採用担当の引き継ぎに必要な期間の目安
「引き継ぎには何日くらいもらえばいいのか」。採用担当の退職が決まったとき、まずこの見積もりでつまずく会社が多いです。前任者に「1日あれば説明できます」と言われて信じたものの、退職後に管理画面へ入れず、選考中だった応募者の状況もわからない——という展開は珍しくありません。
引き継ぎに必要な期間は、業務をひとまとめに見ていると見積もれません。採用担当の仕事は「渡せば終わるもの」「時間が経たないと渡らないもの」が混ざっているためです。ここでは引き継ぎを3段階に分け、それぞれに必要な期間の目安と、退職日まで日数が足りない場合の優先順位を整理します。
引き継ぎは3段階に分けると期間が読める
採用業務の引き継ぎは、性質の違う3つの層でできています。
| 段階 | 中身 | 期間の目安 | 前任者が必要か |
|---|---|---|---|
| ① アカウントと契約 | 媒体のログイン、契約期間、請求、社内の権限 | 数日〜2週間 | 必要(本人しか知らない情報が多い) |
| ② 進行中の応募者 | 選考中・内定者・保留者の状況と約束 | 2週間〜1ヶ月 | 必要(記録に残っていない口約束がある) |
| ③ 判断基準 | 誰を通すか、いくらで出すか、どこに出すか | 3ヶ月〜半年 | 前任者だけでは渡らない |
①と②は「情報の移し替え」なので、退職日までに終わらせる対象です。一方③は、実際に応募者を見て、面接して、判断を間違えてみないと身につきません。引き継ぎ期間を1週間しか取らなかった会社が困るのは、③を①②と同じ扱いにしてしまうからです。
第1段階:アカウントと契約は数日〜2週間
ここは物理的な作業なので、時間さえ取れば確実に終わります。目安は実働で数日、社内調整を含めて2週間程度です。
やることは、求人媒体・人材紹介会社・応募者管理ツールのログイン情報を洗い出し、認証に使われているメールアドレスと携帯番号を自社管理のものに切り替えること。それと、契約がいつまでで、いくら払っているかを契約書と請求書で確認することです。
注意点は、前任者の個人メールや個人携帯が認証先になっているケースがあることです。退職後にログインできなくなる典型的な原因で、復旧には媒体側への問い合わせが必要になり、数日から数週間かかる場合があります。手順は求人媒体の管理画面に入れないときの確認手順にまとめました。契約の洗い出し方は求人媒体の棚卸しで何を確認するかを参照してください。
第2段階:進行中の応募者は2週間〜1ヶ月
書類選考中の人、面接が組まれている人、内定を出した人、条件面で保留にしている人。この一人ひとりについて「今どこまで話が進み、何を約束しているか」を確認する作業です。
期間の目安は2週間から1ヶ月。単なる名簿の受け渡しなら1日で済みますが、実際には次のような確認が必要になります。
- 面接日程がメールや電話で口約束になっていないか
- 内定者に伝えた入社日・給与・配属が書面と一致しているか
- 「返事を待っています」の状態で止まっている人がいないか
- 紹介会社の担当者に、担当交代を伝えたか
このうち口約束の確認は、前任者が在籍しているうちにしかできません。退職後に本人へ連絡して思い出してもらう作業は、精度が落ちます。在籍中に引き出しておくべき情報は採用担当の退職が決まったら、在籍中にやっておくことで優先度順に整理しています。
なお、この段階を先延ばしにすると引き継ぐ対象そのものが減っていきます。選考が止まった応募者は他社の選考を進めるため、時間が経つほど「引き継ぐ人がいない」状態に近づきます(求人を止めている間に、応募者はどうなるのか)。
第3段階:判断基準は3ヶ月〜半年かかる
「この経歴なら面接に呼ぶ」「この給与レンジまでは出せる」「この職種はこの媒体が向いている」。前任者が頭の中で持っていた基準です。
これは説明を聞いても再現できません。実際に応募者を見て、通した人が面接でどうだったか、落とした人が本当に不適だったかを何回か経験して、はじめて自分の基準になります。目安として、月に数件の採用がある会社なら3ヶ月から半年程度は見ておくのが現実的です。
ここで大事なのは、判断基準は前任者のものをそのまま復元する必要がないという点です。前任者の基準が最適だったとは限りませんし、そもそも文章化されていないものを完全に写し取ることはできません。後任は「一度決めて、結果を見て直す」という形で自分の基準を作ればよく、そのために必要なのは前任者の在籍期間ではなく、後任が実務を回す時間です。
判断基準を渡すのではなく作る前提に立てば、後任は採用担当の経験者でなくても務まります(後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由)。
退職日まで日数がない場合、何を捨てるか
現実には「来週が最終出社日」という相談が多くあります。残り日数別の優先順位の目安です。
| 残り日数 | やること | 捨てて後回しにすること |
|---|---|---|
| 1〜3日 | アカウントの認証先を自社に切り替える。進行中の応募者一覧を名前と現状だけで書き出す | 判断基準のヒアリング、原稿の意図、過去データの整理 |
| 1〜2週間 | 上記+内定者と面接予定者の口約束を本人と一つずつ確認。紹介会社への担当交代連絡 | 媒体ごとの使い分けの理由、選考基準の言語化 |
| 3週間〜1ヶ月 | 上記+契約期間と請求の一覧化、面接同席で判断の実演を1〜2回 | 業務改善、原稿の作り直し |
捨てる判断のポイントは「後から復元できるか」です。契約内容や媒体の使い分けは、請求書や管理画面の履歴から後で追えます。求人原稿も後から作り直せます(求人原稿を刷新するときに直す7か所)。
一方、前任者の頭の中にしかない口約束と、認証先が個人に紐づいたアカウントは、いなくなった時点で取り返しがつきにくくなります。時間が足りないときは、この2つに集中してください。書き出す項目のフォーマットは引き継ぎ書に必ず書く12項目を使えます。
期間の合計をどう見るか
3段階を足すと、引き継ぎが「完了した」と言える状態までは、後任が決まっている場合でおおむね3〜6ヶ月というのが目安になります。後任がまだいない会社は、ここに後任の採用期間が上乗せされます。
当社の標準プランを4ヶ月に設定しているのは、この時間軸に合わせているためです。最初の1〜2ヶ月で①と②を復旧させながら求人活動を動かし、その間に後任を採用し、残りの期間で③の判断基準を後任と一緒に作って引き渡します。前任者がすでに退職していて①②の情報が失われている場合も、媒体側への確認と請求書からの逆算で復元していきます。
| プラン | 期間 | 費用(税別・広告費込み) |
|---|---|---|
| 復旧 | 2ヶ月 | 80万円 |
| 標準 | 4ヶ月 | 200万円 |
| 完全 | 6ヶ月 | 300万円 |
分割払いも可能です(一括払いと分割払いはどちらを選ぶべきか)。
引き継ぎ期間の見積もりは、いま何が残っていて何が失われているかを確認しないと立てられません。採用担当引き継ぎ代行では、媒体アカウント・契約・進行中の応募者の棚卸しを行う「採用ストップ診断」までは無料で対応しています。費用の詳細は料金プランをご覧ください。ご相談はLINE公式からお願いします。