人材紹介会社との窓口が切れたときの再開連絡にまとめました。
併用するなら、社内の窓口は一人に決めて、両方の経路の情報がそこに集まる形にしておくと事故が減ります。窓口の人は自分で対応しなくても構いません。誰に振るかを決める役として置くだけでも、返答の遅れは目に見えて減ることが多いです。
契約前に確認する2つの質問
併用を前提に引き継ぎ代行を検討する場合、契約前に次の2点を確認してください。
1. 「紹介会社経由で後任が決まった場合、代行の費用はどうなるか」
外部に任せている途中で、別の経路で人が決まることは起こり得ます。その場合に契約がどう扱われるのか——費用が減るのか、残りの期間で別の業務に振り替えられるのか——を先に確認しておくと、後から揉めにくくなります。当社の場合、後任の採用は提供範囲の一部であり、求人活動の復旧と引き継ぎ・業務改善が残ります。そのため別経路で決まった場合は、その人への引き継ぎと業務改善に期間を使う形に切り替えられます。
2. 「応募者情報を、どの範囲まで誰が持つか」
代行と紹介会社の両方に候補者情報が渡ると、管理の所在が曖昧になります。誰がどこまで持ち、終了時にどう扱うかは契約書で確認しておきたい項目です。応募者の個人情報を外部の委託先に渡すときの取り決めに、確認すべき4項目を整理しています。
まとめ
引き継ぎ代行と人材紹介は併用できます。ただし、同じ枠を二重に追うのではなく、職種で分ける・時間軸で分けるという整理をしたほうが、候補者対応が割れにくくなります。そのうえで、社内の窓口を一人に決めておくことが、併用を成立させる最低条件に近いと考えています。
どの枠をどちらに任せるかは、進行中の応募者や契約中の媒体の状況によって変わります。採用担当引き継ぎ代行では、まず現状の棚卸しから始めます。媒体アカウント・契約・進行中の応募者を洗い出す「採用ストップ診断」までは無料です。費用の内訳は料金プランをご覧ください。ご相談はLINE公式からお受けしています。