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後任の募集は、前任者の在籍中に出すべきか

採用担当から退職の申し出を受けた直後、多くの会社が最初に迷うのが「後任の求人をいつ出すか」です。在籍中に出せば前任者の知見を使えますが、社内にはまだ退職を伝えていない。かといって退職後に落ち着いてから出すと、その間は誰も媒体を触れない状態が続く。どちらにも理由があり、決め手が見つからないまま日が過ぎていく——これが最も起きやすいパターンです。

この記事では、募集開始の時期をどう決めるか、前任者にどこまで関わってもらうか、社内にどの順番で説明するかを、判断の粒度まで落として整理します。退職前にやっておくこと全般は採用担当の退職が決まったら、在籍中にやっておくことにまとめているので、そちらとあわせてお読みください。

原則は「在籍中に出す」、ただし社内の順番を先に片づける

結論から言えば、後任の募集は前任者の在籍中に開始したほうが有利になることが多いです。理由は3つあります。

ひとつは、採用には時間がかかるということです。募集を出してから応募が集まり、書類選考・面接・内定・入社日の調整まで進むと、1〜2ヶ月では収まらないことが珍しくありません。退職日から逆算すると、在籍中に始めても空白期間はある程度発生します。

ふたつめは、前任者が在籍している間しか使えない情報があることです。求人原稿の作り方、どの媒体でどんな応募が来ていたか、面接で何を見ていたか。これらは退職後に本人へ連絡して聞き出すのが難しくなります。

みっつめは、媒体の運用が止まらないことです。前任者が動ける間に後任募集の原稿を出しておけば、進行中の求人とあわせて一括で管理できます。退職後に一から始めると、管理画面へのログインから躓く場合があります(求人媒体の管理画面に入れないときの確認手順)。

ただし、**在籍中に出すなら、社内への説明を先に済ませておく必要があります。**求人が世に出れば、社員が見つける可能性があります。「自分の会社が採用担当を募集している」と社員が求人サイトで先に知る状況は、前任者本人にとっても会社にとっても避けたい事態です。

募集開始の目安を、残り日数から決める

退職申し出から最終出社日までの日数によって、取れる選択肢が変わります。以下は目安です。

最終出社日までの残り募集開始の目安在籍中にできること
2ヶ月以上社内説明を終えた週から開始原稿作成、書類の意見出し、面接同席も検討可
1〜2ヶ月最終出社の3〜4週間前までに開始原稿作成と書類の意見出しまで
1ヶ月未満在籍中の着手は原稿準備にとどめる引き継ぎ書の作成を優先し、募集は退職後でも可
既に退職済み応募窓口の復旧を先に済ませてから

残り1ヶ月を切っている場合、後任募集を急いで走らせるより、前任者の時間を引き継ぎ情報の書き出しに使ったほうが後で効きます。募集は数週間遅れても取り返せますが、本人の頭の中にある判断基準は退職後には取り出しにくくなります。

有給消化に入る予定がある場合は、実際に動ける日数がカレンダー上の残り日数より短くなります。最終出社日ではなく「実働で何日あるか」で数えてください。

前任者に関わってもらう範囲は、書類の意見までにとどめる

在籍中に募集を出す最大の利点は、前任者が選考に関われることです。ただし関わってもらう範囲は絞ったほうが安全です。自分の後任を自分で選ぶ構図になると、判断が偏る場合があるためです。本人が納得して辞めるとは限らず、後任への評価に感情が混ざる可能性も否定できません。

依頼する内容頼んでよいか理由
求人原稿の作成・過去実績の共有頼んでよい本人しか持っていない情報が多い
応募書類への意見(所感レベル)頼んでよい見るべき点の言語化につながる
書類選考の合否決定避けたほうがよい責任の所在が曖昧になる
面接の同席(オブザーバー)状況次第本人が前向きな場合のみ
面接官として単独で見極める避けたほうがよい入社後に一緒に働かない人が決めることになる
内定の判断避けたほうがよい決裁は社内に残す

線引きの考え方はシンプルで、**「意見は聞くが、決めるのは残る側」**です。前任者に書類を見てもらうときも、合否を聞くのではなく「この応募者のどこを見ますか」「自分ならどこを確認しますか」と質問の形にすると、判断基準そのものが言語化されて後任教育に使えます。

なお、後任は採用担当の経験者でなくても務まります。経験要件を厳しくすると応募が集まりにくくなるため、求人票の書き方は採用担当を採用するときの求人票の書き方を参照してください。前任者に原稿を書いてもらう場合も、経験要件の設定だけは会社側で決めたほうがよいです。本人は自分の仕事を基準に要件を書くため、条件が過剰になりやすい傾向があります。

社内に伝える順番

在籍中に募集を出すなら、以下の順番で進めると齟齬が起きにくくなります。

  1. 経営層で退職を確定させる:退職日、後任の採用方針、予算の枠をここで決めます。決裁が降りていない状態で募集を出すと、内定を出す段階で止まります。
  2. 前任者に「後任募集を在籍中に出す」ことを伝え、同意を得る:本人に無断で求人を出さないでください。関わってもらう範囲もこの場で合意します。
  3. 直属の上長・人事労務の担当に共有する:応募対応の当番や、面接官の確保を頼む相手です。
  4. 面接に関わる現場の責任者に伝える:後任を誰が面接するかを決めます。
  5. 必要な範囲で社内に周知する:全社に伝えるかは会社によります。少なくとも、求人を見た社員から問い合わせが来たときに答えられる人を決めておきます。

社外(求人媒体の営業担当、人材紹介会社、選考中の応募者)への伝え方は判断が別なので、採用担当の退職を、媒体営業・エージェント・現場にいつ伝えるかにまとめています。

応募者に「不在」を悟られないための書き方

後任募集の求人には、前任者の退職を書く必要はありません。ただし「欠員補充かどうか」は面接で聞かれることが多いため、答えを決めておいてください。

避けたいのは、不在の状況を強調しすぎることです。「担当がいないので困っている」と伝えると、応募者は一人で放り込まれる不安を持ちます。伝えるなら、引き継ぎ体制と誰と一緒に立ち上げるのかをセットで話すほうが受け止められやすくなります。

また、後任募集の応募者への返信が遅れると、その遅さ自体が「この会社の採用体制」として見られます。採用担当の求人であればなおさらです。窓口の設計は採用担当が不在の間、応募窓口を1日でつくる手順を先に整えておくことをおすすめします。

在籍中に出さないほうがよい場合

以下に当てはまるなら、退職後に仕切り直したほうが混乱が少ないことがあります。

  • 退職理由が会社との対立で、本人の協力が見込めない
  • 退職が社内で機密扱いになっており、周知の目処が立たない
  • 退職日まで2週間を切っており、引き継ぎ書の作成で手一杯
  • 後任の採用予算や役割の決裁が降りていない

このうち最後のひとつは、在籍中か退職後かに関わらず先に片づける必要があります。募集を出してから「やはり正社員ではなく兼任で」と方針が変わると、応募者への説明が破綻します。


後任募集をいつ出すかは、残り日数と社内の合意状況で決まります。判断に迷う場合や、前任者の在籍中に何を引き出すかを決めきれない場合は、外部の手を入れる選択肢もあります。

採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧・後任の採用・引き継ぎと業務改善までを一括で引き受けるサービスです。後任は採用担当の経験者でなくてかまいません。当社が育てて引き継ぎます。費用は料金プランをご覧ください。

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