社長が採用を一時的に持つときの、週の時間の組み方
採用担当が抜けて、当面は社長や総務部長が採用を持つ。後任が決まるまでの数ヶ月だけの話だから、隙間時間でなんとかする——そう決めた直後から、たいてい応募対応が最初に落ちます。会議と会議の間に管理画面を開こうとしても、会議は伸びるものだからです。
ここで必要なのは、気合いでも効率化でもなく時間割です。採用のどの作業を、週のどこに、何分置くか。逆に、どこまでは持たないと先に決めるか。この記事は、工数を測る話(何時間かかるか)ではなく、決まった時間をカレンダーのどこに貼るかに絞って書きます。月あたりの総量を先に知りたい方は採用業務は月何時間かかるのか、測ってから後任を決めるを先にご覧ください。
採用を3つの層に分けると、時間割が作れる
採用の仕事をひとまとめに「採用」と呼んでいるうちは、カレンダーに置けません。頻度が違うものが混ざっているからです。兼務で持つ場合は、次の3層に割るとそのまま予定表に貼れます。
| 層 | 内容 | 頻度と時間の目安 | 落ちたときの影響 |
|---|---|---|---|
| 毎日の層 | 新着応募の確認、一次返信、面接前日のリマインド | 1日15分 | 数日で応募者が他社に流れやすい |
| 週次の層 | 面接日程の調整、合否の確定と通知、進捗の確認 | 週1回60分 | 選考が1週間単位で遅れる |
| 月次の層 | 媒体の掲載状況、費用の確認、原稿の手直し判断 | 月1回60分 | 費用が出続ける/応募が細る |
毎日の層は「処理」ではなく「仕分け」だと考えると15分に収まります。 新着があるかを見て、返信テンプレートを送り、判断が要るものだけを週次の枠に送る。ここで面接評価を書こうとしたり、原稿を直し始めたりすると、15分は簡単に崩れます。
毎日15分をどこに置くか
置く時間帯は、朝一よりも「その日の最初の会議の前」か「昼の直後」が崩れにくいことが多いです。朝一は突発対応に食われやすく、夕方は会議の延長で消えます。
- 曜日をまたいで同じ時刻にする(例:毎日12時50分〜13時05分)
- カレンダーに予定として入れ、会議を入れない
- 開くのは決まった場所だけ(採用専用メールアドレスの受信箱、媒体の管理画面1〜2つ)
15分で終わらせるには、返信の文面を先に用意しておくことが前提になります。返信の速さが選考結果に与える影響については応募者への返信速度が採用結果をどう変えるかで整理しています。
土日に応募が入る職種もあります。毎日といっても週末まで社長が見る必要はなく、月曜の15分で金曜夜以降の分をまとめて処理する形で構いません。ただし「月曜にまとめる」と決めておかないと、週明けの会議に流されて火曜になります。
週1回60分で何をするか
週次の枠は、判断が要ることをまとめて片づける時間です。前後に予定を詰めず、同じ曜日・同じ時刻に固定します。面接官が現場にいる会社なら、面接の候補枠を押さえる作業もここに入れます。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の15分 | 進行中の応募者を一覧で確認し、止まっている人を洗い出す |
| 次の20分 | 面接日程の調整、面接官への依頼、候補日の送信 |
| 次の15分 | 書類と面接の合否を確定し、通知を出す |
| 最後の10分 | 翌週の面接予定と、来週やることの確認 |
ここで見る数字は多くありません。応募数、面接設定数、辞退数、未対応件数の4つで足ります。詳しくは採用の進捗を週15分で確認するための数字にまとめています。
日程調整は、応募者と面接官を都度つなぐやり方だと60分に収まりません。面接官の空き枠を先にもらっておき、そこから候補日を出す形に切り替えると、週次の枠の中で終わりやすくなります。
月1回60分は、お金と掲載の確認に使う
月次は、日々の対応では気づかない出費と枯れを見る時間です。確認するのは次のあたりです。
- 掲載中の媒体と、その掲載終了日・自動更新の有無
- 今月の請求額と、年度予算の残り
- クリック課金型など、対応が止まっていても費用が出る契約の稼働状況
- 応募が落ちている職種の原稿を直すか、止めるかの判断
兼務の状態では、この月次が最も飛ばされます。日々の応募対応には相手がいますが、契約の確認には催促する人がいないためです。月末の役員会や定例の前後に固定で貼っておくと残りやすくなります。棚卸しの具体的な確認項目は求人媒体の棚卸しで何を確認するかを参照してください。
これ以上は持たない、と決める線
兼務で持てるのは、おおむね「窓口を止めない」ところまでです。次の作業は、時間があるように見えても社長や管理部門長の枠には置かないほうが、全体としては早く進むことが多いです。
- 求人原稿の全面的な書き直し
- スカウトの大量送信
- 新しい媒体の比較検討と契約
- 3職種以上の同時募集の管理
線を越えたと分かる合図もあります。毎日15分の枠を週に3回以上飛ばしている、週次の60分が2週続けて流れた、未対応の応募が10件を超えて減らない。このいずれかが起きたら、持つ量を減らすか外に出すかの判断時期です。募集職種を絞る考え方は募集職種が複数あるとき、どれから再開するかにまとめています。
落ちたときに誰へ渡すかを先に決める
社長が採用を持つ最大のリスクは、出張・来客・トラブル対応で丸1週間触れない日が生まれることです。これは能力の問題ではなく、予定の性質の問題です。そこで、当番を先に決めておきます。
| 状況 | 渡す相手 | 渡す範囲 |
|---|---|---|
| 毎日15分が取れない日 | 総務・管理部門の担当者 | 新着の確認と一次返信のみ(判断はしない) |
| 週次60分が取れない週 | 同上+面接官の1人 | 日程調整まで。合否は翌週に持ち越す |
| 1週間以上不在 | 代理決裁者をあらかじめ指名 | 合否と条件提示の一次判断まで |
代理に渡すときに必要なのは、権限と返信文の型です。誰が何を決めてよいかが紙になっていないと、代理は判断を止めて待ちます。決裁の整理は採用の可否を誰が決めるかを、紙に1枚で決めておくが参考になります。
兼務はあくまで橋渡しの期間です。この時間割で持てるのは数ヶ月であり、恒常的な体制ではありません。兼務の限界そのものについては総務兼任で採用を回す限界はどこにあるかで扱っています。
兼務を終わらせる前提で組む
週の時間割を作る目的は、採用を社長が回し続けることではなく、後任に渡すまで応募者を失わずに持ちこたえることです。毎日15分・週60分・月60分という形にしておくと、後任が入ったときにそのまま渡せる単位にもなります。逆に、社長の勘と隙間時間で回している状態は、誰にも引き継げません。
後任を経験者に限定しない選び方については後任は未経験でいい。採用担当が4ヶ月で育つ理由をご覧ください。
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