採用担当を社内異動で用意するときの選び方
採用担当が辞めて求人が止まったとき、外から後任を採るには時間もお金もかかります。そこで多くの会社が最初に検討するのが「社内の誰かを異動させる」という選択です。ただ、いざ人選の段になると「人事経験がある人がいない」という理由で止まってしまう。あるいは、手が空いていそうな人を消去法で選んでしまう。
社内異動で採用担当を用意すること自体は、うまくいきやすい打ち手です。ただし、選び方を間違えると異動元と採用の両方が止まります。この記事では、どの部署の誰が向いているのか、何を見て判断するのか、そして異動元への影響をどう考えるのかを整理します。なお、未経験者でも採用担当が務まる理由そのものについては後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由で扱っているので、ここでは「社内の誰を選ぶか」に絞ります。
社内から出す人が持っている、外部にはない情報
採用担当に必要な力を分解すると、大きく「作業を回す力」と「現場を代弁する力」に分かれます。前者は手順化できるので、教えれば身につきます。問題は後者です。
求人原稿に書く仕事内容、面接で確認する適性、現場に配属したあとの定着。これらはすべて「その仕事が実際にどういう仕事か」を知らないと精度が出ません。外部から採用担当を採った場合、この理解が育つまでに数ヶ月かかります。社内異動なら、ここが最初から埋まっている。
社内から出す最大の利点は、採用スキルではなく現場理解を先に持っていることです。 逆に言えば、現場をまったく知らない人を社内から選んでも、この利点は使えません。
部署別の向き・不向き
「手が空いている部署から出す」という選び方をすると、この利点を捨てることになります。部署ごとに、採用担当としてどこが強くてどこが弱いかを整理します。
| 異動元 | 強み | 補う必要がある点 |
|---|---|---|
| 総務・管理部門 | 契約・請求・スケジュール管理に慣れている。媒体との折衝も抵抗が少ない | 現場の仕事内容の解像度。面接での見極め基準 |
| 営業・営業事務 | 応募者への連絡が速い。日程調整や条件交渉が業務の延長線上にある | 社内調整の経験。数字以外の判断への慣れ |
| 採用したい職種の現場 | 仕事内容の説明と適性判断の精度が高い。現場からの信頼がある | 事務処理と媒体操作。現場業務との両立 |
| 経理・財務 | 費用対効果の管理が得意。予算の説明ができる | 応募者対応のスピード感。社外との頻繁なやり取り |
この表から言えるのは、どこから出しても補うべき点は残るということです。だから「完璧な人がいないから決められない」ではなく、「この人には何を補うのか」を先に決める順番になります。
総務・管理部門から出す場合は、既存業務との兼任になりがちです。兼任で回せる範囲には限界があるので、総務兼任で採用を回す限界はどこにあるかもあわせて確認してください。
人選で見る4つの条件
人事経験は条件に入れません。代わりに見るべきものは次の4つです。
1. 連絡を止めないこと
採用業務で最も事故が起きやすいのは、返信の遅れです。忙しいときに「あとで返す」と判断して滞留させる癖がある人は、業務量が増えた瞬間に応募者を取りこぼします。日頃のメール返信が速い人、返せないときに「確認して明日連絡します」と一次返信を入れる人は、この点で適性があります。返信の遅れが結果に与える影響は応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかで整理しています。
2. 現場に聞きに行けること
求人原稿を書くにも、面接で見極めるにも、現場への確認が必要になります。他部署に自分から質問しに行ける人かどうか。過去に部署をまたぐ仕事をした経験があるかどうか。ここは性格の問題であり、教えて変えるのが難しい部分です。
3. 決まっていないことを聞き返せること
採用は「まだ決まっていないこと」だらけです。給与のレンジ、入社日の調整幅、どこまで妥協するか。指示待ちで進める人は、判断が必要な場面で止まります。上長に確認を上げる習慣がある人のほうが向いています。
4. 半年以上その席にいられること
異動から半年以内にまた別の役割に移る予定がある人は避けたほうが無難です。採用担当が短期間で交代すると、応募者側にも媒体担当者にも影響が出ます。同じ状況を繰り返さないためにも、在籍見込みは人選の条件に入れてください。
向いていない兆候
逆に、次のような場合は無理に任せないほうがよいことが多いです。
- 現在の業務が繁忙期で、月内に手放せる見込みがない
- 社外とのやり取りを一度も担当したことがなく、本人が強く抵抗している
- 情報を自分の中に溜める傾向があり、共有の習慣がない
3つ目は特に見落とされがちです。採用担当が一人体制になると、その人が抜けたときに同じ問題が起きます。採用担当が一人しかいない会社のリスクを整理するでも触れていますが、社内異動で穴を埋めるときこそ、記録を残す習慣がある人を選んでおくと後が楽になります。
異動元への影響をどう考えるか
社内異動は「採用の穴を、別の部署の穴に付け替える」側面があります。どの形にするかで影響が変わります。
| 形 | 採用への効果 | 異動元への影響 | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 完全異動 | 立ち上がりが速い | 異動元に欠員が出る。補充の検討が要る | 募集職種が複数あり、応募数が多い |
| 兼務(時間の一部を割く) | 立ち上がりは緩やか | 影響を分散できるが、繁忙期に破綻しやすい | 募集が1〜2職種で、応募数が限られる |
| 段階移行(3ヶ月かけて比率を移す) | 中程度。引き継ぎと並行できる | 異動元が準備期間を持てる | 前任者がまだ在籍している、または外部の支援がある |
多くの会社では、いきなり完全異動にすると異動元が回らなくなります。段階移行が現実的な選択になることが多いのですが、これは「移行期間中、誰かが採用の穴を埋める」ことが前提です。その埋め手が社内にいない場合、この形は取れません。
また、異動元の補充を人材紹介で行う場合の費用感は、採用担当を外から採る場合と構造が同じです。総額の考え方は採用担当の後任を人材紹介で採ると総額いくらかかるかを参照してください。社内異動が「安く済む」とは限らず、異動元の補充コストまで含めて比べる必要があります。
決めたあとの立ち上げ方
人選が決まったら、渡す順番を決めます。引き継ぎ書を一式渡して「読んでおいて」では動けないことが多いので、応募対応から順に任せていく形が現実的です。最初の2週間で何を教えるかは後任が決まったあと、最初の2週間で教えるべきことにまとめています。
社内異動で後任を立てる場合でも、立ち上げ期に採用を止めないための手が必要になることが多いです。株式会社Talencoの採用担当引き継ぎ代行は、止まった求人活動の復旧、後任の採用、引き継ぎと業務改善までを一括で担います。後任が社内異動の方であれば、その方に業務を引き継ぐところまで含めて設計できます。標準は4ヶ月・200万円(税別・広告費込み、分割可)で、復旧のみ2ヶ月のプランもあります。詳しくは料金プランをご覧ください。
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